リハビリの原点が見えてくる

 河南省開封市第一人民病院に来て5ヶ月が過ぎました。この病院での協力隊活動は初代の理学療法士、2代目作業療法士、3代目の私(理学療法士)としてリハビリテーション(以下;リハ)の活動をしています。

 活動の日を重ねるほどに、言葉・文化・習慣はリハにとって重要だとさらに感じるようになりました。「自立」を促すことは日本のリハでは、ごく当たり前の事ですが、中国では家族愛が良い意味では強い反面、家族が何でも手伝い世話を行うために本人の「自立」を促すことは容易ではありません。ここでは「自立」という概念がどこまで必要なのかと多々考えさせられます。「全人間的復権」を意味する「リハビリテーション」がここでは「機能的回復」に留まってしまっているのも現状です。そして、実際には健康保険などの社会保障がないため、医療費が払えずリハを受けられない、または数回でやめてしまう患者さんがほとんどです。

 私は活動を通して、日本や他国のバリアフリーなどについて紹介したり、北京や開封の街の現状や問題点を一緒に考えたりすることをしています。文化の違いで言えば、特に中国はトイレ文化(感覚的・構造的・習慣的・価値観など)が大きく違うところは皆さんが知るところでもあるかと思います。そういった中で、いくら日本人の私が日本の感覚でトイレのリハについて問題を問いかけても、文化の違う彼らと私の中では理解できないものがお互いにあるかと思います。地域生活や習慣などの文化はリハの目標を建てる上で重要な位置を占めます。だからこそ、私が日本人の視点であれこれ言うのではなく、彼らが彼らの視点で生活や文化における問題を捉え、解決していく能力を身に着けていけるように促す事が私の目標となっています。

 ここへ来て、原点である「リハビリテーションとは何か」ということを再び見つめ直しています。日本では医療制度が近年大きく変化し、リハが規制される社会になってきています。外から見る日本は原点が霞んでしまっているのではないかと感じます。一人ひとりが大切にされる、自分らしく生きられる社会に、少しでも私達の活動が生きることができたらうれしいです。

18−3 河南省開封市第一人民病院 康復科 理学療法士 村松愛子