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Vol.49(2010/07/05発行)

【特集】

中日経済貿易協力と日本経済の復興

 日本のメディアに「日本経済の復興と成長は、中国に対する輸出の増加にある程度依拠している」という論調がある。

 米国の低所得者向け(サブプライム)住宅ローンの焦げ付き問題から発生した世界的な金融危機が、日本経済に極めて大きな打撃を与え、2009年の経済成長率はマイナス5.0%となり、1965年以来の最低を更新した。だが日本政府が取った政策的支援により、輸出が増加し、内需も好転の兆しをみせるなどして、日本経済は緩やかな回復を遂げつつある。

情勢は厳しいものの、輸出と内需はいずれも好転する勢い

 日本経済は09年3月に底を打ち、現在なお情勢は厳しいものの、輸出と内需はいずれも好転する勢いをみせている。

 日本の輸出増加は、金融危機に際して各国が取った積極的な財政政策の支援により、世界経済が引き続いての悪化を免れたことによるものだ。特に一連の新興国や新興地域で経済が持続的成長の局面を維持したことを受けて、日本の輸出が増加し、日本の生産の伸びが促進された。

 内需の回復は、日本の輸出増加により内需が徐々に回復したためで、設備投資の伸びは09年第4四半期(10-12月)からは前四半期(7−9月)を上回るようになり、今年第1四半期(1-3月)にはプラス成長に転じた。同期の消費総合指数は初めて前四半期比プラスとなった。3月の完全失業率は5%を超えて1-2月の4.9%をやや上回ったが、これは転職希望者が多かったためで、経済情勢の悪化によるものではない。

 アジアからの観光客が急増したことも、日本の消費増加の重要な要因だ。今年は北海道・札幌市の雪祭りに、日本国内や海外から243万人の観光客が訪れ、過去最高を記録した。このうちアジアからの観光客が多数を占め、2月の訪日海外観光客数は前年同月比62.9%増加し、3月には同24.9%増加して、いずれも2けたの伸びを達成した。日本の気象庁の予測によると、エルニーニョ現象の影響で、今年は冷夏になる見込みで、そのため海外・国内の観光客が増加して、日本の消費の伸びにプラスになることが予想される。

 日本はギリシャの財政危機から大いに学ぶべきところがある。日本政府の抱える債務残高は国内総生産(GDP)の2倍に達し、GDPの水準をやや上回るに過ぎないギリシャの債務規模とは大きな開きがある。こうした状況は日本が「国民が富を保有する」国だからだと考える人がいるが、多くの人が認めるように、日本政府の債務はあまりにも多く、ひとたび問題が生じれば、手の施しようがないといえる。たとえば、このたび日本で発生した口蹄疫の問題ではタイミングを失したため、日本が受けた影響は痛ましいものだった。日本は財政再建に真剣に取り組む時期に来ている。これほど膨大な政府債務の問題を解決するのは生やさしいことではない。日本政府は明確な財政再建措置を打ち出し、これを確実に徹底的に実施しなければならない。そうしなければ政府は国民の信頼を失うことになる。

日本経済復興の重要な要因の一つ--密接な中日経済貿易協力

 中国は07年以来3年連続で、米国に代わって日本の1番目の貿易パートナーとなっている。21世紀に入ってからの9年間に、中国の対外貿易は年約20%のペースで増加し、中日貿易の年平均増加率も2けたに達した。01-09年の日本の対中貿易額の年平均増加率は12.4%で、この間の日本の対外貿易額全体の年平均増加率4.1%を大きく上回り、対米貿易額のマイナス3.0%をさらに大きく上回った。日本の対中貿易が対外貿易全体に占める割合は、01年の11.8%から09年は8.7ポイント上昇の20.5%に達した。一方、対米貿易が対外貿易全体に占める割合は、01年の24.5%から09年は11ポイント低下の13.5%となった。こうしたことから、日に日に親密さを増す中日両国の経済貿易関係がうかがえる。

 金融危機以降、中日両国の貿易も一貫して高い水準を保ち、特に中国向けの輸出が日本経済の復興に著しい作用をもたらしている。日本の財務省が発表した統計によると、09年に日本の対外輸出は25.1%減少し、うち対米輸出は31.2%減少したが、対中輸出は11.6%の減少にとどまり、日本の輸出に占める中国の割合も08年の16%から09年は18.9%に上昇した。その一方で、日本の対米輸出の割合は08年の17.6%から09年は16.1%に低下した。中国の「税関統計」によると、今年1-4月の中国の対日輸入の増加率は52.8%に達し、対日輸出の増加率19.5%を33.3ポイント上回った。こうしたわけで、日本メディアに「日本経済の復興と成長は、中国に対する輸出の増加にある程度依拠している」という論調が現れたのだ。

 21世紀に入ってから、中国経済は年平均10%のペースで成長しており、巨大な国内の消費市場、安価で質の高い労働力コスト、安定した安全な投資環境に引き寄せられて、日本を含む世界各国の企業が中国の企業に投資したり、中国で企業を設立したりしている。09年には金融危機が発生し、日本の対外直接投資が前年比47.2%減少と大幅に減少したにもかかわらず、日本の対中投資は3.1%の減少にとどまった、。中国は日本にとって世界で4番目、アジアでは1番目の重要な投資先国だ。中国の統計によると、今年4月末現在、日本企業の対中投資額(実行ベース)は累計709億6千万ドルに達し、うち50%が21世紀に入ってから行われた投資だ。日本は現在、対中直接投資額が世界で最も多い国となっている。

 国際通貨基金(IMF)の今年4月の予測によると、今年から来年の2年間で日本経済は2%前後の成長率を回復し、中国は引き続き10%の成長率を維持する見込みで、両国の経済復興と経済成長は双方の貿易協力に物的な土台を提供するだけでなく、両国企業相互の投資にもビジネスチャンスをもたらすとみられる。日本貿易振興機関(ジェトロ)が今年3月に発表した、日本企業の海外投資調査によると、今後3年間の日本企業の新規対外投資、海外投資規模の拡大、販売・生産・研究開発機能の増加などでは、中国の占める割合が最も高く、ここから中国との協力を積極的に展開しようとする日本企業の姿勢がうかがえる。ジェトロは対中投資増加の原因として、中国政府が実施した4兆元規模の経済刺激対策が、大陸部における高速鉄道などのインフラ建設や、自動車・家電購入をめぐる減税や補助金支給などの消費拡大措置に用いられ、経済が持続的成長を維持することが可能となり、日本企業がこれを最良の商機ととらえたことを挙げる。これからの日本は中国沿海地区への投資を増やすと同時に、内陸地区の省・自治区・直轄市との協力を拡大する方針だ。

日本の多国籍企業や大企業グループは次のように動き始めている

 ▽自動車メーカー

 日本の大手自動車メーカー各社は、対中投資に一層力を入れている。各メーカーの研究によると、09年の中国の自動車生産台数は1360万台に達して、中国は世界的な自動車生産・消費大国となった。今年も販売台数は引き続き増加する見込みで、低価格・省エネタイプの車種が売れ筋になると予想される。こうした特徴を踏まえて、日産自動車も今年は中国で低価格・省エネタイプの新型車種を生産・販売するほか、160カ国への輸出も予定している。ホンダ技研工業は日本の埼玉県の新工場の着工時期を遅らせる一方、03年に湖北省武漢市に設立した東風ホンダ第一工場の生産台数を増やしたいとしている。また今年1月にも同じく武漢市に東風ホンダ第二工場を設立しており、2012年をめどに中国での自動車生産台数を71万台に引き上げる予定だ。達成すれば、09年の日本での生産台数84万台の水準に迫ることになる。

 ▽電気機械・家電メーカー

 日本の電気機械メーカーや家電メーカーも中国市場を積極的に開拓したいとしている。現在は市場の調査研究を行うと同時に、これまでの市場開拓の経験を総括している段階だ。ある家電メーカーは05年に北京に研究機関「中国生活研究センター」を設立し、現地の人材を採用して中国の生活スタイルや白物家電へのニーズについて調査を進め、小さめの台所に合った冷蔵庫、光除菌洗濯機といった消費者に喜ばれる製品の開発に成功した。これらの家電製品を今後は東南アジアや他の発展途上国・地域にも輸出したいという。

 ▽鉄鋼メーカー

 日本の大手鉄鋼メーカー各社は、大陸部地域での投資や工場建設の歩みを一層加速させている。各社の調査によると、中国の今年の粗鋼生産量は日本の5倍に当たる6億トンに達する見込みだ。現在、上海や広州などの沿海都市では一人あたり年平均鉄鋼消費量が500キログラムを超える一方、内陸地域はこの半分にも満たず、この両者の開きの大きさは発展の潜在力の大きさを示すのだという。中国の自動車生産・販売の増加に伴い、日系のホンダや日産は中国での増産を決定した。中国では現在、自動車生産に必要な鋼材があらゆる品種で明らかに不足しているため、新日本製鐵は今年1月に江蘇省無錫市の自動車用鋼管工場を買収し、生産力向上の方針を決定した。神戸製鋼も四川省の攀成伊紅石油鋼管工場に出資するとしている。中国内陸地区の物流コストの問題を踏まえると、日本のメーカーが内陸部に鋼材を提供することは不可能で、内陸部に生産を担う企業を設立することが必要になる。そうすれば、これらの企業から中国の他の地区に鋼材を提供することが可能になる。こうしたわけで日本では、対中投資戦略はこれまでのように沿海地区にとどまってはならず、内陸地区に拡大発展していくことも必要だとの声が聞かれるようになった。

 ▽日用品メーカー

 日本の日用品メーカーも中国への投資を拡大する方針だ。ある大手ベビー用品メーカーは02年4月、上海市に現地法人企業を設立した。同社はまず沿海地区の市場を開拓し、次に内陸地区に進出するという二段階の戦略を掲げる。今年1月末現在、同社の製品を取り扱う店舗は中国全体で7300店舗に拡大した。同社の広告責任者によると、所得水準が高まるにつれ、日本での販売価格が1千円を超える高級ベビー用品が、内陸部でも売上を伸ばしている。同社が中国の児童用品の店や百貨店などに設けた専用カウンターは500カ所を超え、各カウンターに販売員を派遣して対面販売を行い、非常によい効果を上げているという。

 ▽銀行

 日本の銀行業界の中国市場開拓の動きは他の業界に比べて明らかに遅れており、欧米各国の銀行業界に比べるとさらに遅れている。日本のある証券会社の研究者によると、中国経済は急速に成長しているが、金融市場の発展はまだ不十分だ。欧米諸国の金融機関はこの開きに目をつけ、中国の主要銀行への出資や協力で先頭を走っている。日本の主要金融業界は戦略的には中国を開発の重点としているが、ここ2年ほどは現地の法人企業などへの資金貸付が毎年わずか5%ほどの増加にとどまり、貸付先も日系企業や欧米企業の中国法人が多くを占めている。日本の金融部門は現在、今後は中国との協力を拡大する必要があるとの見方を示している。

中日の経済貿易協力 新たな段階に進む

 21世紀に突入してから、中国では経済成長と企業の日本への理解が進んではいるが、対日投資はまだ初期の段階にとどまっている。今年4月末現在、非金融類の対日投資はわず7億5千万ドルにとどまっている。その一方、最近は中国企業による日本企業買収の動きが注目を集めている。上海電気公司が秋田県の印刷会社を買収したケース、製薬大手の三九企業集団が富山県の東亜製薬を買収したケース、また06年6月蘇寧電器が大手家電販売店の株式の25%を取得して買収したケースなどがそれだ。

 今年5月末から6月初めにかけて、第3回中日韓首脳会議が韓国で開催され、3カ国間の自由貿易協定(FTA)締結に向けて共同研究を行うことで合意に達した。FTAが締結されれば、中日の経済貿易協力は新たな段階に進むことが予想される。(編集KS)

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