中国語版へ

Vol.9(2008/11/5発行)

【特集】

中日経済の新段階--中国を拠り所に回復と発展を実現する日本経済(2)

商務部国際貿易経済協力研究院の中国対外経済貿易研究部副主任 金柏松

三、日本企業の対中投資の日本経済に対する積極的な作用

 まず、低コストの製造を実現できることである。1985年から1995年の日本円の急激な値上がりの期間に、日本企業の製造コストは普遍的に高まり、労働集約型産業と資本集約型、技術集積型産業のバックエンドの加工プロセスが再び大規模に海外移転した。中国は労働力価格が安く、素質が高く、日本との距離が近く、沿海部のインフラが比較的整い、1992年に中国が改革の目標を市場経済体制に明確に置いたことなどの要素に引き付けられて、日本企業の大規模な中国への投資や産業移転が始まり、製品の寿命サイクルの延長や発展チャンスを再度つかみ、競争力を向上させるための優れた環境となった。

 第二に、グローバル化戦略の実施。1990年代後期にIT産業はグローバル化配置を実施し、コスト競争を行い、世界のIT産業は次々と中国に加工基地を置いた。日本のIT産業も速やかに行動を起こして中国に加工基地を設置し、世界範囲でセールスネットワークを設置、資源を合理的に配置し、グローバル化経営戦略を成功させた。

 第三に、日本の輸出を牽引している。2000年以前は、日本企業は中国へ投資して工場を設立し、製造コストを低減することが主な目的で、その製品は主に日本に送り返されて販売されるか、国際的に販売されていた。21世紀に入ってからは中国市場のニーズの潜在力が徐々に顕在化し、中国国内の販売力を対象とした日本の企業の投資が徐々に拡大し、現在国内販売は既に主な地位を占めている。また中国で投資する企業の増加した販売は、日本からより多くの部品や機械設備などを輸入するのを後押しする。

 第四に、迂回輸出を発展させ、日米貿易摩擦を減少させる。中国を加工基地として、米国やEUへの輸出を迂回させ、日本の欧米への直接の輸出を減少させることで、日米貿易摩擦の回避に成功しており、既に13年も安定的に行われている。日本の対米外交の順調な発展の上で重要な障害を取り除いたことになる。

 第五に、日本外交の発展空間を増加させた。日本が中国を加工基地として利用し、米国や欧州への輸出を迂回したことは貿易摩擦の火種を中国へ移植したことに等しい。実際に中米や中国・EUとの間で発生した貿易摩擦中には日本の要素も存在している。しかし中米両国政府は貿易摩擦において触れるべき日本の要素には触れず、緊迫した交渉を行っている。一般的にいって、中米関係が緊迫状態にある際には、いずれもより多くの国際的支持を得ることを希望する。また近隣の日本が支持争奪の対象となる。そのため日本は米国を支持することを選ぶこともできるし、中国を支持することを選ぶこともでき、主動的な地位に立つことで、より多くの外交発展の余地を得る。

 第六に、土地の輸入を増加させる。日本が一部の製造業を中国へ移転することで、日本国内の土地のニーズを減少させ、国土が狭いことによる困難を克服することは、工業用地を輸入したことに等しい。余った土地資源は日本の不動産価格を低下させるだけでなく、日本経済の総合的な競争力を引上げ、またより付加価値の高い産業に条件を提供することもできるようになる。

 第七に、汚染排出を削減し、環境を改善する。現在世界はクリーンな環境を追求する時代に入っており、日本企業は普遍的に環境保護の問題解決を重視している。中国に投資する日本企業も一般的に言って汚染の減少に注意し、環境保護方面で比較的優れている。しかしいずれにしろこうした製造業はゼロ汚染ではないため、中国に移転すると同時に汚染も中国へ排出することになる。その効果は日本の環境を改善することに等しい。

 第八に、日本の海外経済発展のために極めて大きな空間を提供している。経済のグローバル化時代に、一国の経済的実力を測るのはもはやGDPではなく、GNPである。経済の発展した国家の企業であるほど、対外投資を行って、海外の生産拠点を建設し、国外のセールスネットワークをより多く配置し、海外経済規模がより大きくなる。日本企業が中国で投資し、中国で巨大な発展空間を得て、海外経済を発展させることで、経済的実力を大規模に強化することができる。現在、日本は世界最大の債権国で、海外投資の収益は既に貿易黒字を上回っている。これは、日本が中国で得た発展の成功と密接に関連するものだ。

四、日本の対中援助は日本にも経済的利益をもたらす

 日本の中国駐在大使館の発表によると、2004年度までの日本政府の中国への援助の金額は累計で3兆4293億円に達し、中国の改革・開放初期の経済発展に大きな支援となった。しかし日本政府の援助に伴い、日本企業は援助プロジェクトの入札への参加や、入札プロジェクトの建設への参加を通じて、中国市場の情報を理解し、中国に製品や技術、設備を輸出することができた。改革・開放の初期に、こうした経験は日本企業の中国業務発展のために重要な基礎となった。

五、現在の日本経済の景気の方向性は依然として中国の要素に依存

 最近の日本経済の景気循環は2002年初めから回復し、おおむね2007年第4四半期から2008年の第1四半期までの間に転換が生じ、低迷に入っている。外部的原因として第一に、最近中国が緊縮政策を実行し、経済成長が2008年の第1四半期から大きく減速していることがある。中国税関の統計によると、2007年の中国の日本からの輸入は前半部が大きく後半部は小さくなっており、わずか15.8%しか成長していない。同じ時期の米国からの輸入は17.2%増加、EUからは22.4%、アセアンからは21.0%で、日本からの輸入の成長は他の主な貿易パートナーを下回っている。2008年1−7月の中国の日本からの輸入の増加は21.6%、米国からは24.3%、EUからは29.8%、アセアンからは22.7%の増加となっており、日本からの輸入が依然として主なパートナーを下回っている。次に、米国でサブプライムローン危機が発生し、米国の消費が減速、2008年1-7月の日本から米国への輸出はわずか3.2%しか増加していないのに対して、同じ時期の中国から米国への輸出は依然として9.9%増加している。輸出価格上昇の要素を踏まえると、中国の米国向け輸出は基本的に増加していないことになる。これは日本が中国を迂回して米国に輸出している数も増加していないことを意味する。第三に、国際的な大口商品の価格の急騰と世界的なインフレで、日本の貿易取引条件が悪化し、企業の輸出入の利益がいずれも大幅に減少している。第四に日本政府が新たに実施した建築基準法が、2007年下半期から2008年上半期の日本の建築業の経済成長に影響を与えている。第五に、日本の輸入型インフレが個人消費を抑制している。このため、現在日本経済は停滞の中にある。日本経済の外向型の特徴と、輸出への依存度が高い状況を踏まえると、将来も輸出の拡大が依然として経済回復の重要な原動力となると見られる。輸出拡大は依然として中国と米国の経済の急速な回復、及び資源価格と世界のインフレ緩和の程度によって決まる。私の意見では、2009年の中国の経済成長は2008年よりも速いと考える。原因の一つは、2009年に中国で大規模な災害が起こる可能性が極めて低く、GDPが1.0−1.5ポイント大きく成長する可能性があるためだ。第二の原因は、中国の緊縮政策はさらに強化されることはなく、逆に緩和されるだろうからだ。そのため、中国は引き続き日本経済の景気を支え、後押しする中心的な要素となるだろう。

六、現在の日本の中国向け経済政策に存在する問題

 中国経済の急速な発展にともない、日本国内での中国経済が日本に脅威を与えるという観点が、日本政府の対中政策に影響を与えている。日本政府は日本企業の輸出や投資による技術輸出に対して安全を理由として厳しい管理を実施している。中国経済の発展水準が徐々に向上しているため、日本の技術や設備の先進度に対して以前よりより高い要求が求められるのは当然である。例えば、現在中国の経済発展は重工業時代に入っており、大量にエネルギーを消費する時代になっている。日本の省エネ技術は効果が比較的よいが、もし日本政府がこうした技術の中国への輸出を制限するなら、日本経済の景気回復に影響を与えるのは間違いない。前述したように、中国経済の発展には日本が必要であり、日本経済の発展も同様に中国を必要としており、両国間の経済協力は既に、良性の循環のメカニズムと比較的整った国際分業システムを形成している。しかしこのメカニズムは逆に反作用を生むこともありうる。例えば日本が中国への輸出や投資を制限すれば、中国市場も世界のその他の国家に向かい、両国間の経済貿易協力も悪性の循環に陥り、疎遠化する可能性がある。両国政府と経済界の各人が積極的、能動的に困難を克服し、経済貿易協力の強化に尽力することを希望する。

 以上の観点は作者個人の研究の意見であり、政府の制定する政策とは無関係である。

    中日経済の新段階--中国を拠り所に回復と発展を実現する日本経済(1)

発行形式

『中日経済情報週刊』はサービス運営期間中、毎月5日・20日の月2回発行し、その後、本格的に週1回の発行に切り替わります。中日間の経済・貿易に従事する関係者をはじめ、国際的な視野に立って資源を開発したい中日政府の指導者、投資家、企業家、ビジネスマン、研究者の方々への情報サービスをご提供します。

サービス運営期間中、中日両国間に関する投資、企業招致、事業プロジェクト、業界情報など無料で掲載する関連ニュースを受け付けております。選考されたニュースについては、中日の読者にいち速く情報が配信されます。

E-mail:[email protected] / tel:86-10-65574990 / fax:86-10-65579038

人民日報社概況 | 人民網について | 日本語版について | ORI国際産学研究について | 広告受け付け | 情報調査研究 | ご意見・お問合せ

◎本刊に掲載の記事の著作権は人民網日本語版にあるか、著作権者が人民網日本語版の使用を許諾したものです。掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。(特別注記を除く)