【第38回】知的財産権の訴訟途中における訴前禁止命令措置の適用について その二
四、 訴前禁止命令に対する裁判所の審査基準
訴前禁止命令において、それぞれの当事者の合法的権利、すなわち、権利者の権利を極力保護する一方で、同時に申請人の合法的権益の保護にも注意する必要があります。したがって、裁判所の訴前禁止命令に対する姿勢は「慎重かつ積極的」であらねばなりません。ここにいう積極的とは、法律法規や司法解釈に合致する申請の場合、裁判所は禁止命令を行うことができるという意味であり、また、慎重とは、訴前禁止はあくまで未審理未判決の案件であるがゆえ、申請、担保、再討議などの全てのプロセスにおいて法に基づき真剣に審査をすすめなければならないことを意味しています。私どもの実務経験から、裁判所の訴前禁止命令申請の審査について、主に以下のポイントをおさえた臨時禁止令が受理されている傾向にあるようです。
1、 申請人が安定かつ有効な知的財産権を所有している
まず、申請人は著作権、商標権、特許権の権利者あるいは利害関係者でなければならず、この申請人が主体的資格者であることに相当する証拠を提出しなければなりません。次に、申請人が提出する、その権利に相当する証拠、証明が合法的かつ有効であることが必要です(例、商標登録証書、著作権登記証書、特許権証書など)。それが争議中にある権利である場合、例えば、提出している特許は無効、または提出している商標は争議中などの場合、裁判所が重視する権利の安定性の観点から見ると、その影響を否定できず、裁判所は権利の不安定さを理由に、このような申請を却下する可能性もあります。
2、 初歩的な判断で被申請者の行動が権利侵害行為であると認定できる
申請人は被申請者の主体資格者であり、権利侵害行為をうけた主体者である、という証拠、証明を提出する必要があります。さらに、申請人は被申請者による権利侵害行為と、かつ被申請人の権利侵害行為がすでに実施されている、あるいは目前に実施されようとしている、という証拠の提出を行わなければなりません。
承認を受けたこれらの証明書から、裁判所が申請人の勝訴の見込みを判断すれば、臨時禁止命令が裁定されます。
3、 修復し難い損害であること
「修復し難い損害」の判断の問題について、関連法律法規に明確な記述はなく、したがって、裁判所や裁判官によって異なった判断基準が生まれる可能性があります。ただし、一般的には、「権利侵害行為の継続」により損害がもたらされ、訴訟という方法を取ることで経済的補填が見込める場合、裁判所から「修復しがたい損害」の認定を受けることはできません。
4、 申請人が適当な担保を提供
そのほか、既述のポイント以外に、裁判官は被申請人の信用状況から臨時禁止命令の実施が公共利益の総合的な均衡を損なわないかどうかを鑑みて、臨時禁止命令を実施するか否かを決定します。
最高人民裁判所の副院長である奚?明は、2008年度の中国商標定例会でのスピーチの中で、「2002年から2006年10月までの間に全国の裁判所が受理した訴前臨時禁止令は66件で、訴前臨時禁止命令の申請を提出した当事者による支持率は97パーセントを上回っており、また、ほとんどの訴前臨時措置案件は48時間以内に裁定が下されており、実施は有効的に行われている。」と述べています。ここから、合理的かつ機能的に、関係権利者の知的財産権保護のために、臨時禁止命令措置の運用が積極的に機能していることが見てとれます。同時に、権利者は臨時禁止令措置の申請において、一定の条件を満たさなければならないことに注意が必要です。十分な準備を行わずに書類を提出した場合、裁判所の支持を得られる可能性は低くなります。
作者:周暘 潤明法律事務所弁護士(早稲田大学法学研究科 法学修士)
作者:陸蕾 潤明法律事務所弁護士(中国社会科学院 法学修士)
「人民網日本語版」2009年9月11日










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