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Vol.19(2009/04/5発行)

【中国法教室】

中国法教室4

 【第4回】中国における外商投資企業の清算手続について

 ーー資産処理に関わる問題

 外商投資企業を清算する際に、債務者からの債権の回収、債権者への債務の履行をどのように行うのか、また企業の設備、不動産、在庫などの資産をどういう方法で現金化するのか等、うまく行わないと清算期間の遅延や企業資産の減価により、出資者に予定外の損失をもたらすこともあり、外商投資企業の清算プロセスにおいて頭の痛い問題と言えるでしょう。資産処理を行う際、場合によっては法律により強制的に資産評価や競売を求められることもあり、これを怠ると清算委員が責任を追及されることになるので、十分に留意する必要があります。そこで今回は、外商投資企業の清算プロセスにおける資産処理に関わる問題について、ご説明しようと思います。

 1.資産評価

 実務では実際に、外商投資企業の資産負債表などの財務諸表から外商投資企業の資産価値を大まかに判断し、その上で清算手続に入ることが見受けられますが、実はこれは大きな間違いです。そもそも企業の財務諸表とは、一般的に企業が存続する前提で取得価格を基本として作成されたものであり、企業が正常に経営している場合は、これにより企業の資産価値を判断することができますが、企業を清算する場合において、企業存続を前提とした資料で資産価値を判断することは難しく、ここは改めて企業が消滅するという前提で、企業の資産価値を見直す必要があると言えます。

 資産評価を行うことで、出資者は企業の財産状況を客観的に把握することができるため、合理的な清算案を作成する上で非常に有効です。また、清算委員会は、資産評価報告書により企業の資産価値を比較的正確に判断することで、適正な資産現金化価格(販売価格)を確定し、適正な価格による資産販売を実現することができます。

 資産評価を行うか否か、原則的には外商投資企業の自由です。しかし、国有資産が入る合弁会社の場合、一定の状況下において資産評価が義務付けられますので、注意が必要です。

 2.資産の現金化方法

 企業資産とは、清算開始日における企業のすべての資産を指し、債権債務の他に、土地や建物等の不動産、設備、製品、原材料、事務用機材等の動産、出資持分権、株券、商標、特許、ノウハウ、商号等の無形資産などが含まれます。これらの資産を現金化するには、A売買当事者間で協議して販売する、B競売会社を利用して競売する、C第三者に代理販売を依頼する、等の方法が考えられます。

 BとCの手段を利用する場合には一定の手数料がかかるため、実務上、売買当事者間で協議した上で、売買価格を決定する場合がほとんどです。なお資産の現金化を行う際にもやはり留意しておかなければならないのは、国有資産が入る合弁会社の場合で、国有資産の流失を防ぐため、競売による資産現金化を要求されることがあります。

 3.資産譲渡における留意点

 建物を譲渡する場合、中国では建物と土地使用権の共同処理が要求されることから、土地使用権を建物と同時に譲渡する必要があります。しかし実際には、建物と土地使用権の取得に関わる手続が不備であるため、譲渡できないようなケースも見受けられますので、清算を行う際に、あらかじめ建物と土地使用権の取得に関わる手続を完備し、よく確認しておく必要があるでしょう。

 また、特許権、商標権等の無形財産を譲渡する場合は、特許局および商標局での名義変更手続が必要となりますので、譲受側と共同で名義変更手続を行う必要があります。

 資産を現金化するとき、最も留意すべきなのは、保税貨物および税金減免貨物の処理です。外商投資企業がこれらの貨物を第三者に譲渡する場合、当該第三者が保税または税金減免の資格を有していなければ、中国の政府税務機関に納付猶予あるいは減免された税金を納付する必要が生じます。

 4.債権の処理方法

 清算しようとする外商投資企業が、清算時に第三者に対して売掛金等の債権を持っているケースがよく見られます。この場合、第三者と協議を行い、当該売掛金の返済を求めることが一般的ですが、第三者がなかなかこれに応じない場合も多いのが現状です。このとき、すでに返済期日が到来しているものであれば、裁判所に訴えを提起する方法も考えられますが、一旦裁判となると、時間がかかるために清算期間が長引いてしまいます。企業清算の場面では、当事者心理から往々にしてより迅速な処理が求められることから、実務では第三者と協議し割り引いた価格で売掛金を確実に回収している企業も多いようです。場合によっては、債権自体を他社に譲渡する方法も利用されているようですが、このとき第三者に債権譲渡を通知する必要があるので、注意が必要です。

 5.債務の処理方法

 債務がある場合には、当然これを返済する必要があります。返済する際に、債権者から債権申告を受けた後、まずその債権の真実性を確認し、極力全額返済できるような債務返済案を立てることが先決です。ここで実務上留意すべきなのは、個別債務への単独返済です。個別に特定の債務を返済するとき、外商投資企業に他の債権者への債務も返済する資産が十分あれば問題はありませんが、他の債権者への債務を返済するに足りる資産がなければ、いわゆる債務超過となり、企業は破産手続に入る必要があります。この場合には、個別に返済した金員を債権者が外商投資企業に払い戻す必要があります。債権者による全額の払い戻しができない場合、清算委員がこの責任を追及されることになります。

 資産処理は、清算プロセスにおける重要な問題であり、これをうまく行わないと、資産減価どころか、悪くすると処理方法が法律に違反したために、清算委員の責任が追及される可能性があります。スムーズに清算を行うには、清算手続に入る前に、専門家の助言の下で、企業の債務、回収見込みのある債権、現金化できる資産の範囲および金額などをある程度把握し、大まかな清算案を構築する必要があるでしょう。

 (作者:韓晏元 潤明法律事務所パートナー弁護士 神戸大学博士(法学))

 ----「人民網日本語版」

 【第1回】中国における外商投資企業の清算手続について

 【第2回】中国における外商投資企業の清算手続について

 【第3回】中国における外商投資企業の清算手続について

 【第4回】中国における外商投資企業の清算手続について

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