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Vol.6(2008/9/05発行)
【特集】
日本のコンサルティング業の対中研究

 中国経済の凄まじい発展は、海外投資者の目線を引き寄せると同時に、コンサルティング会社の対中研究を推し進めている。世界の有名なコンサルティング会社が盛んに中国に進出したのは90年代の半ば頃だが、中国経済を対象とした研究はもっと早い時期から始められていた。海外のコンサルティング業の対中研究は、中国の経済の発展にとともない、どのような段階を経てきたのか。また転換期にある現在の中国経済はどう見られているのか。野村総合研究所コンサルティング事業本部の主席コンサルタントを務める松野豊氏に聞いた。

日本のコンサルティング業はいつから中国経済を研究し始めたのですか。研究の中心内容はここ数十年間の間にどのように変化してきましたか。

 日本のコンサルティング業の中国研究は、日中関係が回復した72年頃からですね。80年代の初め頃には、対中研究の第一次ブームが形成されました。新中国は、その時の日本にとってまったく未知の国で、日本人はその時から中国がどういう政策を取っているか、どういう貿易ができるのか、やはり体制研究を中心に研究をはじめました。

  その次は、2001年にWTOに加盟した時からです。WTO加盟で、世界と一体となった経済活動を行い、世界のルールを守ろうという中国の決意が表明されました。対中研究はその時から新たなステージに発展してきました。中国の産業のどこにポテンシャルがあり、日本企業が中国で工場を作って何を生産しどこに輸出するかなどは、市場経済体制に突入した中国を研究しなければなりません。

最近は外国資本の対中投資が減っていますが、中国政府の環境保護への重視や人件費の高まりなどがその原因の一部といわれています。この変化は対中研究にどのような影響をもたらしていますか。

 今は対中投資が減ってきていますが、日本企業は以前と違って中国で物を売るようになってきています。中国を工場とするとらえ方は市場とするとらえ方に変わりつつあります。市場として物を売ることを視野に考えれば、例えば中国人の消費生活などマーケット研究が重要になり、こうした研究が多くなってきています。

日本のコンサルティング会社と欧米のコンサルティング会社との間に違いはありますか。日本のコンサルティング会社が中国市場に進出する優位性はどこにありますか。野村総研(上海)公司の業務は日本の会社を対象に進められているのですか。中国の顧客もいるのでしょうか。

 欧米系のコンサルティング会社は、世界での成功事例を持ち込みます。欧米系の会社はさまざまな事例を分析し、「こうやると儲かる」「これが私たちのノウハウだ」とお客さんに提示します。日本のコンサルティング会社はまずお客さんのことを聞き、お客さんと一緒に考えて、「これでいいですか」と確認しながら進めます。業界の言い方で言えば、コンサルティング手法に違いがあります。

 さらに言えば、欧米系の会社は、人がどんどん変わります。だから、ちゃんとマニュアルがあって、人が変わってもマニュアルを基に仕事が進められます。日本の会社はあまり人が変わりません。30年前の日本を知っている、30年前のあなたの会社を知っているという人も多くいます。コンサルティング業は経験の蓄積がものすごく大事です。いろんな失敗を見たりして、20年やってやっと一人前になります。中国は市場経済に入って間もなく、成功事例も蓄積されていないので、コンサルティング業界はまだ発達していません。野村総研(上海)の顧客の半分は日系企業で、もう半分は中国政府からの委託ですね。地域開発や都市建設については、中国は欧米よりも日本を参考にしているからです。(記者 王晴)

 

補足:清華大学・野村総研中国研究センター

清華大学・野村総研中国研究センターは、2007年4月に株式会社野村総合研究所が中国清華大学と共同で設立した。清華大学をベースに、中国の他大学・研究機関と連携してプロジェクトチームを編成し、中日両方の経験やノウハウを生かし、中国の経済・社会・産業を総合的に研究する。

 

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