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Vol.19(2009/04/5発行)

【中国法教室】

中国法教室2

 【第2回】中国における外商投資企業の清算手続について

 ーー清算のプロセスについて

 今回は、中国における外商投資企業の清算のプロセスについて、ご説明いたします。

 1.外商投資企業の清算手続に関する法制度の沿革

 外商投資企業の清算手続に関しては、その拠り所として旧対外貿易合作部(現商務部)が1996年6月15日に公布した「外商投資企業清算弁法」(以下、「清算弁法」という)に沿って手続きが行われていました。この清算弁法は、外商投資企業の清算手続を普通清算と特別清算に分け、清算委員会の構成、債権者への通知方法、債務債権の処理方法などを定め、それぞれの清算のプロセスについて、比較的綿密に規定を定めています。しかし、2008年1月15日、中央政府国務院が内資企業と外商投資企業の管理方法を統一するため、外商投資企業のみの適用を前提としたこの清算弁法を廃止しました。

 清算弁法が廃止された結果、外商投資企業を清算する際に、「会社法」、「企業登記管理条例」、「中外合弁経営企業法」等のいわゆる三資企業法に従うことになるしか方法はなく、これらの法律における外商投資企業の清算手続に関する規定は極めて抽象的で、実際にどのように清算手続きを進めるべきなのか、審査認可機関の事前承認の必要性の有無など、各地の審査認可機関と企業登記機関での対応が異なるために、実際の実務では混乱が多々見受けられました。

 これを受けて、商務部弁公庁は2008年5月5日に、「法により外商投資企業の解散および清算作業の実施に関する指導意見」(以下、「指導意見」という)を公布し、外商投資企業の解散事由および審査認可機関の認可取得状況、必要な申請書類等を定めました。しかし指導意見はあくまで商務部が発行したものにすぎず、審査認可機関では適用されるものの、企業登記機関である工商行政管理機関では、依然として具体的な規定がないために混乱が続きました。

 この問題を解決するため、商務部と国家工商行政管理局は、2008年10月20日に共同で「外商投資企業解散抹消登記管理に関わる問題に関する通知」(以下、「226号通知」という)を公布し、ここで改めて外商投資企業の清算および登記抹消の具体的なプロセスを規定したのです。

 2.解散事由

 解散事由とは、企業を清算するに至った原因のことを指しますが、解散事由によって清算のプロセスは異なりますので、あらかじめ解散事由を明確にしておく必要があります。実際に、外商投資企業の解散事由として、以下のような理由により清算が行われてています。

 A 経営期間が満了した場合

 B 著しい欠損により、経営の継続が困難な場合

 C 自然災害等の不可抗力により著しく欠損し、経営の継続が困難な場合

 D 経営の目的を達成できないと同時に発展の見込みがない場合

 E 出資者全員が解散に同意した場合

 F 合弁当事者のいずれかの違約により合弁企業としての経営の継続が困難な場合

 G 企業の経営管理が行き詰まり、その他の解決方法もなく、解散しなければ出資者の利益に重大な損害をもたらす恐れがある場合

 H 営業許可証が取り消され、閉鎖を命じられた場合

 上記AとHの場合、審査認可機関の事前審査認可を受ける必要はなく、外商投資企業が自ら清算委員会を設置し、清算を開始することができます。

 上記BCDEの場合、審査認可機関の事前審査認可を受ける必要があり、この審査認可機関の事前認可を受けてから、はじめて清算委員会を設置することができます。

 上記Fの場合、合弁契約に従い裁判所または仲裁機関から、合弁会社の解散を命じる司法判断を受ける必要がまずあります。なお、解散を命じる司法判断を受ければ、審査認可機関の事前審査認可は必要はなく、その後清算委員会を設置し、清算を開始することができます。

 上記Gの場合、まず裁判所から会社の解散を命じる司法判断を受ける必要があります。なお、この場合、Fと同様、司法判断を受ければ、直接清算委員会を設置し、清算プロセスに入ることができます。

 3.解散のプロセス

 上記のうち具体例として、特によく見受けられるパターンである解散事由?が発生した場合の清算のプロセスは、以下の通りとなります。

 (1) 合弁会社の董事会(取締役会)が解散に関する決議を行う

 (2) 審査認可機関から清算に関わる事前審査認可を受ける

 (3) 審査認可機関の認可を受けてから15日以内に清算委員会を設置する

 (4) 清算委員会を設置してから10日以内に、清算委員名簿を工商行政管理機関に届け出る

 (5) 清算委員会を設置してから10日以内に、債権者に債権の申告を通知し、かつ60日以内に新聞で公告する

 (6) 清算委員会が合弁会社の財産を整理し、資産負債表および財産リストを制定する

 (7) 清算委員会が清算案を作成し、董事会(取締役会)に提出しその確認を受ける

 (8) 合弁会社の財産から、A清算費用、B従業員の賃金、C税金、D債務をそれぞれ弁済する

 (9) 清算委員会が清算報告書を作成し、董事会(取締役会)に提出しその確認を受ける

 (10) 清算委員会が清算報告書を審査認可機関に提出し、その認可を受け、「批准証書」を抹消する

 (11) 税関での登記抹消手続を行う

 (12) 税務機関での登記抹消手続を行う

 (13) 剰余金を合弁当事者に配分した上で、外貨登記抹消手続を行う

 (14) 企業登記抹消手続を行う

 4.留意点

 実際に外商投資企業を清算する際に、審査認可機関への申請書をどのように書くべきか、清算案および清算報告書をどのようにまとめるべきか等、様々な実務の上での問題に遭遇します。特に、従業員との労働契約の円滑な解除方法、債権債務の処理の仕方、また税金の支払い方などは、少しハードルの高い難問とも言えるでしょう。

 次回からは、これらの外商投資企業を清算する際に起こりがちな実務上の問題点をご説明したいと思います。

 (作者:韓晏元 潤明法律事務所パートナー弁護士 神戸大学博士(法学))

----「人民網日本語版」

 【第1回】中国における外商投資企業の清算手続について

 【第2回】中国における外商投資企業の清算手続について

 【第3回】中国における外商投資企業の清算手続について

 【第4回】中国における外商投資企業の清算手続について

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