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津波の中で抱きしめた 母娘3人、35分の生還劇

小田島朋美さんと侑胡ちゃん(左)、侑杏ちゃん(右)。「命のありがたさを感じています」=26日、青森県八戸市、坂本写す

 聞き慣れない着信音が携帯電話から響いた。

 11日午後2時45分すぎ。

 岩手県山田町の平屋建てアパートに住む主婦、小田島朋美さん(28)は携帯の画面に目をやった。

 「緊急地震速報 強い揺れに備えて下さい」

 画面を見ると同時に、激しい揺れに襲われた。

 「コタツの下に隠れて」

 夫の宗史(むねふみ)さん(31)は仕事で不在。長女の侑胡(ゆう)ちゃん(4)と次女の侑杏(ゆあ)ちゃん(3)に声をかけた。

 ガチャン。茶わんが流し台に落ちて割れた。棚のグラスが飛び出し、破片が飛び散った。

 「ママー」

 揺れが収まると、2人の娘が飛びついてきた。部屋の窓から外を見た。駐車場の地面がひび割れていた。近所のお年寄りが外に飛び出ていた。

 「すごかったですねー」。「津波が来ています。避難して下さい」という役場の放送が聞こえた。

 携帯が鳴った。実家の青森県八戸市の母親からだった。「大丈夫?」。次に地元の親友から電話がきた。「こっちはケガないよ」と答えた。

 親友と話しながら外に出た。アパートは海岸から数十メートル離れた高台にある。ふと、民家と民家の間に目をやると、真っ黒な水平線が見えた。家の1階と2階の間くらいの高さだった。

 「目の錯覚?」

 事態がのみ込めないまま、電話口の親友に叫んだ。

 「津波が来た!」

 電話をズボンのポケットにしまった。波に民家が倒される「グシャッ」という音が背中で聞こえた。

 「侑胡、侑杏、早く!」

 アパートに戻り、玄関口で2人を呼んだ。長靴を履かせ、ドアを開けると、道路が水浸しになっていた。

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