私にできること
私は、日本語教師として、派遣されました。しかし、いざ、教壇に立ってみると、思い描いていたものとは、全く違いました。ここ中国でも、学歴社会の影響が強く、生徒も先生も受験に勝つために必死です。また、私の派遣された高校は、日本語を高校入学と同時に習い始め、3年後には、大学受験のレベルまで持っていかなければならないので、中学3年間かけて習う教科書を1年間で終え、高校の教科書を2年間で終えなければなりません。でも、3年になると、受験対策の授業も組み込まれていくので、実質、教科書の内容は1年半で終えなければなりません。生徒も先生も、大変です。
さあ、ここで問題です。日本人の私にできることは何ですか?授業でも、中国人が中国語で教えるのと、中国語のできない日本人が日本語だけで教える、直説法とでは、かかる時間が全く違います。実際、直接法で授業を試みましたが、生徒の反応はいまいちで、中国人の先生の2倍は時間が必要です。受験のことを考えると、直接法では、無駄が多くなってしまうことに気づきました。また、中国人の方が、文法に強い上に、受験のテクニックも熟知しているので、授業では中国人の先生がメインに進めていった方が、遥かに合理的だと考えました。しかし、授業で、日本人のできることに、限りがあることを苦痛に感じた私は、授業外で、気軽に誰でも参加できる日本語クラブを立ち上げました。そこでは、決まりごとはありません。毎回、必ず参加しなければならない訳でもありません。また、つまらなかったり、用があれば、自由に出入りすることができます。とは言っても、生徒は、礼儀正しく、しっかり日本語で挨拶をして出入りしますが。立ち上げた当初(派遣されて2ヶ月目)は、日本語は読める、見て分かる、でも、聞き取れないので、会話ができないという状況でしたので、こちらも、何をすべきか戸惑いながらのクラブとなりました。写真を見せながら、私の家族や日本の景色などを紹介しました。でも、生徒が一番、気になる事は、日本の高校生についてだったようです。悲しいことに、私は、高校を卒業して数年経っているもので、思い出しながら高校の状況を話して聞かせました。でも、少し(?)古い情報なので、生徒の満足度も100%ではない様子でした。リアルタイムで現役高校生と交流ができればどんなにいいだろうかと思っていた矢先に、ODAのある企画で中国にいらした高校の先生と知り合いました。そこで、偶然、互いの思いが一致し、文通が始まりました。生徒は、大喜びで、便箋に自分の知っている限りの日本語を一生懸命に書きました。その後、文通のやり取りを通して、日本の流行に興味を持ったらしく、私も言葉では、うまく説明できないので、話題の役者が出ているドラマや今話題になっている流行語、現象などを映像を通して見せることにしました。『電車男』は、好評でした。
ここに派遣されて、1年、いろいろ悩みましたが、そこから、得たことは数え切れません。残された任期で、何ができるかわかりませんが、周りの皆さんに助けられてここまでやってこれたことに感謝しながら、今後も笑顔で頑張ります。
※直説法は日本語を日本語で教える方法で、間接法は中国語で日本語を教える方法
内蒙古自治区 赤峰市 競択中学 日本語教師 16-3 大和 純子