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【第56回】 国外仲裁機関の選択可能性について

 《契約法》、《仲裁法》および関連司法解釈のいずれにおいても、国内当事者同士で争議事項を解決する場合、国外の仲裁機構選択することを制限、禁止する条文はありません。では、実務的観点から見た場合においても、国内当事者間で国外の仲裁機構による争議解決方法を選択することは本当に可能なのでしょうか?

 1、2004年、最高人民法院は《最高人民法院の渉外仲裁および外国仲裁案件処理に関する若干規定》の意見募集稿を発表しました。その中で、“国内の当事者による渉外的要素のない争議に関する外国仲裁の約定”は、その仲裁協議自体が無効である、との認定が明確に示されていました。しかし、この意見募集稿は正式な法律制定までには至らず、2006年の最高人民法院による仲裁法の最新司法解釈の中でも、この条文内容が盛り込まれることはありませんでした。このように、国際商事仲裁において最高人民法院が日夜発展を続ける背景の下、この種の案件について、いかなる場所で行われる仲裁の問題ついても制限が設けられるべきではありません。当事者による仲裁機構の選択肢に制限を設けることは、仲裁当事者の自治の精神に違反する可能性があり、《ニューヨーク条約》の内容にも矛盾します。

 2、法律には禁止的規定はありませんが、国内の裁判所は、国外の仲裁機構による国内当事者への裁決について、比較的明確な態度を示しており、あくまで執行しない構えを見せています。例えば類似性のある公共秩序の維持、専属管轄違反などもっともらしい理由により、これらの裁決が国内で執行されることはありません。

 3、国内の当事者による渉外的要素を含まない取引において、国外の仲裁機構が仲裁問題を扱うことについて、法律ではいまだ沈黙が守られているものの、その解釈について国内の当事者としては気になるところです。これについて調べてみたところ、国内当事者による渉外的要素を含まない取引の争議を香港国際仲裁センターが取り扱った案件は全て、本土での執行は保証されておらず、ましてや外国仲裁機構の裁決などは推して知るべしです。よって、私共としては、当事者間の協議において、できるだけ渉外要素が含まれるようにすることを提案します。渉外的要因が全くない案件の場合、中国国内の仲裁機構による仲裁を助長することになり得るからです。

 総合的な意見として、国内での執行問題を考えた場合、国内の当事者間が、仲裁協議の約定において国外仲裁機構による仲裁執行の規定を盛り込まないことが最良策あると考えます。




 作者:周暘 潤明法律事務所弁護士(早稲田大学法学研究科 法学修士)
 


 作者:高嵩 潤明法律事務所パートナー弁護士(北京大学法学部卒業、元北京第2中級人民法院裁判官)

 「人民網日本語版」2010年2月1日

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