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【第63回】 B型肝炎キャリアの雇用差別に関する最新規定について


 2010年2月10日に、人的資源および社会保障部、教育部、衛生部は、「入学および就業に伴う健康診断項目の一層の規範化とB型肝炎キャリアの入学および就職の権利の更なる保護に関する通知」(以下、「12号令」)という)を公布しました。この「12号令」では、従業員入社時の健康診断におけるB型肝炎項目検査の実施基準、B型肝炎キャリアの就職権利の保護などがあらためて強調されており、外商投資企業としては、従業員を採用する際の健康診断におけるB型肝炎項目検査、またはB型肝炎キャリアへの対応について、十分に注意を払う必要があるでしょう。

 1 「12号令」の公布背景

 ある統計によると、現在、中国におけるB型肝炎キャリアの人口は約1.2億人に達するとも言われています。B型肝炎の感染ルートはわずか3種類に限定されており、通常、仕事上の接触で感染に至ることはないと、すでに医学上証明されています。

 中国では、今まで、B型肝炎キャリアは「理髪美容業、銭湯業など顧客に直接サービスを提供する」仕事に従事してはならないとの制限はありましたが、その他の業種においてB型肝炎キャリアを差別してはならず、またB型肝炎キャリアを理由に採用を拒否してはならないとされています。

 ところが、今もなお、多くの中国人はB型肝炎に対して正しい認識を持っておらず、またはキャリアに対して偏見を持っています。雇用者側も従業員を雇用する際にB型肝炎項目の健康診断を要求し、応募者がキャリアに該当すれば、その業種を問わず、採用を取りやめるケースが依然多く見られます。このような現状を受けて、今回の「12号令」では、B型肝炎キャリアの就業差別の禁止があらためて強調されています。

 2 「12号令」の主な内容

 1) 健康診断におけるB型肝炎項目の取消

 「12号令」では、雇用者が就業に伴う健康診断を実施する際に、B型肝炎項目の検査(いわゆる「5項目検査とHBV-DNA検査」)を行ってはならず、また、労働者にB型肝炎項目検査の結果報告を要求し、労働者がキャリアかどうかの確認を行ってはならないとされています。

 一方、B型肝炎項目検査が必要となる特殊な業種について、当該業界の主管部門により衛生部に研究報告および書面申請を提出した上で、衛生部がそれを審査し社会に公布するとされています。

 2) B型肝炎キャリアのプライバシーの権利の保護

 上述の衛生部が許可・公布した特殊な業種以外で、労働者が自ら要求した場合のみ、雇用者はB型肝炎項目を検査することができます。この場合、検査結果の報告を密封しなければならず、労働者本人以外のいかなる組織および個人もこの報告を開封してはならないとされています。

 3) 雇用者に対する監督

 「12号令」に違反し、労働者に対してB型肝炎項目の検査を要求する雇用者について、労働部門による検査の制止・是正が行われ、「就業サービスおよび就業管理規定」に基づき過料処分が科されます。

 3 「12号令」への留意点

 「12号令」は公布されたものの、衛生部は肝心のB型肝炎項目検査が必要となる業種の範囲をいまだ公布していません。この問題について、筆者は3月上旬に衛生部門、人的資源および社会保障部門などに対して、「どの業種が『特殊な業種』に該当するか」と電話で問い合わせを行いましたが、上述の諸部門から明確な回答は得られませんでした。企業およびB型肝炎キャリアの権利をより良く保護するためにも、関連部門からの一日も早い業種リストの公布が期待されています。



 作者:韓晏元 潤明法律事務所パートナー弁護士 神戸大学博士(法学)
 


 作者: 李航  潤明法律事務所弁護士 神戸大学法学修士(同大学法学研究科博士後期課程中退)

 「人民網日本語版」2010年3月25日

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