格聶南綫を行く

2023年04月17日09:22

作者:ワナカキヨシ

撮影場所:四川省甘孜蔵(カンゼ・チベット)族自治州格聶南綫

四川省の国道318号沿線の理塘から格聶南綫を行き格聶(グーニエ)神山を目指しました。格聶神山はチベット高原の東部を走る横断山脈中の沙魯里(シャロリ)山脈にあり、主峰は海抜6204mの格聶神山で、“横断の心”と呼ばれる四川省第三の高峰、チベット仏教24神山の第13座女神山です。格聶はチベット語で“呷瑪日巴”(ガマリバ)、居士の意で、在家信徒を意味します。行路の途中には、池の周囲の水草や土、池の緑草と土で、池が人間の眼のように見える“格聶の眼”があり、格聶神山のビュースポットです。“通往天堂的眼睛”(天堂に通じる眼)と言われ、晴れた日には魔神の主峰が眼に映ると言われます。

格聶峰の麓の冷古寺で泊まりました。冷古寺は西蔵仏教の黄教発祥の寺で、お寺の厨房で大鍋のチベットミルクティーを御馳走になりました。朝、冷古寺の黄色い建物の真上で雪の格聶神山が朝日に輝いていました。

冷古寺から格聶峰を見ながら格聶南綫を進むとチベット族の山の牧場がありました。遊んでいた幼い兄妹が笑顔で手を振り歓迎してくれたのがとても印象に残っています。牧場の御主人に格聶神山が最も美しく見える山の上のすばらしい場所に案内していただきました。彼らは夏から秋を牧場で過ごして1週間後には麓の村に降りると話しました。夏の間、兄妹はすばらしい景色を見ながら毎日牧場を駆け回っていたのでしょう。

格聶南綫は変化に富むすばらしい道でした。理塘から山に入ると、すぐに鉄の塊のような海抜4770mの鉄匠山があり、しばらく行くと雪の格聶峰が現れ、高原の温泉では地元の人たちが足湯をしていました。そして不思議な形の岩山、扎瓦拉雪山が見渡せる海抜5020mの扎瓦拉峠を通り、格聶南綫はチベットと四川の境の巴塘に続いています。