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Vol.27(2009/08/05発行)

【NRIの視点】

汪同三氏:中国は金融危機に打ち勝ち、経済は更に発展する

汪同三汪同三氏略歴

 中国社会科学院数量経済与技術経済研究所所長

 研究分野:経済学、経済モデル、経済予測

 1948年、江蘇省南京に生まれる。1969年以前に北京で小・中学教育を受ける。文化大革命期間中、農村の生産隊に入隊、約6年を過ごす。1977年に大学入試制度が回復し、北京師範学院の数学系に入学、1982年に数学学士の学位を獲得。同年中国社会科学院研究生院数量経済与技術経済系に合格、1984年に経済学修士学位を取得。

 1995年、中国国際信託投資公司海外投資部で半年働いた後、中国社会科学院数量経済与技術経済研究所に入り、経済研究を行う。1987年、中国社会科学院研究生院数量経済与技術経済系博士課程に合格、1990年、中国が育成した第一陣の数量経済学博士となる。数量経済与技術経済研究所にいる間に、1989年に破格の待遇で副研究員に昇進、1992年に、再び破格の待遇で研究員に昇進した。また、前後して経済モデル研究室の副主任、主任、所長補佐、副所長、所長を務め、人事部から「目覚しい貢献を果たした中青年専門家」の称号を授与される。

 学術成果

 汪同三氏は長期にわたり経済モデル理論、方法論および、その経済予測と政策分析面での研究を行ってきた。80年代以降、米国学者とのモデル研究協力プロジェクトに参加し、中国経済のマクロ計量モデルを確立した。このモデルを基礎として、90年代から現在まで、総理基金項目である「中国経済情勢の分析と予測」を10年あまりにわたって担当する。同プロジェクトは国内外でますます大きな影響を持ちつつあり、国際機構からの資金援助も受けている。経済予測を行う一方で、現実の経済問題についても大量の研究を行い、多くの成果を挙げている。このほか、中国社会科学院で働く間に、国際協力研究プロジェクトや国家重点プロジェクトに多く参加し、著しい成績を残している。

 先ごろ、目前の世界金融危機のさらなる進行と2009年下半期の中国経済の趨勢について、有名な経済問題の専門家・汪同三教授が分析した。中国が成し遂げた経済発展の成果に対して、汪教授は高く評価している。

 一、中国は2度続いて、5年連続の10%以上の経済成長を実現

 汪教授は2008年までの時点で、中国のように5年連続で10%以上の成長を遂げた国家は世界でも日本とシンガポール、中国の3カ国しかないが、中国は2度実現してたと述べている。

 最初は日本が1960年代に高度成長を実現した。2番目がシンガポールで、シンガポールの経済はマレーシアの経済と大きな違いはなく、5年連続で10%の成長を実現している。3番目が中国で、1992〜1996年の5年連続で10%成長し、1992〜1996年の高度成長では同時にインフレとなり、マクロ調整が強化された。4度目は2003〜2007年にやはり中国が実現したもので、今回の成長の効果はこれまでの成長を上回っていた。そのうちの2007年下半期のみ深刻なインフレとなっただけであるため、この段階の成長は第2次世界大戦以来、人類社会で最もよい経済成長だと言うことができる。

 二、経済成長予測の基本的条件

 2008年の中国の経済発展スピードは9%で、2007年当時の予測の際には10.6%と予測され、世界記録の6年連続の10%成長となると予測されていた。なぜ予測は実現しなかったのだろう。どんな予測も予測の条件を持つのであり、当時の予測は3つの条件が基礎となっていた。

 (一)台湾関係が安定した状態を保つ。

 (二)広い範囲の自然災害が起こらず、気候条件が基本的に正常。

 (三)国際的な経済環境が基本的な安定を保つ。

 しかし、周知のとおり2008年の中国では年初の広範囲での雪の害、5月12日のブン川大地震が発生した。しかし自然災害の影響は主な要素ではない。より中心的なのが、国際環境に2008年末に重大な変化が生じたことだ。この条件は米国の金融危機により破壊され、我々の希望は実現しなかった。2003年の状況を見ると、当時の上半期のSARSや下半期の経済過熱による鉄鋼やコンクリート、電力など一部部門の経済の急激過ぎる成長が見えた。こうした情況に対応するために国家が新たなマクロ調整を行うと同時に、マクロ調整の教訓を受けて、機械的に行うのではなく、臨機応変に対応した。農業やサービス部門の成長を保ち、鉄鋼、コンクリート、電気などに対して成長スピードを緩やかにするようコントロールしたのである。経済は抑制されず、成長を続けた。当時の統計データは11.9%だった。

 三、自らの経済サイクルの調整と世界金融危機の影響

 汪教授によると、中国の現在の経済における根本的な問題は、我々自身の経済サイクルの調整が偶然にも国際経済の大きな環境の悪化に直面し、内外の要素が合わさって現在の苦境が生じたことだ。中国経済は2003年から問題が出現し、2007年には減速を計画したが、米国に影響された。問題の根源は依然として中国自身の経済が状況をより深刻にしている。総理が提出した報告によると2009年の目標は8%となっている。スタティックに見ると非常によい数字で、スピードは日米などの大国を上回り、産業構造の調整を行う余地も残っている。

 問題は金融危機に直面した後、全体的な下降のスピードが速すぎることで、この問題が直面する難題となっている。2008年当時はまだ減速が必要だったが、2009年にさらに4%落ち込むなら、中国にとっては災難だ。経済の効率が低く、毎年2000万人が就業するには、スピード型を頼りとして成長を補わなければならない。遅くとも第4四半期には成長が回復して上向かなければならない。このため中央は強力な経済刺激と全体的な調整プランを提出し、現在のデータから見ると2009年に8%をクリアするのは問題ないだろう。

 四、経済の減速と経済成長

 汪教授はまた、2009年の中国経済の減速は中国で初めてではなく、実際は3回目の減速で、それぞれの減速には独自の特徴と表現形式があると述べている。似ているところもあれば、それぞれ独自の特徴や違いもある。

 1988年、1989年、1991年が初めての下降で、起因は改革以来最高のインフレと同時に、1989年の動乱もあった。当時の姚依林氏が主張した政策は鳥籠理論だ。マクロ経済が鳥で、籠でもってそれを覆うという計画経済の方法だ。当時の経済体制は依然として計画経済体制だった。中国の改革の目標は何だろう。1992年の第14次全国代表大会で提唱された社会主義市場経済だ。それ以前は石橋を叩きながら川を渡っていたのだ。鳥籠とは、通貨供給、融資や投資を通じて全体的な調整を行うことだ。ちょっと引き締めるだけでよいのだが、これは計画経済のやり方で、ハードランディングに属する。当時中国の成長率は10%から5%弱に落ちた。その時の流行語は市場軟調、三角債とハードランディングとの三つだ。外部でもメキシコの金融危機を直面していた。

 1997年、1998年、1999年の段階の高成長、インフレの際には鳥籠理論はもう適用できなかった。当時は市場経済の改革目標が明確で、「中共中央の社会主義市場経済体制構築に関する若干の決定」を代表とする一連の改革政策が発表され、第14期中央委員会第3回全体会議の精神を徹底し、インフレを取り締まり、ソフトランディングを成し遂げた。朱鎔基元総理が第一線で指揮をとった。当時はそれまで5年以上のハイスピードの成長を実現しており、経済が新たな急速な成長に入ることを希望していたが、5年を突破するのは難しいようだった。当時の中国はちょうどアジア金融危機に直面していたのだ。

 今回我々は2008年の経済過熱の時期にも、二重の経済政策を出したが、世界金融危機に直面した。ここから次のような相似点が見出せる。

 第一の相似点は、自らの経済サイクルで、根本的な内部の原因は中国自身の経済調整の必要性という点だ。

 第二の相似点は、いずれも国際的な金融危機に直面したことだ。もし計画経済を実行し、世界との関連が緊密でなければ、世界経済との関連に防壁があっただろうが、中国経済が世界に一歩ずつ近づき緊密な関連が生じたため、アジア金融危機の始まり、世界の経済の動揺が我々に直接の影響を与えるようになった。このため世界金融危機が我々に与える影響は非常に大きい。

 五、2009年の世界金融危機に対応する上での有利な条件の分析

 しかし汪教授は、2009年に我々が直面する世界金融危機はこれまでの情況と比べて、多くの有利な要素があると指摘する。

 有利な条件とは次のとおりだ。

 (一)30年の改革・開放の経済成長の益を受けている。一定の基礎を築いており、現在中国の経済総量は既に日本に近づき、日本を越えるのももはや時間の問題だ。他方で、総量では近づいたものの、1人あたりでははるかに遅れている。しかしいずれにしろ、中国の30年の経済発展は最も大きな後ろ盾で、我々が金融危機に勝利する上での有利な条件だ。

 (二)財政・金融の情勢がよい。中国政府の財政状況の運用は良好で、収支が健全なだけでなく巨大な財政収入超過がある。実際は毎年の財政計画の8%と制定されているが、実際の成長はこの増加率を上回り、多くの財政収入超過を生んでいる。第三のルートが国債の発行だ。世界での慣行で、財政赤字はGDPの3%を超えないとなっており、つまり30数兆元の総額の3%は中国にとって巨大な数字で、まだ使っていない金額が多くある。しかしこれは限度額であってお金ではなく、政府が国債を発行する必要がある。一般的に言って、ある国家の債務余額は同年のGDPの60%を上回ってはならない。米国は現在、GDPの80%で、日本はかつてGDPの130%だった。中国の現在の国債は約20%、つまりまだ3倍まで拡大できるということだ。このため、国債はまだ増発の余地がある。ゆえに中国政府には大きな調整の余地と切り札がある。

 (三)中国の金融情勢は安定している。米国は中国の貯蓄率が高いと批判するが、現在は中国が米国の貯蓄率は低すぎると批判し、米国に対して貯蓄率を引き上げるよう要求している。困難な時には貯蓄率が高い方がよい。

 (四)外貨準備が多い。正常な時には問題となるが、困難な時には少ないよりも多いほうがよい。

 (五)資金供給にまだ余地がある。中央銀行はもっと多くの資金を放出可能で、紙幣を増刷する必要はない。我々の金融は基本的に安定しており、実体経済の改革を行う必要があるだけだ。しかし米国は金融と実体経済に同時に大きな問題が起こっている。この点で中国は米国よりもよいため、我々は積極的で安定的な財政政策と適度に緩和された金融政策を実施している。

 (六)中国は重要なチャンスの時期に直面している。経済発展の余地と調整の余地が大きい。特に中西部の投資は5〜10年の継続的な成長を意味する。同時にまだ巨大な国内市場もあり、都市化によって生まれる潜在的な消費グループもある。これらはいずれも我々の発展で生じる有利な条件だ。

 このため、中国が今回の金融危機に打ち勝ち、またこれを契機としてよりよくより速い発展を実現すると考えるに十分な理由があるのだ。

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