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【第53回】権利侵害責任法の公布からみる製造物責任等の留意点

 1 権利侵害責任法の公布

 2009年12月26日、待望の「権利侵害責任法」(いわゆる不法行為法、中国語:侵権責任法)が公布されました。同法の公布は、「物権法」公布以来の中国民法法典の確立において重要な意味を成すものとして、大きく注目されています。

 権利侵害責任法は、全92条の条項からなり、従来から議論の対象になっていた精神賠償責任について法律レベルで初めてこれを認めたほか(22条)、外商投資企業にとって関心の高い製造物責任(PL)、製品のリコール制度、医療事故、環境汚染、インターネット権利侵害などについて具体化し、外国企業および外商投資企業が、中国において法令を遵守すると同時に受けていた法令による保護について新しい規制が設けられており、この点に留意する必要があると考えます。なお、権利侵害責任法は2010年7月1日からの実施予定です。

 2 製造物責任について

 中国における現在までの製造物責任は、主に「製品責任法」により定められていますが、権利侵害責任法では、「製品責任法」の基本原則に則りながら、リコール制度の強制、悪意的な製造物責任に対する懲罰を強化しています。

 同法46条によると、市販している製品に欠陥が見つかった場合、製造者および販売者が速やかに注意喚起、または製品をリコールする等の挽回措置を行う必要があり、これを怠り、第三者に損害をもたらした場合、賠償責任を負うこととなります。

 また、同法47条では、製品に欠陥があると知りながら引き続き製造または販売し、第三者に死亡または著しい健康上の損害をもたらした場合、懲罰的な賠償を負うと定めています。

 権利侵害責任法では、懲罰的な賠償の具体的な内容については明記していませんが、従来までの補填賠償の原則(被害者の実際に受けた損害しか賠償しないこと)以上に、製造者および販売者の責任が重くなるのは間違いないと思われます。また、「製品に欠陥があると知りながら」について、具体的にどういう状況を指すのか、権利侵害賠償法では明らかにされていませんが、政府機関から欠陥があったと記録された場合はもちろんのこと、社内の董事会会議で欠陥ありと認識した場合も「製品に欠陥があると知りながら」に該当すると考えられます。このため、製品に欠陥があると董事会でこれを認識した場合、ただちに消費者に注意を喚起するか、製品をリコールするよう決断する義務が生じます。これを怠ると、懲罰的損害賠償責任を負う可能性が生じます。

 3 インターネット権利侵害について

 インターネットの普及により、インターネット上で企業への誹謗中傷の記事が掲載された場合の、企業へのダメージは非常に大きくなります。権利侵害責任法36条では、このような状況を考慮して、被害者に救済の権利を与えています。つまり、誹謗中傷を受けた被害者がプロバイダーに権利侵害記事の削除等の必要な措置の実施要求を通知することができ、プロバイダーが通知を受けたにもかかわらず必要な措置を行わない場合、損害の拡大部分につき、ネット上の誹謗中傷者と連帯して損害賠償責任を負うこととなります。このため、外商投資企業は、インターネットで自社を誹謗中傷またはその他の権利を侵害する行為を見つけた場合、プロバイダーに権利侵害行為の中止を求めることができます。

 4 権利侵害責任法の影響

 権利侵害責任法の規定はあくまで原則的なものに止まっており、その細かい規定については、最高人民法院による司法解釈の公布が期待されています。権利侵害責任法の実施は、企業の権利をさらに保護する一方で、企業が他者から訴えられる可能性も拡大することを意味しています。訴訟になれば、短期間のうちに関連証拠の整理および応訴戦略を立てなければなりません。このため、日頃から企業は、訴訟が起こった場合の緊急対応チームを確立するなどの対応策を準備しておく必要があります。




 作者:韓晏元 潤明法律事務所パートナー弁護士 神戸大学博士(法学)
 


 作者: 李航  潤明法律事務所弁護士 神戸大学法学修士(同大学法学研究科博士後期課程中退)

 「人民網日本語版」2010年1月7日

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