長江流域の町「宜昌」
青年海外協力隊で湖北省宜昌市に来ることになった。長江の近くある町だが、日本にいたときは聞いたことがなかった。宜昌市、どんな町だろう?
2005年8月、三峡空港に降り立った。暑い。宜昌市に来る前、北京で1か月ほど研修を受けていたときも暑かったが、ここはそれ以上の暑さだった。中国では、長江流域の南京・武漢・重慶が「中国三大釜戸」と言われていて、その暑さは有名である。宜昌は、その武漢と重慶の間に位置する。どうりで暑いわけだ。日中は40度を越す暑さのためか、外を歩いている人が少ないように感じた。しかし、夕方になり、少し涼しくなると、家の中から人々が出てきて、音楽をながしながら踊ったり、縄跳びをしたり、家の近くの小さな公園に人々が集まってきた。
日本では、山崎豊子氏の著書「大地の子」は良く知られている。以前、日本のテレビドラマでも放送された。「大地の子」のラストシーンは、風光明媚な長江の三峡下りの船上で繰りひろげられる。宜昌市は、その三峡下りの船着き場がある町なのである。長江には、観光用の客船のほかに、長江の両岸を挟み、3〜5分ぐらいで対岸に着く小さな船も行き来している。野菜を運ぶ農家の人々、通勤の為に利用する人など、市民の足として広く使われていて、とても便利である。私も、乗ってみた。あっという間に向こう岸に着いた。
河岸に沿って、遊歩道のある綺麗な公園がある。名前を、「浜江公園」という。この公園を2時間ほど歩いた。川の景色を見ながら歩いていると、時間を忘れてしまう。公園の船着場の付近は人々でごったがえしていて、活気がある。対岸から運ばれた新鮮な野菜が売る人たちでいっぱいだ。また、休日だったせいか、公園を散歩するカップル、河川敷で凧揚げをする家族連れでにぎわっていた。色とりどりの凧が空中を舞う。雄大な長江の河岸での凧揚げは、とても気持ちよさそうである。高いビルや電線を気にする必要はない。人ごみの中をのぞいてみると、青空の下、歌と踊りを生演奏で行っていた。長江は、まさに、宜昌市民の生活とともにあり、また、憩いの場でもある。
宜昌市の中を雄大な長江が流れる、そんなゆったりとした町の風景が私はとても好きだ。
三峡大学 日本語教師 加藤有紀