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                  ――医療機器販売コンサルタント・高谷彰之さん

【第78回】

    中国経済の高成長を背景に、中日両国の経済交流が日増しに活発化しているが、人の命にかかわる医療分野も例外ではない。しかし、一般的なビジネスと異なり、医療機器の販売は人の命にかかわるという特性上、「人と人との交流」「信頼関係」が極めて重要となってくる。


    「中国で商業的なプロモーションを行って売り上げもすごく伸びたのですが、それは日本の先生を招いてデモンストレーションを行うなど、日中間の交流に力を入れてきたからこそというのがあるので、やっぱり交流があって初めていろんな『商流』ができるというのが本当の姿だと思います」


    こう語るのは日本の医療機器大手テルモの駐在員として香港と北京で10年間、中国市場の開拓に取り組んできた高谷彰之(たかや・あきゆき)さん(39)。中国に心臓手術デバイスで進出した98年、わずか2億円だった大陸部での同社売り上げをその10年後には60億円へと約30倍に成長させ、心臓手術デバイスでは0だった市場シェアも20%以上に拡大させた立役者の一人だ。


    「自分で何をやらなきゃいけないのかっていうのを考えて、自分がこのためにやりたいと思ったことをやるというのが本当なんだと思う」と話す高谷さん。海外進出のノウハウを持たない企業をサポートするため、安定した会社勤めを止めて独立を決断した。「10年間培ってきた経験を活かして、ノウハウがないために中国進出ができない企業のお手伝いをできないだろうか、と思いました。医療の分野で日本が中国に貢献できるかもしれないし、日本もそれでちゃんとビジネスにつながれば、お互いにとってプラスとなる関係が築いていけるのではないでしょうか」----。こう淡々と語る高谷の瞳には熱いものが感じられた。



   ---- どうして独立に踏み切ったのですか?

   大きな企業であれば、年間2-3千万かかる費用を負担して駐在員を駐在させることができますし、そうした関連のノウハウも持っているので、海外進出をすることはわりと容易です。しかし中小企業となると、ニーズに合致した「ニッチ」なものを持っていたとしても、大企業のような海外進出のノウハウがなかったり、広大な中国市場ではどこと組んでいいのか分からなかったり、というような問題があります。そういうことを考えると、大きな企業でやるより、10年間培ってきた経験を活かして、いいものを持っているのにノウハウがないために中国進出ができない企業のお手伝いをできないだろうか、と思いました。

   駐在員として中国に10年間いたのは何のためかといったら、そのためだと思うんですね。医療の分野で日本が中国に貢献できるかもしれないし、日本もそれでちゃんとビジネスにつながれば、お互いにとってプラスとなる関係が築いていけるのではないか、というのが本心的なところですね。

   ---- 医療機器販売コンサルタントということですが、具体的にはどのようなお仕事なのでしょうか?

    簡単に言えば、日本メーカーの中国進出を中国側でお手伝いする仕事です。ずっと見ていて、メーカーが中国国内で販売していくときに、ほとんど苦戦するパターンは、日本の国内のメーカーが中国の代理店を設定してから、お任せ状態になってしまうという場合です。最初のうちは、ぐんと数字が伸びているように見えるんですが、その後分からなくなってしまう。メーカーの方も忙しいため、なかなか手が回らないわけです。そのため、メーカーと中国の代理店間において、ただ提案するだけではなく、実際その遂行の部分にまで深く入り込んでお手伝いしていくという状態をつくる人がいないと、本来の信頼関係ができなくなってしまいます。信頼関係がないと、ビジネスは基本的に成り立ちません。特に医療関係は信頼が重要です。

    ----その深い部分まで入り込んで、日本のメーカーと中国の代理店間の橋渡しをする役割を高谷さんが担うわけですね。

    中国の代理店と日本のメーカーの仲を取り持つ仕事や、市場を管理する仕事などをしてきたので、そうした経験をうまく活かせていければと考えています。

    問題が起こることは避けられないので、必ず行ったり来たりする人が必要になってきます。そうしたことも全部ひっくるめて、海外進出のノウハウを持っていない会社があれば、私たちがそこを全部調整して、問題点があったら問題点を持ち帰り、解決しながら前に進んでいくということを繰り返すわけです。時間も手間もかかりますから、正直楽な仕事ではありませんが、誰かがやらなければいけないことだと思っています。

取材場所=高谷さんの友人のデザイナー大治将典さんらのクラフト作品を販売するショップ「艾富潔」で。





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