「山東省で本当の中国人に会えた」

 日本の同郷の出身のJOCV、佐藤絵美日本語教師を山東省単県に尋ねる機会に恵まれた。私たち夫婦は中国語を話せない。中国語が話せなければ地方都市単県に行くことは困難を要すると忠告を得ていた。しかし、地方都市を見ることがその国を知ることだという思いで、少ない旅行日程を北京ではなく単県を希望して行くことにした。そして、そのことが多くの人たちの親切に接することになったのである。

 私たちは初めての中国訪問であり、過去の中日の歴史問題や中国国内の問題、隣接する国との国境問題など多少の不安を抱きながらの旅である。日程の都合で夜行列車を使うことにした。まずは切符の買い方もわからない。駅に行くと驚くほど多くの人たちでごった返している。朝早く商丘の駅に着いたら佐藤隊員とそのカウンターパートの日本語教師、賈俊格先生が迎えに来てくれていたので安心した。

 切符の手配は皆さんの協力でひと安心。しかし、北京への帰りの切符ではベッド席は別々の部屋だけが買えたという。ここでも日本語教師やその友人、駅員さんの手際良い交渉の結果、ベッド席を快く変更してくれた見知らぬ中国の若者、感謝の気持ちでいっぱいだった。

 私たちが訪問した学校は山東省単県第5中学校(高等学校)全寮制の学校である。

 生徒数は1万人近くで、一クラスが90人、朝5時から夜10時まで、土曜日も日曜日も同じように教室に出ており、先生方もそれに合わせて出勤しているという。何より驚いたのは90人近くいる生徒全員が無駄話をすることなく熱心に授業を受けていることである。

 ここ単県には外国人は佐藤隊員一人だけ、そして生徒たちも日本人と会うことはほとんどないということで、日本語の授業に出て生徒の皆さんの質問を受けることを勧められた。日本語で話し、難しいことは先生方が通訳してくれた。

 教室には黒板いっぱいに両国をイメージする富士山と万里の長城の絵と日本語で「ようこそ単県」「中日友好」「歓迎」と書かれていて生徒が目を輝かせて待っていてくれた。

 これは佐藤隊員とカウンターパートの熱血日本語教師の賈先生の教えであろう。中国の片田舎の単県で素晴らしい活動をしていることに感動した。

 佐藤隊員の夢は外国人に日本語を教えることだったそうで、今は夢がかなって本当にうれしいと言っていた。そのためか休みなしに朝早くから夜まで、この学校のスケジュールにも喜びを感じながら頑張っている。このような佐藤隊員の性格が校長先生はじめ多くの先生や地域の人たちに受け入れられ大事にされていることがわかった。

 単県を訪問したことで多くの中国人から親切にしていただいた。これはあいさつ代わりの親切ではなく本当に親身になっての心の底からの親切である。北京だけの旅行では決して感じることはなかったであろう。私たちは初めて訪れた中国のイメージはマスコミからの偏った情報に洗脳されていた。ここで本当の中国、中国人に出会うことができ、私たちの中国に対する感情が大きく変わっていった。

 日本に帰国して佐藤絵美隊員のお母さんに彼女の活動を報告できた。お母さんも絵美さんが夢に抱いていた外国人に日本語を教えることを実践しているのを本当に喜んで応援していることを知り、私たちも嬉しくなった。

 このような体験ができたことは佐藤絵美隊員、校長先生をはじめ日本語教師の賈先生たち、その教え子や友人たちのお陰である。また、たくさんの情報や手助け下さったJICA中国事務所の臣川調整員にも心より感謝したい。

 皆様方のこのような活動が中日友好そして世界の人々の理解と平和につながっていくことを信じている。(2008年4月)

モンゴル シニア海外ボランティア 川畑 享子

ブータン シニア海外ボランティア 川畑  司