嫦娥3号が間もなく月面着陸、5つの課題に直面 (2)
◆課題3 空気摩擦による減速が不可能
月には大気がないため、月面着陸と地球上の着陸の方法がまったく異なっている。月では、真空状態での軟着陸となる。
嫦娥3号探査機システムの総設計者である孫沢洲氏は、「大気がないということは、空気摩擦を利用した減速ができないことを意味する。嫦娥3号を月面で安全に軟着陸させるためには、伝統的なロケットエンジンと推進システムでは不可能だ。月という大気のない天体の表面で軟着陸を実施する際に、伝統的なエンジンでは推進力を変化させられないからだ」と語った。
今回新たに開発された7500Nの、推進力を連続調節できるエンジンは、嫦娥3号の正確なコントロールを実現し、この課題を解決できる。しかし初めての開発と使用のため、同エンジンが最終的にどのような働きをするかについては、軟着陸当日の様子を見守る必要がある。
◆課題4 ほぼ全自動で着陸
着陸の過程においては、探査機の速度・高度をリアルタイムで測定し、これを随時調整する必要がある。また月面の地形は複雑で、安全に着陸できるエリアを選択しなければならない。孫氏は、「これらの作業は短い時間内に完了させなければならず、すべて探査機が自動的に実施するため、自主コントロールの課題が生まれる」と指摘した。
15キロの高度から始まる「動力降下」の段階は、業界関係者によって「最もスリルあふれる段階」と称されている。嫦娥3号は完全に独力でコントロールを実施し、降下・着陸地点の確定、軟着陸など一連の重要な動作を完了しなければならず、人間が干渉できる可能性はほぼゼロだ。
嫦娥3号探査機システム副総指揮の譚梅氏は、「この段階でのコントロールは間に合わず、事前にプログラミングしておくしかない」と述べた。
◆課題5 月面粉塵の付着、探査機故障の可能性も
月の土壌には一定の厚みがあり、着陸機の着陸、月面ローバーの走行といった人為的な要素により、粉塵が舞い上がる。月面粉塵が探査機の表面に付着すれば、光学システムの敏感度が低下し、機械構造がフリーズするなどの故障が発生する可能性がある。
また探査機の月面着陸の際に、月面からの強い衝撃エネルギーと、探査機から生まれるプルームが、安全着陸の最大の脅威となる。探査機の着陸緩衝構造がこの試練を乗り越えられるか否かは、当日にならなければ分からない。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年12月13日