化学的な手段によるアルツハイマー病治療の見通しが立たない中、中国人学者が物理的な手段による世界初のアルツハイマー治療器を開発し、患者に医薬品以外の新たな治療法を提供した。科技日報が伝えた。
国家級ハイテク企業のハルビン奥博医療器械有限公司の孫作東氏が率いる研究チームが、8年の期間を経て開発した「奥博アルツハイマー治療器」が5月6日、ハルビン市で黒竜江省科学技術庁が組織した専門家の審査に合格した。経頭蓋磁気刺激法により、アルツハイマー治療の国内外の空白を埋めた。
アルツハイマー病は俗に痴呆症と呼ばれ、世界の約3560万人を苦しめている。患者数は毎年460万人のペースで増加しており、中国だけでも1000万人に達する。しかし現在の世界には、症状の進展を遅らせる治療薬は存在しない。
同治療器の開発は、黒竜江省の第12次五カ年計画重大科学技術難関突破計画のプロジェクトだ。責任者の孫氏は、「物理的なゲートコントロールのイオンチャネルに関する疾患は物理的な手段で解決でき、アルツハイマー病などの重大な脳疾患はこれに属する。この場合、神経伝達物質の刺激が治療の鍵となる。同プロジェクトはこれを巡り展開され、神経伝達物質を刺激する最良のターゲット、電圧依存性Ca2+チャネルを選択した。Ca2+内の神経突起物の末端部を通じて神経伝達物質を引き出した」と説明した。
同治療器は国家医療機械登録証を取得しており、初の製品が市場に投入されている。国家臨床試験基地の臨床試験によると、同治療器は軽・中度アルツハイマー患者の治療に特に適しており、患者の記憶・認知機能、精神状態、日常生活を送る能力を大幅に改善できる。同治療器には、家庭用と医療用の二種類がある。家庭用は毎日2回に分けて30分ずつ使用し、半月を一つの治療期間とする。操作がシンプルで、安全かつ副作用のない家庭用治療器は、1万元(約16万3000円)以内で購入できる。同治療器はまた、中年・高齢者の予防にも用いることができる。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年5月7日