『韓国人でしょう?』
ウルムチへ来て2週間が経ちました。気温は毎日−15度前後、外に出ると、まるで冷凍庫の中にいるようです。でも最近は−10度を心なしか暖かく感じられるようになり、徐々にここの生活に慣れてきている自分に気付きます。
派遣が決まってから地図で場所を確認した私にとって、新疆ウイグル自治区は未知の世界でした。そして結局、本や人の話をもとにした断片的な知識しかないまま、ここへ来てしまいました。でもそのお陰で、今は新鮮な気持ちでウルムチの人々やその生活を観察し、色々な発見をし、刺激の多い毎日を送れていると思います。
ウルムチには42の民族が暮らしているといいます。確かに、バスに乗ると中国語以外の言葉が聞こえてくるし、顔立ちも様々です。ウイグル族居住地域の市場へ行くと、ものすごい数の人で賑わっているものの、その中に見慣れた漢民族の顔はありません。ウイグル料理屋でご飯を食べていて、気がつくと私以外みんなウイグル族だった、ということもよくあります。そうなると、自分が今本当に中国にいるのか自信が持てなくなります。公用語は中国語のはずなのに、それを口にすることを躊躇い、変に英語やジェスチャーを使ってコミュニケーションとろうとしている自分に気がついて、可笑しくなることもあります。とても不思議な感覚です。
ところで、私が外国人だとわかると、ウルムチの人々の口から決まって出る言葉があります。それは、「韓国人でしょう?」。
私は今まで台湾でも日本でも、よく韓国人と間違われてきました。韓国人からもそう思われたことがあるので、きっと本当に似ているのでしょう。今回ウルムチに来てまだ2週間なのに、すでに15回はこう聞かれました。そして間違われる度に「またか」と思い、曖昧に笑って済ませることもありました。
しかし、最近やっと気づきました。今回の間違いは、今までとは違う、と。
ここウルムチには日本人があまりいません。私の派遣先である新疆農業大学には日本人留学生がたった一人いるだけです。たぶん、私に「韓国人でしょう?」と聞いた人たちは、日本人を見たことがなかったのかもしれません。日本を身近に感じない人には、目の前にいる外国人が日本人だなんて発想は生まれません。日本は有名なはずだという思い込みによって、大事なことを見落とすところでした。まだまだ日本を知らない人たちがここにいます。日本が遠い国、未知の国だと感じている人たちがいます。私を通して、ウルムチの人々に日本を少しでも身近に感じてもらうこと、これが私の2年間の目標になりました。
これから先韓国人に間違われたら、曖昧に済ませたりせず、日本人であることをしっかりアピールしていきます。そう考えると、間違えられるのも楽しいものです。せっかく私に興味をもってくれたウルムチの人々との交流を、一つ一つ大事にしていこうと思っています。
新疆農業大学 日本語教師 花田藍子