六、少数民族の権利
中国は各民族の一律平等および少数民族に対する特殊保護の政策を実行している。少数民族の人民は漢民族の人民と同じく憲法と法律に規定されているすべての公民権を平等に享有するだけでなく、法によって少数民族特有のさまざまな権利をも享有している。
少数民族は、国家事務管理と自民族事務管理に参与する権利を享有している。第九期の全国人民代表大会と全国政治協商会議には五十五の少数民族はいずれも自民族の代表と委員を送り出している。全国総人口の八・九八%を占める少数民族には、全人代代表が代表総数の一四・三七%を占める四百二十八人おり、全国政治協商会議委員が委員総数の一一・七%を占める二百五十七人いる。各少数民族が集中して居住する地方では、民族区域自治が実行されている。一九七八年以来、中国では六十三の民族自治地方が新たに設置され、いまでは、全国に合わせて五つの少数民族自治区、三十の自治州、百二十の自治県(旗)、千二百余りの民族郷がある。全国の五十五の少数民族のうち、四十四の民族はすでに自治地方を設置し、区域自治を実行している人口は少数民族総人口の七五%を占めている。民族区域自治制度は各少数民族の人民に本地区と自民族の事務を管理する自治権を十分に与えている。「民族区域自治法」の規定によると、民族自治地方の人民代表大会常務委員会の主任または副主任は、区域自治を実行する民族の公民が担任し、各自治区主席、自治州州長、自治県県長はみな、区域自治を実行する民族の公民が担任し、自治地方の人民政府のその他の構成員はできるだけ区域自治を実行する民族とその他の少数民族の人を配備するようにしている。現在、全国の少数民族幹部はすでに二百五十万人に達している。一九九八年、チベット族の幹部はチベット自治区幹部総数の七四・九%を占めた。
国は、少数民族地区の経済と社会発展に対し扶助政策を実行し、資金、技術、人材などの面から支援を与えて、少数民族地区の経済発展と社会進歩を促し、少数民族大衆の生活水準を高めている。統計によると、一九九七年、少数民族地区の国内総生産はすでに一九七八年の三百二十四億元から二十一倍増の七千八十七億元に増え、年平均伸び率は一〇・九%で、全国の平均伸び率より一・一ポイント高いものであった。一人当たり国内総生産は二百四十七元から十五倍増の四千五十三元に増えた。少数民族地区の農民の一人当たり純収入は、一九七八年の百二十元から一九九七年の千四百八十二元へと、十一倍以上増えた。都市部住民の可処分所得は、三百七十五元から四千八百十八元へと、十二倍近く増えた。
近年、中央政府がチベットに与える財政補助は、毎年のように十二億元を上回った。五〇年代から一九九七年までに、中央政府はチベットに合わせて四百余億元を投入し、大量の物資をチベットに運んだ。一九八四年の全国の九省・直轄市の四十三件のチベット援助プロジェクトに次いで、一九九四年には中央政府と全国各地はまたも六十二件のプロジェクトの建設を無償援助し、総投資額は四十億元に達し、すでに六十件が完工した。これらの援助と支持は、チベット経済の発展と人民生活水準の改善をこの上なく大きく促した。統計によると、ここ五年来、チベット経済は平均一二・九%の率で成長し、二年続いて全国平均水準を超えた。一九九八年、全チベット自治区の農民・牧畜民の一人当たり収入は千百五十元に達し、都市部住民の一人当たり生計費所得は初めて全国平均水準を超えて五千百三十元に達した。都市部の一人当たり居住面積は全国平均水準より五平方米多い十四平方米となり、農村の一人当たり居住面積は二十平方米以上に達し、全国平均水準とほぼ同じである。全自治区の総人口は民主改革前の百余万人から一九九八年の二百四十余万人に増え、平均予期寿命は三十歳延びた。
少数民族の教育・文化権利は保障されている。一九九七年の少数民族の専任教師数は一九七八年の四十三万三千人から八十三万三千二百人に増え、各級各種学校における少数民族学生・生徒の在校生数は千二十四万八千人から二千九百余万人に増えた。普通大学、高校・中学、小学校の少数民族学生・生徒数の学生・生徒総数に占める比率は、それぞれ六・八%、六・七%、八・九%であった。内蒙古など少数民族が集中して居住する八つの省(自治区)の学齢児童入学率は九七・六%に達している。五十五の少数民族はいずれも自民族の大学生があり、そのうち十数の少数民族の一万人あたり大学生数は全国平均水準を超えた。旧チベットには、近代的と言えるような学校は一校もなく、文盲率は九七%にも達したが、一九九八年現在、全自治区には各級各種学校が四千三百六十五校あり、文盲率は四十七ポイント下がった。新疆ウイグル自治区の青壮年の文盲率は九六%以上で、全国平均水準より二ポイント高いものである。
中国は、少数民族の伝統的文化と宗教信仰の自由の保護を重視している。中国では、各少数民族は、法によって自民族の言語と文字を使用し、発展させる自由、自民族の風俗と習慣を保持するかまたは改革する自由、宗教信仰の自由を享有している。統計によると、全国に、漢語と少数民族の言語を同時に使って授業する各種の学校が一万余校あり、使用する少数民族の言語は六十余種に達している。チベットでは、小中学校は漢語とチベット語で授業しており、大学と高等・中等専門学校はチベット語学部またはチベット語クラスを開設している。チベット族の優秀な伝統的文化は受け継がれ、発展している。目下、全国に、チベット学の研究機構が五十余あり、研究者は数千人にのぼっている。チベット族の民間文化・芸術遺産は、大規模に、系統的に調査、収集、整理、出版されている。大量のチベット語の古代典籍が整理、保護され、チベット人民出版社は仏教経典、チベット医書、チベット暦法、歴史典籍、人物伝記、民族・民間の文芸書籍などを含む古代の有名な著作を重点的に整理、出版した。チベット図書館だけでも、チベット語の古代典籍を保護するために、十余万冊も収集、整理した。「ゲサル王伝」は民間で伝わっている英雄史詩で、自治区は専門機構を設けてそれを応急的に整理し、これまでに五千余万字を整理し、それを研究する専門書を三十余部出版した。チベットの数多くの貴重な文化財は保護を受け、ポタラ宮の修繕工事が終わったあと、チベット自治区政府は二千六百万元を支出して、カンデン寺を全面的に修繕し、一九九七年十月に完成した。
少数民族地区の医療衛生条件は著しく改善された。チベットでは、医療・衛生施設が都市と農村にくまなく設けられ、一九九七年末現在、衛生機構は千三百二十四カ所、病院のベッド数は六千二百四十六台で、千人当たり二・五台以上あり、技術専従者は一万九百二十九人に達し、千人当たりに医者が一・八四人いる。寧夏回族自治区には衛生機構が四百七十六カ所あり、千人当たりに医者が五・一五人おり、一人当たり衛生事業費は十九・五一元で、一九五七年よりそれぞれ五一・五九%、二一三・四一%、二九二三・一四%増えた。貧しい山間地帯の医者と薬品不足の状況は徹底的に改められた。