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2000.3.30 |
| 99年の米国人権記録 | ||||||||||||||||
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人種差別はアメリカで、最も長期間にわたる最も深刻な社会問題である。昨年、アメリカの政府当局による中国系アメリカ人科学者の李文和(ウェンホー・リー)氏の核スパイ疑惑事件の処理で、アメリカ固有の人種差別問題が再度浮き彫りにされた。FBIには李文和氏がスパイ行為を行ったことを証明する証拠がないという状況であったにもかかわらず、米司法省は機密を不法に扱ったという罪名で李文和氏の起訴に踏み切ったのである。米中央情報局(CIA)のジョン・ドイッチュ前局長もかつて李文和氏と似たようなことをしたことがあったが、機密文書に接する資格を取り消されただけであった。それに対して李文和氏は政府によって一年間監視されることになり、しかも刑務所に収監されて保釈さえ許されなかった。アメリカ当局がただ李文和氏のことだけを特に指摘して調査したのは、李氏が中国系であったからにすぎない。アメリカの『ウォーカーズ・ワールド』誌が昨年十二月二十三日に掲載した文章は、このようなあからさまな差別は「マッカーシズムの再来である」と指摘した。アメリカのある基金会とハーバード大学の不平等と社会政策マルチディシプリナリー・トレーニング・プログラムによる昨年十月の調査によって明らかになったように、アメリカ文化における人種の影響は根強く、多くのアメリカ人が意識しあるいは認めたいと願っていることよりはるかに深刻なものである(注21)。 アメリカの人種差別は至る所に存在している。黒人はアメリカの人口の一三%にすぎないが、服役囚の総計の四九%を黒人が占めている。黒人女性が収監されて刑に服する比率は白人女性の八倍以上も高く、ラテン系アメリカ人の女性が収監されて刑に服する比率は白人女性の四倍近くになる。十八歳以上のアメリカ・インディアンのうち、二十五人につき一人が刑務所で服役中か執行猶予中、あるいは仮釈放中である。米医療協会が昨年三月に公表した調査レポートは、白人で貧困ライン以下の生活をしている人は一五・三%だけで、メキシコ系アメリカ人と黒人の貧困率はそれぞれ四五・七%と四二・五%に達していることを明らかにした。また、米移民研究センターが昨年九月二日に発表したレポートは、移民の貧困率は一九七九年から九七年までの間に一二三%増え、移民家庭の貧困率は一五・五%から二一・八%に上昇し、貧困人口は二百七十万人から七百七十万人にまで増えたと指摘した。また、一九八九年から九七年までの間に新たに増えた貧困人口のうち、移民は七五%を占める三百万人に達した(注22)。教育の面では、白人が平均して十二・八年の教育を受けているのに対し、黒人とメキシコ系アメリカ人はそれぞれ十一・八年と九・三年足らずであるにすぎない(注23)。また、ニューヨークの白人の十分の三は少なくとも一つの大学の卒業証書を取得しているが、ラテン系とアフリカ系アメリカ人で大学の卒業証書を取得している人は十分の一にも満たない。アメリカの少数民族はすべての健康基準の面で白人より遅れていると言ってもよい。アメリカの黒人、スペイン系アメリカ人、先住民族が総人口に占める割合は二四%であるが、そういった人びとに対する医師の数は医師の総数の七%にすぎない。一九九六年生まれの白人男子の想定平均寿命は七十四歳であるのに対し、黒人男子の想定寿命は六十六歳である。また、女子の場合も白人は八十歳であるのに対し、黒人は七十四歳にとどまる。黒人と先住民族の乳幼児の死亡率はそれぞれ白人より二倍と一・五倍高い。スペイン系アメリカ人と黒人のそれぞれ三八%と二四%が医療保険に加入していないのに対し、白人は一四%のみである(注24)。さらに、デトロイトでは、手に職のない白人の失業者が新しい職を見つけるまでに平均して九十一時間を費やすが、黒人の場合は百六十七時間かかる(注25)。そればかりでなく、黒人の農民は政府の特別貸し付けを得る面で、少数民族はエイズの治療を受ける面でいずれも差別を受けている(注26)。 人種差別による警察官の暴力も、次々と表沙汰にされている。昨年三月十六日付の『ニューヨーク・タイムズ』紙の黒人の住民を対象とした調査により、警察官は黒人に対し常に暴力的だと九〇%近くの人が感じていることが明らかになった。昨年発表されたある別の調査は、五五%のラテン系アメリカ人と六三%の黒人が最近では警察官の乱暴な行為が増えていると感じており、六七%のラテン系アメリカ人が今の警察官は白人の肩を持ち、その他のマイノリティー人種の市民に対しては暴力的方法を取ると感じていることを明らかにした(注27)。アメリカの警察官は常に、皮膚の色が白いか黒いかを犯罪容疑の判断の基準にしている。アメリカの裁判所は、ある人に尋問を行うべきかどうかを決めるのに「人種」が問われることはかまわないと明文規定している。昨年三月の人権観察報告によると、九六年にシカゴの警察官の行為が野蛮で、問題を処理する際に人種差別的傾向が存在し、さらには暴力まで乱用したと告訴した三千人の人びと(その大多数が黒人とラテン系の人びと)がいたが、今までに解雇された警察官は一人もいない。サンフランシスコにおいて一九九三年から九六年までの間に、警察官の発砲によって射殺された人のうちの七五%はマイノリティーの人たちあるいは低収入地域の人であった。リノ司法長官は過去五年間に、警察官が職権を乱用して有色人種を虐待した事件三百件余りを米司法省が処理したことを認めた。昨年二月四日、四人のニューヨークの警察官は何ら前科のない二十二歳の西アフリカからの黒人移民アマドウ・ディアロ氏を容疑者と「誤認」し、相手が全くの素手であったにもかかわらず四十一発の弾を続けて発砲し、そのうち二十四発が命中して氏は死亡した。この事件はアメリカの警察官がみだりに暴力を振るう最近の典型的な事例となった。『ニューヨーク・タイムズ』紙は昨年五月二日付で、黒人の家庭では収入が多い少ないにかかわらず、いつの日か警察官に犯人者だと誤認されて射殺されるのではないかとだれもが脅えていると報道した。 人種憎悪による殺人事件は増加する一方で、白人至上を吹聴するさまざまな組織が次から次へと設立され、黒人、ユダヤ人、アジア人を攻撃目標と見なし、世間を震え上がらせるような人種への怨恨による殺人事件を絶えず起こしている。統計によると、アメリカの白人の「ヘイトリド・グループ」の数は一九九七年の四百七十四から九八年には五百三十七に激増した。米司法省は、一九九八年に発生した九千件近くの殺人事件のうち、半数以上が人種憎悪による殺人と関係があると発表した。人種憎悪による殺人のうち、アメリカ・インディアンが最も侵害されやすく、米司法省が昨年作成した統計データによると、九二年から九六年のまでの間に、十二歳以上のアメリカ・インディアンの千人につき百二十四人が犯罪の被害者となっており、この割合は黒人の二倍で、全国平均水準の二・五倍である。人種対立の激化によって、アメリカで三十年余り実施されてきた人種差別の悪い結果を償うという趣旨の「公民権法」は攻撃にさらされている。 |
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