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更新時間:13:46 Feb 26 2009

【第11回】「企業リストラ規定」(草案)の解析

 ここ最近、米国発金融危機等のあおりを受け、中国国内の多くの外商投資企業が経営不振に操業中止や生産縮小に追い込まれています。その中で、コストを抑えるため、リストラを図る企業が少なくありません。しかし、既存のリストラに関する法令は、どちらかというと、労働者を保護する建前で制定されたものであり、現在の経済情勢および企業の需要に必ずしも合致するとはいえません。そこで、中央官庁人力資源・社会保障部が「企業リストラ規定」を新たに制定する動きが出てきています。本稿は、「企業リストラ規定」(草案)の主要内容を解析し、そこからリストラに関する中国政府の指導意見の変化を指摘したいと思います。

 1.「企業リストラ規定」の制定状況

 リストラとは、労働者の責によらず、企業側が一方的に労働者を解雇できる法的手段のことを指します。現在、これを規定する法令として、旧労働部1994年公布の「企業経済的リストラ規定」、1994年の「労働法」27条、労働部1995年の「中華人民共和国労働法」を貫徹して執行する若干問題に関する意見」25条、2008年の「労働契約法」41条、および各地方の当該地方しか法的効力を有しない地方法規などを取り上げることができます。

 今まで、企業がリストラを行うには、これらの法令に従い行うしかありませんが、実務上、必ずしも容易なことではありません。また、実際に地方により、労働行政部門のリストラに対する対応がまちまちであるため、どうすればよいのか、企業に混乱をもたらしています。

 企業により明確な方向を示し、企業のリストラを規範化するため、中央官庁人力資源・社会保障部が今年初頭から、「企業リストラ規定」の制定を急ぎ、現在、21条からなる意見募集稿(以下、「草案」という)を形成し、労働組合部門、労働仲裁部門、裁判所などの関連部門に意見を求めています。

 2.リストラできる場面の拡大

 草案第2条によると、企業が以下のいずれかの状況に該当するとき、リストラすることができます。

 (1) 企業破産法の規定に従い再生した場合;

 (2) 生産経営に重大な困難が生じ、地元政府が規定する困難企業の基準に達した場合;

 (3) 企業が生産変更、合併、再編、または重大な技術革新、もしくは経営方法の調整等により職位が無くなり、労働者と労働契約の変更を協議した後に関わらず、リストラする必要があった場合;

 (4) 企業の経営場所の変更、資産譲渡等により、生産経営に比較的大きな影響をもたらした場合;

 (5) 税率の調整など、国のマクロ経済政策の調整により、生産経営に比較的大きな影響をもたらした場合;

 (6) 国際貿易摩擦および経済情勢の変化により、生産経営に比較的大きな影響をもたらした場合;

 (7) 汚染整理、環境保護評価等により、生産停止または一部停止を命じられた場合;

 (8) 不可抗力により、労働契約の履行不能を引き起こした場合;

 (9) その他、労働契約締結時に根拠とされていた客観的状況に重大な変化が生じ、労働契約の履行不能を引き起こした場合。

 既存の法令では、リストラできる場面について、4つの状況を定めています(労働契約法41条参照)。これに対して、草案が9つのリストラできる状況を定め、企業にとって、リストラできる場面が増え、有利になると考えられます。なお、この中で、不明点も少なくありません。例えば、地元政府が規定する困難企業の基準とは何か、明確ではならず、地方政府の基準作成を待つ必要があります。また、国のマクロ経済政策の調整、国際貿易摩擦および経済情勢の変化の範囲が広すぎて、どう認定し、誰が認定するのか、明確ではありません。

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