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【第45回】
内モンゴル・オルドスの砂漠化を改善するべく 、現地の人々とともに緑化に取り組んでいる坂本さんの活動を、 ホームページ を通じて知った私は、その熱意に感銘を受け、ぜひ植林 についてのお話をうかがいたいと思った。坂本さんは2006年、有限会社「バンベン」を立ち上げて本 格的な「事業」としての緑化を目指しているという。植林のため、ちょうど中国滞在中だった坂本さ んにインタビューする機会を得た。
10月24日、内モンゴルオルドス市オトク旗スージー村で第9回ウラ ンダワ砂漠日中共同植林が行われました。
当日は地元の住民や政府関係者約30人と中国在住のビジネスマン・ 留学生・ボランティアなど日本人15人が共にスコップを取り砂漠緑化のために汗を流しました。今回 は「沙柳(シャーリュウ)」という潅木と「羊柴(ヤンツアイ)」という牧草を中心に植えました。 どちらも砂丘の固定化という意味で大変有効で、しかも家畜の飼料として何年も刈り続けることがで きる優れものです。地元の人たちとペアを組んで1本1本心を込めて植えました。当日は5ヘクタールほ どの植林が出来ましたが、後日現地住民だけで更に25ヘクタールの植林を行います。1日中思いっきり 木を植え続けた後は村の集会所で交流会。共に羊を食べ、美酒を浴び、歌ったり踊ったり、夜更けま でたっぷりと親睦を深めました。
私は青年海外協力隊隊員として1991年7月から3年間、中国内モ ンゴル自治区オルドスモンゴル族中学で日本語を教えました。言葉が通じず、生活習慣も大きく違う オルドスでの活動は大変でしたけど、素直で明るい生徒たちや親切な先生たちに囲まれ、3年間有意義 に過ごすことができました。
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青年海外協力隊隊員としてオルドスで授業している風景 |
そして、オルドスの人たちとの交流も徐々に深まってくると、オル ドスが抱える深刻な問題、「砂漠化」のことについても深く考えるようになりました。実際、生徒た ちから聞いた数々の砂漠化の話にはすさまじいものがありました。砂丘に家を呑み込まれて、移転を 余儀なくされた者もいました。実際に生徒たちと植林をする機会もあり、どうやったらこの砂漠化を 食い止めることができるのか、重い宿題を背負ったような気がしました。
それから9年経った2003年夏。オルドスで同窓会が開かれ、たまた ま僕も参加することになりました。私が教えていた生徒たちはいつの間にか立派な大人になっていま した。オルドスで教師になったり、医者になったり、弁護士になったり、村長さんになった人もいま す。みんなオルドスでがんばっています。そんな彼らと触れ合ってこちらもオルドスに対する想いが 溢れそうになりました。「これから自分ができること、それはオルドスと日本を結ぶこと」そして「 どうせやるならオルドスで一番深刻な問題である砂漠緑化に挑戦しよう」その時、そう決心しました 。
当年の教え子たち |
03年に同窓会に参加したとき、僕が来年からオルドスの砂漠緑化 に取り組んでいきたい、と生徒たちに語ったところ、生徒の一人で副鎮長になっていたものが、「先 生、それならまずうち鎮の村を見に来てください」ということになり、04年にその村(スージー村 )を視察しました。そこの人々は緑化に対する意識が高く、地下水も豊富で、ほんの30年前までは 灌木の生い茂った緑豊かな場所だったとのこと。何より私の教え子が副鎮長を務めていので活動がス ムーズに行えそうなのでその村の「ウランダワ砂漠」を最初の植林地に決めました。「ウランダワ」 とはモンゴル語で「赤い丘」という意味。面積は6000ha、で村の3分の1を占めています。 20 04年末こちらが売り上げの一部2万元(約25万円)を寄付し、2005年春からスタートをする ことになりました。その贈呈式がたまたま地元のニュースで取り上げられ、「オルドスに縁のある日 本人がたった一人で緑化活動に取り組もうとしているのに我々が黙っているわけにはいかない」と地 元政府からも資金がつぎ込まれました。2005年4月の第1回日中共同植林の時には、こちらの予 想を上回る10万本の苗木を用意してくれただけでなく、今回の植林活動のために今まではジープし か通れない砂漠に通じる8キロの道を簡易舗装したり、ウランダワ砂漠6000ヘクタールを完全に 柵で囲み羊の侵入を防いだり、完璧な状態で事業をスタートすることになりました。私の寄付が呼び 水となった格好で、地元主体の事業となりとてもうれしかったです。地元の牧民たちも非常に協力的 で、積極的に植林活動に参加したり、禁牧を守ったり、我々が調査に行った時は昼食を提供してくれ たり、この活動を自分たちの活動だという意識が感じられます。