Vol.23(2009/06/05発行)
【評論】
全面的な調整期に入った中国
李平霖
調整という言葉を聞くと現在では、潜在的にマイナスのニュアンスを加えるのが一般的になっている。特に経済分野では調整とは衰退や不景気といった意味を持つ言葉となっているかのようだ。しかし実際には、調整という言葉本来の意味はこうではない。調整とは変化という意味を持つと同時に、客観的な規則性に対する人々の尊重と適応という意味も含んでいる。
中国の現在の経済状況はちょうど調整という言葉で正確に表現することができる。多くの状況下において巨大な調整とは、中国が現在直面している情況のように、人々が主観的に望んで生まれるのではない。2008年の雹害や地震といった災害はどの国も進んで受け入れたいと願うようなものではない。同様に2008年末に世界が巨大な金融危機を迎えると誰も予測できなかっただろう。これらはいずれも客観的な変化で、我々の意志で方向転換できるものではないのである。
今回の金融危機の本当の原因について現在、世界各国の経済学者は論争を続けているが、長期間にわたって世界の経済システム内に一連のアンバランスな要素が積み重なり、今回の金融危機勃発の内在的で深層的な原因となったことは認めざるを得ないだろう。中国国内の情況も同様で、危機の襲来により我々が一貫して依存してきた輸出のエンジンが突然ペースダウンし、中国国内で一貫してハイペースのGDP成長で隠されてきた多くのアンバランスな要素が暴露されている。天災と外界の危機が同時に中国を襲っている今日、この歴史ある国は再び半ば強制的に巨大な調整を迫られている。
半ば強制的に迫られているとは、2008年第3四半期頭にいたるまで、中国では上層から基層にいたるまで巨大な調整の訪れを意識していなかったためだ。当時の中国人はオリンピックの成功と四川地震の悲喜こもごもの複雑な感情に浸っていた。危機が到来すると、四川地震に対応したばかりの強力な中央政府は再び、非常に速いスピードで4億元という経済刺激方案を発表し、続いて世界の経済危機による大きな影響の下で再び一連の経済調整政策と10大産業振興プランを次々に発表、目下(2009年5月)にはより重要な分配システムの調整を準備中だ。正に中国の非常に古い、専門に変化を描いた経典が語るように、本当の「自然」の変化が訪れた時は素早い雷に耳をふさぐのが間に合わないほど速く、いったん大きな変化が始まると、短期間で終了することはなく、変化は一貫して発展し続け、新たな秩序やバランスの局面が構築するまで続くのだ。こうした変化の中で人々ができることは、新たな秩序を構築するまで、絶えず調整と改善を続けることしかない。こうした描写は見たところ抽象的すぎるようだが、2009年も半分が終わろうとしている現段階で我々がこの半年あまりの大きく変動する変化の歩みを冷静に振り返れば、そこに驚くべき隠されたロジックが存在し、ひそかに役割を果たしているのに気づくだろう。我々がこの変化のロジックに気づけば、一連の調整は始まったばかりであることに気づかされるだろう。今後我々が直面するのはどのような未来だろうか。これは異常に大きな懸念である。
中国の内陸部である四川省の情況はどうなっているだろうか。先ごろの「5・12(2008年5月12日)」地震1周年の際のテレビやニュース写真を通じて、四川省被災地区の再建が整然かつ急ペースで進められているのがわかった。これは我々が目にすることのできる表象だが、実際の情況は中央政府の強力支援の下で、四川省は全く新しい全面的な転換を準備中だ。超大型の財政支援と政策傾斜は、一度の地震によるものだけではなく、中国の東部と西部のアンバランスという先に触れた国内の若干のアンバランス要素に対する戦略調整という意味が含まれている。加えて、ここ数年頻発している洪水や雹害といった自然災害の破壊が中国人に対して自然と人間、経済発展と環境保護に関する反省をもたらしており、こうした反省が今回の巨大な調整政策の構想に取り入れられている。こうした反省の下に中国の未来の環境保護や省エネ・効率的な産業の構想が徐々にクリア、明確になりつつあり、今後数十年内の中国の経済体の変化における思想的基盤と変化の起点になることは間違いないだろう。
東部と西部のアンバランス以外に、中国には経済構造のアンバランスや経済発展モデルのアンバランス、収入分配体制上のアンバランス、都市と地方の格差面でのアンバランス、官民の政治体制上でのアンバランスなども存在する。こうしたアンバランスの発生と蓄積は人間の社会活動によってもたらされたものだが、全体的な観点から見ると、ある偉人やある時期の一部の人の思考によって転換できるものでもなく、世界が公認する権力最大、力が最強の中国政府も好きな時や時期に自由にこうしたアンバランスの要素を改善できるというものではない。変化の道の奥深さは、変化が絶えず発展し、またそれ自身の規則性を持つことにあり、変化に適応して調整を行うにはいわゆるタイミングが必要となる。タイミングを失することはできず、そうなれば再びチャンスは訪れない。我々が中国の5000年にわたる歴史の調整を振り返ると、商鞅の新法、王莽の新政、王安石の新法から清末期の洋務運動、戊戊の新法にいたるまで、全ての巨大な調整はいずれも歴史の車輪の軌跡にともなって行われたもので、成功して空前の規模の中央集権帝国となったものもあれば、失敗してチャンスを失い、あるいは急進すぎるか遅すぎるか、あるいは外の力に破れるか内乱に倒れるかしたものもあったが、どのような失敗であれ、いずれもある時期の衰退と変動をもたらしている。我々が経済学の偏狭な公式や理論を捨て、歴史的なより高い観点に立ち、2009年6月初めに起こった出来事を歴史的な高みから、中国で発生しつつある一連の重大な調整と変化を再度見直すなら、中国では30年前の改革・開放に匹敵するほどの重要な調整が行われつつあると信じるに足る理由がある。この調整がどれぐらいの間続き、どのような結果を引き起こすかは、息が詰まるほどの興奮させられる重要な問題である。結果について我々は軽々しく判断できないが、中国が今後5〜10年の間は巨大な調整のプロセスにあり、2009年は調整の開始であって終わりはまだ遠いことは間違いない。
世界情勢の変化に目をやると、いわゆる一方では得をすれば一方では損となり、一時的な損得の情況で、本当の成功と失敗の定論はない。世界の古い秩序が解体し、新たな秩序が経済分野か
ら変換を生じ始めている。しかしその中には人を喜ばせるようなよい情報ばかりではない。少なくともここ100年の人類の歴史を見ると、人類のそれまでの類似の秩序調整を処理する手段は稚拙で痛ましいものであり、第一次、第二次世界大戦の勃発はまさにこうした人類の世界秩序調整の産物である。人類が21世紀に入り、人類全体が同じ地球と同じ故郷に生存していると意識し始めたこの時期に、我々は秩序調整の幕が開かれたのを目撃しているが、新たな秩序調整がどのような方法で行われ、どのような結果で終了するのかを知らずにいる。巨大な変化は始まったばかりだ。

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