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人民網日本株式会社事業案内  更新時間:11:11 Jan 22 2010

【第55回】 経営者集中申告・審査に関する最新規定について



 1 日本で行われる合併行為にも中国商務部の認可が必要

 中国の商務部が公表したデーターによると、2008年8月1日の「独占禁止法」施行後、この1年余りの間に多くの企業が商務部に経営者集中申告を行っています。その中には、日本企業による経営者集中申告も見受けられます。

 経営者集中申告とは、企業が合併等を行い、その合併により市場の競争を排除するおそれがある場合に、合併前に商務部に対して申告を行い、その許可を受けることを指します。外国企業間(たとえば、2つの日本企業)の合併の場合、従来までは、中国の商務部に申告する必要はありませんでしたが、「独占禁止法」の施行により申請が必要となりました。したがって、中国で業務を展開する日本企業が、他の日本企業と合併し、合併により中国の市場競争を排除するおそれがある場合には、たとえ日本で行う合併であっても、中国の商務部に申告を行わなければなりません。

 2 経営者集中申告時の売上高の計算方法

 全ての経営者集中(企業合併)を中国の商務部に申告しなければならないというわけではありません。一定条件(たとえば、合併当事者の前年度の全世界の合計売上高が100億人民元以上、かつ、そのうちの2つの合併当事者の前年度の中国における売上高がともに4億人民元を超えているなど)に合致する場合にだけ、商務部に申告を行う必要があります。

 そのため、売上高の計算が非常に重要となりますが、従来まで、売上高をどのように計算すべきか明確な基準はありませんでした。2010年1月1日から施行された「経営者集中申告弁法」第4条では、「売上高とは経営者が前会計年度内において製品の販売、サービスの提供によって得た収入から租税およびその付加を差し引いた金額」とする基準を設け、さらに第5条では、「合併に参加する各企業の売上高を単純に合計するのではなく、支配関係のある企業間の取引から生じた売上高は計上せず、また、企業の売上高を計算する場合、当該企業のみではなく、当該企業が支配する企業(子会社など)、当該企業を支配している企業(親会社など)の売上高も計上する」として、その計算方法を明確にしています。また、1件の経営者集中に単独または複数の経営者の一部の買収が含まれる場合、その譲渡者の売上高は集中にかかる部分のみを計上します(7条1項)。 

 さらに、同一経営者の間で2年以内に行われた国務院申告基準に達しない数回の経営者集中については1回の集中取引とみなし、合併の発生時間は最後に行われた取引の時点とし、その合併の売上高については、全ての取引を合算します(7条2項)。

 3 商務部の審査方法について

 従来までの法令では、商務部の審査方法について基本原則が定めるのみにとどまっていましたが、2010年1月1日から施行された17条からなる「経営者集中審査弁法」では、その審査方法についてさらに詳細な規定が設けられています。

 (1)弁解・意見聴取・公聴制度

 審査段階において、経営者集中に参加する経営者は、申告事項について書面による陳述、弁解を行うことができます(5条)。一方、商務部は必要に応じて関連政府部門、業界協会、経営者および消費者から意見を聴取することができます(6条)。また、商務部は自らまたは関係者の要求に応じて公聴会を開くことができます(7、8条)。

 なお、初歩的審査を終え、商務部が更なる審査を決定し、その経営者集中によって競争が排除・制限またはそのおそれがあると判断した場合、商務部は経営者集中に対する反対意見を提出し、集中に参加する経営者に、これを告知しておかなければなりません。この反対意見に対して、経営者側は合理的期間に書面による弁解意見を提出することができます(10条)。

 (2)集中案の調整

 審査段階において、経営者集中によって競争が排除・制限される可能性を除去または減少させるために、経営者は集中案を調整し、いわゆる「制限的条件」を提示することができます。具体的には、集中に参加する経営者の資産・業務の一部の離脱、そのネットワークなどの開放、重要な技術(特許、専有技術その他の知的所有権を含む)のランセンス、排他的合意の終了などが含まれます(11条)。

 (3)制限条件付き許可決定

 商務部は「独占禁止法」に規定されている審査期限内に、経営者集中を禁止するか否かの決定を下さなければなりません。また、経営者集中を禁止しない場合でも、経営者集中による競争への不利な影響を減少させるために、商務部は一定の制限条件を付けることができます。経営者は制限条件の下で経営者集中を行い、かつ一定の期間内に商務部に対して制限条件の執行状況を報告しなければなりません。制限条件に基づく義務を履行しない場合、商務部から期限付き是正を命じられ、この期間内にさらに是正を行わない場合には、「独占禁止法」の関連規定に基づき処罰を受けることになります(15条)。

 以上2つの最新規定により、経営者集中申告、これに対する商務部の審査が制度化され、その透明性を高めたという点については評価すべきでしょう。世界的な景気回復が進むにつれて、大規模なM&Aも予想されます。今後、具体的な事例において、商務部がこれらの経営者集中に関する規定をいかに適用していくか、その動向にも注目すべきでしょう。




 作者:韓晏元 潤明法律事務所パートナー弁護士 神戸大学博士(法学)
 


 作者: 李航  潤明法律事務所弁護士 神戸大学法学修士(同大学法学研究科博士後期課程中退)

 「人民網日本語版」2010年1月22日

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