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                                                                         ――俳優・木幡竜さん

【第27回】

     4月に公開された映画「南京!南京!」は1億7000万元の興行成績を記録、一日本兵の視点から南京大虐殺を描いたことで賛否両論を呼んだ。この大ヒット作で、鬼畜と化しながらも心の動揺が見え隠れする伊田役を演じ、その演技力で観客を映画の世界に引き込んだ木幡竜さんに、撮影現場でのエピソードや映画の宣伝で中国全土を回ったときの様子などを聞いた。


     映画「南京!南京!」に参加しようと思ったきっかけは?

     陸川(ルー・チュアン)監督の「ココシリ」(東京国際映画祭で審査員特別賞を受賞)を観て即決しました。陸川監督から「中国人がこれを演じるべきではない。本物の日本人に演じてほしい」と書かれた手紙をもらったのも参加のきっかけになりました。

    どういった経緯で「南京!南京!」への出演が決まったんですか?

     詳しくは知りません。後から聞いた話ですが900人ぐらいの中から選ばれたと聞いています。主要の日本人キャストは6人いましたが、そのうちの3人が日本から呼ばれた役者で、あとの3人が中国在住の日本人役者でした。

    どういうふうに役作りされたんですか?

    最初に陸川監督と話をしました。監督からは、「伊田という役はシンプルじゃない。多面的な人間だから、簡単な表現をするな」ということをうるさく言われました。人間だからただ単に暴力的なヤツなんていない、そうなった経緯や理由をちゃんと表現しないといけない、と。現場でセリフが変わる事もよくありましたが、しっかりとした人間像が共通認識として出来上がっていたので対応できたと思います。「伊田だったらどういう言い方で言う?」「じゃ、こういう風な言い方ができる?」という陸川監督とのやり取りの中でセリフが固まってきたりしていました。

「南京!南京!」映画のシーン

    題材が題材なだけに、撮影中はどうでしたか?

     撮影の最後の方は人に会いたくなくなってしまって、部屋にずっとこもっていました。撮影以外で人に会いたくないんです。寂しがり屋なんですが、人に会いたくなかったんです(笑)。

    木幡さんの「伊田像」を教えてもらえますか?

     「矛盾」が大きなキーワードになっているように思います。人間としての「矛盾」、国家としての「矛盾」、戦争の「矛盾」。それを一手に引き受けていたのが、伊田という役ではないでしょうか。実際、台詞も矛盾しています。唐先生には「生きているほういいだろう」というセリフを言い、唐先生の義理の妹を殺した時には「死んだほうがよかったんだ」と、最後に唐先生射殺のシーンには「人間はみんな死ぬんだよ」と。陸川監督は伊田という役に何か哲学的なものを求めていたように思います。生きるということに対するいろいろな哲学やエゴ。あの時に口にした3つのセリフはどれもその時伊田の本心から出た言葉なんです。僕は伊田という役が興味深かったのは、伊田が戦争の問題点を提示しているからなんです。人間が目を背けたくなるような、でも誰しもが実は密かに持っているような部分。普通の人間も状況によってはそういうふうになってしまう恐れがある。だから戦争は怖い戦争は愚かだという事が伝わるのではないでしょうか。


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