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Vol.9(2008/11/5発行)

【中日交流】

「旅を終えて、日中関係改善に向けて私たち若者ができる新たな抱負・夢」

 早稲田大学大学院 アジア太平洋研究科国際関係学専攻 修士1年 林 彬

 約10日間の鑑真和上逆渡航記念プロジェクトは、実りの多い旅であった。多くの人と出会い、交流したことで人間的にも少しばかり成長出来たように思う。今から1250年も前にいた先人たちが私たちを結びつけ、彼の生き方を通じて実に多くの人が影響を受けていることに、今更ながら感銘を受けている。

 私たち学生30名(うち留学生6名)は同じ船に乗り、同じところで生活をし、語り合うことで絆を深めていった。全国から集まった人たちと話すと、その人個人の違いは基より、特に地方性の違いを強く感じさせられた。中国の文化を知る以前に、日本にも多文化が共生しているのだなと考えさせられた旅であった。

 船での二日間は、30人の結束を高め、鑑真についての事前知識、そして各先生方からの貴重なお話を聞くことが出来た。先生方からは、それぞれの違うバックグラウンドから中国に対する思い、そしてこの旅に対する我々への期待を伺い知ることが出来た。

 現代の船を使って丸2日間かかる道を、1250年前の人々は本当に着くのかどうか分からない不安と闘いながら中国からやってきたのだと思うと、本当に困難な道を歩んで来られたことに敬服する。物理的にも制度的にも様々な障害があったはずなのに、鑑真は仏教の戒律を日本に広めたいという思いだけで5回も失敗し、失明までして目的を達成させたことは、現代の我々にも学ぶべきところが多すぎる。鑑真号に乗っていた二日間は、船に揺られながらゆっくりと考えを巡らすことが出来た。

 船が上海に着き、揚州へと向かうことになった。揚州は思った以上に発達していて、綺麗な印象を受けた。私は13年前の北京、武漢、上海にしか行ったことが無く、それらの都市以外については全くといっていいほど無知であった。中国は都市以外全て田舎だと思っていたが、予想以上に綺麗で近代的な建物が多々あったので、中国についての印象は初日にして大きく覆された。揚州大学との交流は、このプロジェクト初の交流イベントでもあり、皆終始緊張気味であったと記憶する。揚州大学の学生に話を聞くと、「日本人はこの大学では10人程しかいない。」と言う。確かに都市ではない揚州に学びに来る日本人は少ないのだろう。そのため揚州側も、滅多に町に訪れない異邦人と接している気持ちなのだろう。私達がこうして訪問することが、彼女達の人生の一部の記憶になり、将来日本に来たいと思えるようなことになればそれはそれで本望だと思う。

 各大学を巡り、数回のディスカッションを通して、私は両国の考え方や感じ方の違いを強く感じることがあった。それはアニメについてだったり、または働き方の認識だったり、果ては戦争についてだったりもする。日中両国は2つの国であるから、互いを完全に理解をすることは不可能に等しい。しかしお互いが自国の文化なり国民の考え方などを発信できなければ、いつまでたっても日中関係を改善することは出来ないと思う。主張すべきところは主張し、相手を理解しようとするというよりも、違いを認識し、享受できる人間になることの方が大事である。これからのグローバル化においてこのような人間は徐々に出てくるであろう。

 5日目に私達は孫文先生の眠る中山陵へ向かった。長い長い階段を登りきり、一番上で見えた景色は圧巻だった。孫文は革命の父と呼ばれ、辛亥革命により王朝制度を倒した人物だ。陵の中の石版をみると、当時の建国についての思想が刻まれていた。孫文もまた、中国の明日を見て自らの命を捧げたのだと思うと、鑑真に通じるものを感じ、鳥肌が立った。いつの世でも、大きな思想、強い意志が世の中を変えるのだろうし、そういった不屈の精神をこの旅では本当に学ばせてもらった。

 日中関係は2005年のデモや、首相の靖国参拝、毒餃子事件などにより、良好な関係だとは言えない状況が続いている。しかし私達が今回出会った大学生達は、本当に私達に礼を尽くしてもてなしてくれ、多くの対話をすることで心を開きあうことが出来た。政治や社会はどうであれ、このような個人の結びつきが大きくなれば、草の根的に国際協力に繋がっていくのではないだろうか。我々は明日の鑑真にはなれないかもしれないが、彼の尊い意思を受け継いで、この旅で感じたことをいつまでも忘れないように、そして数々の先生方が思いを我々に伝えてくれたように、自分も出来るだけ多くの人に経験してきたことを伝え、自分の出来ることから少しずつ取り組んでいこうと思う。

 <その他気づいたこと>

  今回のプロジェクトには関係者の多大な協力があってこそ成功したものだと思います。相当な労力がこのプロジェクトにかかっているのだと実感しています。今後もこのような企画が続いていって欲しいと思いますし、このような企画が我々の代で実現できたら喜ばしい限りだと思います。そのために日々努力して、力をつけなければならないと感じました。本当にありがとうございました。

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