私の話を聞け!(第5回日中理学療法科学学会に参加して)
とんでもない「私の話を聞け!」だなんて、そんな大それたことは思っていない。ただ、私たちの患者様に対する思いを伝えたくて・・・。
現在、中国では過去最多の7名がリハビリテーション隊員として活動している。北京や上海などでは一般的になりつつあるリハビリテーションだが、隊員の活動する地方都市では医療関係者の中でもまだまだ認知度の低い治療方法だ。私たち隊員は臨床で現地スタッフとともに患者様の治療にあたるわけだが、医学的考え方の違い、加えて言語的問題もありなかなか伝えきれないこともある。また、中国国家としてのリハビリテーション事業が進められているが、地方都市はそのレベルに追いついていないと感じることもある。そんな中で患者様を前にして悔し泣きすることもあるが、その1人の涙は地に吸いこまれてしまえば見えなくなってしまう。しかし、7人分の涙だと水溜りにはなるかもしれない!そんな思いから、北京という中核地で開催される『第5回日中理学療法科学学会』において演題発表をすることを考えた。
日頃、中国各地でそれぞれ活動する私たちはインターネットを利用して準備を進めた。Eメールで文章のやり取りをしたり、毎週月曜定時にチャットミーティングを行い、担当ごとに進行状況を報告したり作業の分担をしたりした。隊員それぞれが配属先での活動と平行しての準備であり、苦労したのは私も他の隊員も同じであろう。学会前2日間を準備期間として北京に集合、一気に仕上げ作業にかかったが、学会前日の夜ごはんはパンをかじり、ホテルでは深夜まで発表練習を行った。
学会当日は日中から230人ほどが集まった。私たちは隊員の活動を紹介する口述発表1題と医療機関で活動中の隊員からアンケート調査を行ったポスター発表1題の2題を発表した。活動紹介は特別講演に次ぐ1番目の演題であり、写真を多くし聴衆の目に訴えようという私たちの狙いが的中し、多くの人から関心が寄せられた。アンケート報告は昼食後1番目の演題であったため聴衆は少なかったが、「これが中国の全てではないはずだ」などと意見を得られたことは、興味が示されたこととして問題提起の意味はあったと思っている。残念であったのは、中国側の参加のほとんどが会場となった中国リハビリテーション研究センターのスタッフであったことだが、私たち隊員と同じように中国全体としてのリハビリテーションを発展させたい!そう思っている中国人スタッフがいることを認識できたことも、今回、この学会に参加した意義はあったと思う。
私たちリハビリテーション隊員は根本的に患者様、大きく言うと人間が好きなのだと思う。そのことに日本人も中国人も区別はない。ただ目の前にいる患者様に対する思いをそこにいるスタッフと共有したい、それだけだ。私の任期も残り3ヶ月となった。『出来ることを出来る分だけ』これが私の目標だ。(2008年4月)
広西壮族自治区 桂林市 桂林市中医病院 作業療法士 貝森美央