未公開株で約3億円脱税容疑 東京国税局が告発
未公開株の販売をめぐり、購入を勧誘した会社が約2億7千万円、株の発行会社の社長が約3500万円をそれぞれ脱税した疑いで、東京国税局から告発されたことが分かった。勧誘会社は、発行会社の「株式公開準備室」を装っていたが、株売買に必要な証券業の登録はしておらず、金融商品取引法違反(無登録営業)の疑いもある。
法人税法違反容疑で告発されたのは、東京都豊島区の営業代行会社「A&G」(高橋英樹社長)。同社に未公開株を卸していた同港区の出版会社「イー・マーケティング」の臼井弘文社長(52)も所得税法違反容疑で告発された。
イ社をめぐっては、「約束どおり上場しなかった」などとして株の購入者らが臼井社長らを提訴する事態に発展している。A&Gと臼井社長は「強制調査は受けていない」としている。
関係者によると、臼井社長は07年にイ社の株を複数のブローカーに譲渡して得た約2億5千万円の所得を申告せず、約3500万円を脱税。一方、A&Gは、これらのブローカーを介して、イ社や都内のホログラム商品制作会社などの未公開株を買い集め、投資家数百人に高値で売った。07年12月期に得た販売益約9億円を申告せず、約2億7千万円を免れたとされる。
A&Gは未公開株の購入を電話で勧誘した際、イ社など発行会社の「株式公開準備室」を名乗り、代金の振り込みも準備室名義の口座を指定したという。
未公開株は、発行会社か登録業者以外は取り扱えない。このため、イ社株の購入者側の弁護士は「法規制を免れるためでは」と指摘する。
臼井社長は取材に「2、3年以内に上場するつもり」と話すが、イ社元幹部によると、同社は上場に必要な監査法人との契約すらしていなかったという。同社の資金繰りは厳しかったようで、臼井社長は隠した所得を同社の運転資金に充てていた模様だ。(中村信義、舟橋宏太)
「asahi.com」 2009年03月06日
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