生徒の可能性

 去年の11月に赤峰学院付属中学へ来てから半年が経ちました。一面雪で真白だった景色にも緑が見られるようになりました。

 こちらの学校で日本語を第一外国語として学ぶ生徒は、高校1年生から3年生まで各学年1クラスずつです。全員高校1年生から日本語を勉強し始めるので、中学3年間と高校3年間の6年間で勉強する分を、3年間で終わらせなければなりません。授業中は受験を目標とした文法や単語の説明だけで、文化紹介などする余裕はありません。自分で勉強できない子は置いていかれ、できる子との差は広がっていきます。モチベーションもさがる一方です。それでも授業には参加し集中しないと叱られる。授業に意味を感じられず楽しくもないので彼ら自身にも苦痛なのだと思います。

 現在、生徒の空き時間を使って週に2コマ日本語クラブを行っています。赴任先の要請は主に受験対策に関することですが、楽しんでもらいたいというのもあり、授業ではできないことも体験してもらっています。日本語クラブの参加者については、同僚に相談した上で特に制限しないことにしています。現在は時間の関係で2年生のみが参加していますが、都合が合えば1年生や英語科の生徒、大学で日本語を学ぶ学生なども参加しています。

 先日「浴衣の着付け」を行いました。せっかくなので浴衣に関する文章を読んだ後、それについての質問に答えてもらい、着付け後はそれについての壁新聞をみんなで作りました。

 さて、着付けのポイントでもある帯ですが、女子用はわかるのですが、男子用は事前に練習したにも関わらずわからなくなってしまいました…。適当に結ぶしかないと思っていると、女子用をマスターした子が自己流でなかなか粋な結び方に仕上げてくれました。作文指導などしていると「中国の生徒は自分の文章を書くのが苦手だなあ。皆お手本通りの同じ文章になりがち…。」と思うこともあるのですが、これを見て本当はそうじゃないのかもしれないと思いました。壁新聞作りにしても、習った文型や絵を使って、時間いっぱいまで書いていました。皆表現したい物は内に持っているのだと思います。ただそれを外に出す機会に恵まれないだけで。

 着付け後は、たたみ方も指導(というほどのことでもないですが)しました。物を雑に扱うのが気になっていたので、大切にしようということを伝えたかったのです。これも一度見本を見せただけであっけないほど簡単に伝わりました。指示していないのに、クリーニング屋の袋にまでしまうほど丁寧に片付けていました。

 赴任当初は生徒に対して様々な問題点を感じましたが、ほんの些細なことで変わる可能性を彼らは持っています。きっかけを与えられるかどうかは教師次第です。成績が悪いことも生徒だけのせいにはできないのです。そう考えると残り1年半、生徒だけでなく教師や地域の人とも交流して、たくさんのことをお互いに与え合っていきたいと思うようになりました。(2008年5月)

19年度2次隊 内蒙古自治区赤峰学院付属中学 日本語教師 二又結美