一週刊  第90号  2008年10月09日  
 
 

   西安名物「羊肉泡モオ」を楽しもう

 
 

 中国西北部、陝西省の省都である西安市は、有名な観光都市です。秦の始皇帝陵や兵馬俑などさまざまな見どころがあるほか、美味しい名物料理がたくさんあります。その中でも、軽食の「羊肉泡モオ」は特に有名です。羊肉や野菜を煮込んだスープが効いた、すいとんのような料理です。

 「羊肉泡モオ」については、こんな物語が伝わっています。今からおよそ1000年前、のちに宋の初代皇帝となる趙匡胤(キョウイン)という人物がいました。実家は貧しく、長安(今の西安)の町で浮浪者のような生活を送っていました。ある日、趙匡胤はひもじさのあまりポケットを探りましたが、出てきたのは乾いてカチカチになった饅頭2つ。しかも、水がないので喉につっかえて、なかなか飲み込むことができません。これを見ていた肉屋の主人は趙匡胤を哀れに思い、店で作っていた羊肉のスープを一杯、趙匡胤に手渡しました。趙匡胤は饅頭をちぎって、このスープにひたして食べました。すると、饅頭がスープを吸収し軟らかくなっただけでなく、体が温まり、胃袋がすっかり満たされたのです。

 10年後、趙匡胤は宋の初代皇帝となりました。ある日、趙匡胤はかつて自分を助けてくれた肉屋の前を通りかかりました。10年前の記憶がすぐによみがえりました。店の主人は趙匡胤を見つけると、昔をなつかしんで、ちぎった饅頭をひたした羊のスープを出してくれました。趙匡胤は喜んで、店の主人に金品を与えたといいます。

 のちに、この料理は饅頭ではなく、「モオ」という小麦粉で作ったナンのようなものを入れるようになり、改良されました。こうして、「羊肉泡モオ」は生まれたのです。

 この料理は庶民の間ですぐに広まり、1000年が経った今も、西安の名物であり続けています。西安の鐘楼鼓楼広場には、88年の歴史をもつ老舗店「同盛祥」があります。この店の「羊肉泡モオ」は肉が柔らかく、スープの味が濃いので、人々の間で「美味しい」と評判です。今年6月には、国の無形文化遺産に認定されるなど、高い評価を受けています。

 お昼時にもなると、店内はお客さんでいっぱいです。お客さんはおしゃべりを楽しみながら、「モオ」をちぎってスープに入れています。そして、ころあいを見て、食べ始めるのです。

 上海からやってきたお客さんは、次のように話しています。

 「北方の人たちは、『羊肉泡モオ』が大好きなようですね。友達が『美味しい』と薦めてくれたんです。食べるときは、この『モオ』をできるだけ細かくちぎって入れるのが、美味しく食べるポイントだそうです。ぜひ食べてみたいと思って、今日はこの店にやってきました」

 さて、この「羊肉泡モオ」は、どのように作られるのでしょうか?「羊肉泡モオ」を出す店の厨房に入ると、土の釜がずらりと並んでいます。釜の上には、お碗と同じ大きさの鍋が置かれています。コック長の馬さんは、一つ一つの鍋に調味料を丁寧に入れています。馬さんは、「羊肉泡モオ」作り方のコツについて、次のように話しています。

 「『羊肉泡モオ』を美味しく作るコツは、スープを美味しく作ることです。塩などの調味料を入れるタイミング、そして火力が決め手となります。作るときは、それらを正確に把握しなければなりません」

 老舗「同盛祥」の「羊肉泡モオ」がなぜ美味しいのか。そこには、コックたちの長年にわたる努力がありました。コックのひとり・烏さんは、次のように紹介してくれました。

 「まずは羊の骨を、水に10時間ほど浸けておきます。羊の臭みを取るためです。骨につやが出てきたら、鍋に入れて弱火で12時間煮込み、その後さらに強火で4時間ほど煮ます。それから、羊の肉を入れます。このような手順で作ると、美味しい出汁が出るんです」

 この「羊肉泡モオ」、作り方と同様、食べ方にもいろいろなコツがあります。陝西省食文化研究会の白剣波副会長は、次のように紹介しました。

 「『羊肉泡モオ』の食べ方は、4パターンあります。一つ目は、スープをほんの少し入れる食べる方法。二つ目は、少しだけスープにひたして食べる方法。三つ目は、スープをたっぷり入れて食べる方法。四つ目は、別にスープを飲みながら具を食べる方法です。それぞれ、違う味を楽しめますよ」

 「羊肉泡モオ」は、西安の庶民の味。西安の人々は、みんな大好きです。西安市民の鄭さんは、面白い話を話してくれました。

 「小さいころ、家族と一緒に映画を見に行きました。映画館の前に『羊肉泡モオ』の店があったので、そこでまず『モオ』を買って、映画を見ながら『モオ』をちぎりました。映画が終わった後、ちぎった『モオ』を店の人に渡すと、スープをかけてくれました。家族4人、映画の話をしながら『羊肉泡モオ』を食べました。あのとき感じた暖かさは今でも忘れられません」

 このほど、西安で「西安のシンボル」を選ぶイベントが行われました。その結果1位となったのが、陝西省出身、中国でよく知られている作家・陳忠実さんと、この「羊肉泡モオ」でした。この結果について、「羊肉泡モオ」とともに1位に選ばれた陳忠実さんはこう見ています。

 「西安といえば、やはり『羊肉泡モオ』ですよ。各地の友人が西安に遊びに来ると、本場の『羊肉泡モオ』を食べたい!とリクエストする人が多いんです。私も『羊肉泡モオ』は大好きだし、ぜひみんなに食べてもらいたい。『羊肉泡モオ』の人気は、永遠に続くと信じています」

(中国国際放送局日本語部より)

 
     

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