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Vol.27(2009/08/05発行)

【中日交流】

若者の「消費」が中国経済を支える?

清水顕司(Kenji Shimizu)日本貿易振興機構(JETRO) 北京代表処 経済信息部

清水顕司(Kenji Shimizu)

統計上の「消費」とは

 中国は先進国の多くの国々で経済が低迷する中、第1四半期に6.1%の経済成長を遂げた。この数字が高いのか、それとも低いのか、中国内外の専門家の意見はさまざまあろうが、いずれにしても、四半期ごとに中国の経済成長率は徐々に回復していくという見方が大勢を占めている。中国政府はこれまで経済成長をけん引してきた「輸出」が外部需要の低迷により、大きく落ち込むなか、「消費」と「政府による投資」によって成長を維持していく方針をとっている。

 少々かたい話からスタートしてしまったが、筆者が往々にして感じる若者の消費マインドの積極性を考える時、まず、いくつかの経済統計をご紹介し、ここでいう消費をカテゴライズしたい。

 全国都市部固定資産投資は1〜4月、前年同期比30.5%増と、統計データの中で最も堅調であった。政府が08年11月に発表した4兆元にもおよぶ景気刺激策が功を奏しているようだ。また、4月の消費品小売総額は前年同月比14.8%増、1〜4月は前年同期比15.0%増となった。4月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比-1.5%と3カ月連続マイナスだったことから、この物価下落を考慮すれば、実質では順調に伸びているといえる。

 政府の発表によると、第1四半期の成長率では消費の寄与度が4.3ポイントと非常に高い。6.1%の4.3ポイントなので、消費が成長を下支えしているということができる。しかし、注意が必要なのは、中国統計では消費には民間最終消費支出と政府最終消費支出が含まれており、景気が悪いと政府が消費をし、景気を支えることをする。従って「消費」の数値が堅調だからといって、単純に市場の景気が悪くないとはいえない部分もある。

 筆者がここでいいたい消費は、統計上の消費動向ではなく、あくまでも「若者の消費」ビヘイビアである。このビヘイビアが中国の経済成長やライフスタイルにどのような変化を与え得るかということを、個人的な視点からいろいろと考えてみたいのである。

月光族という言葉は今は昔?

 06年に株式会社日本能率協会総合研究所が調査した報告(「日中若者の消費意識調査」)によると、中国は一人っ子世代が就業し、収入を得ることにより、間もなく消費のピークを迎え、2015年ごろに消費が爆発的に増加するという。その後、昨年の世界的な金融危機により、状況はいくぶん消費マインドは変化しているのかもしれない。

 1977年に中国の一人っ子政策がスタートし、既に一人っ子の最高年齢は32歳となっている。同報告書によると、1981年以前に生まれた一人っ子世代は既に就業しており、その人口は約9000万人。1982年〜1998年に生まれた一人っ子第2世代の人口は約3億2000万人と推定される。第2世代は第1世代に比べ、「9年制義務教育」により教育レベルも高く、市場経済への移行において、ファッション感覚や消費意欲が高く、貯蓄を嫌い、消費を通じ利便性や快適性を希求する世代であり、今後収入を得ることで、消費能力が飛躍的に向上し、消費ピークの主役として台頭すると分析している

 中国では80年代に生まれた一人っ子たちが就職した5,6年前、貯蓄より消費を優先する若者を「月光族」と呼び、新しい消費者像の表れとして一種の社会現象となった。もちろん、月光族がすべての中国の若者の消費ビヘイビアを示すわけではないが、少なくとも一部若者のライフスタイルとして、今も現実に見られる。

 一般的に、住宅や自動車、家電などといったモノの消費にお金を使う過程を経て、食生活やレジャーおよび衣類などのおしゃれへと消費志向が変わっていくと言われている。現在の中国は、まだ高度経済発展を遂げている時期にあるといえ、車の所有率も北京などの大都市においても、ますます高まるとみられている。一人っ子第2世代による消費ピークは、既に始まっており、モノへの所有意欲が所得の拡大によって購買意欲に徐々に変わってきている。

 2015年には、一人っ子第1世代および第2世代の人口は4億人を超え、中国総人口約13億人の30%程度を占めることになる。実際に購入したいものが購入できる人口層が確実に年々増加してきている。「月光族」といういわば「宵越しの金を持たない」若者を、ある意味、皮肉も込めて呼称していた時代は過ぎ、「月光族」の消費が中国の消費を下支えする日が来ることもそう遠くない。

 政府の消費拡大策もあって、小型を中心とする自動車や家電の販売状況は堅調のようだ。このような耐久消費財の購入が増加することは、中国の経済成長にとって、インパクトの大小はともかく貢献につながる。しかも、沿海部から内陸部に経済発展の領域が拡大している中、中国の潜在消費力を楽観視する声も多く聞かれる。

消費したいものが市場にあるか

 北京にいて思うことは、安くて良いものがなかなかないことである。その多くはちょっとした小物だったり、食品だったりと民生品である。おしゃれな服は日本よりも割高感を感じる。筆者の周りには、お金を持つようになってもほしいものが近くないという若者も多い。彼らの嗜好が多様化していることの表れでもあり、高級品と低級品という二次元的な商品構成では、消費者が満足できない状況が生まれてきている。

 若者の多くはインターネットを通じて、衣類や小物家電、時には食品を購入している。日本産や韓国産、欧米産などなど、自宅まで配送してくれる手軽さと価格の安さ、および市場に流れていないデザインのものがあったりと、かなり重宝しているようだ。日本や韓国をはじめ、世界の流行に敏感な一人っ子世代が渇望しているように筆者にはみえる。

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