氷の都・ハルピンに赴任して
国境の河を越えたら向こう岸はロシア―そんな中国最北の省、黒竜江の省都・ハルピン市に赴任して10ヶ月が経ちました。
一年前の私はハルピンについて、「夏の最高気温はプラス30度、冬の最低気温はマイナス30度を下回る時さえある」と聞いて、正直「まさかね、そんな大げさな。」と思いました。先輩隊員たちは、「冬はズボンを5枚重ねて履く時もあるよ!」などと教えてくれましたが、それも脅しだと思っていました。しかしハルピンでの初めての冬が少しずつ春に近づいている今になって、「あぁ、あれは全部本当だったんだなぁ・・・」としみじみ感じています。
私がここハルピンに初めて赴任したのは4月の終わりでした。その時北京は既に30度前後の夏日が続いていて、いくらハルピンでもそこそこ暖かいだろうと思って油断して来ました。しかし、4月下旬にもかかわらず、セーターを重ねて着なければならないほど冷え込み、赴任早々氷の都の恐ろしさをひしひしと感じました。そしてそんな肌寒い日が5月の終わりまで続きましたが、ある日突然真夏がやってきて、昨日までセーターを着ていたのに、今日は半袖を着る、という体験をしました。冬が長く厳しい分、ハルピンの人々は大いに短く暑い夏を楽しんでいて、川べりのビアガーデンでハルピンビールを飲んだりして、私もつられて大いに夏を満喫しました。
しかしそんな夏もあっという間に過ぎ去り、9月に入ると、もう長袖を出さないと肌寒い日々がやってきます。10月に入ると、もう我慢ならないくらい寒く、かといってまだ「ハルピンの人にとっての冬」がやってきていないので、街中で防寒具は売っておらず、外に出るのが億劫な日々が続きました。東京にいても寒がりだった私は、誰よりも早く去年の売れ残りのダウンコートを買いに行き、誰よりも早くコートと帽子と手袋を着用して、みんなの注目を集めていました。しかしそんな極寒の日々も、1ヶ月もするとすっかり慣れてしまい、たまに出張で北京へ行ったりすると、「いやぁ、北京はなんて暖かいんだろう!」とコートも着ずに歩いて、南方から来た友人に変な目で見られたりもしました。慣れというのは、本当に怖いものです。
こんな氷の都・ハルピンを中国全土に知らしめているのは、やはりあの有名な氷祭です。私は既に3回も行ってしまいましたが、何度行っても感動できる美しさがあります。写真に撮ってもきれいですが、あのひやりとした美しさは、やはり実際にあの極限の寒さの中で見なければ味わえないと思います。ハルピンで一冬を越した私でさえも、氷祭に行った時は生命の危機を感じるほど寒かったです。そんな思いをしても来る価値は十分にあると思い、いつも友人や家族に「おいでよ」と誘っても、寒さに怖気づいてなかなか来てくれる人はいません。たしかに寒いですが、ズボンを5枚履けばなんとか耐えられるので、おいしいハルピンビールとロシア料理の食べられる氷の都に是非遊びに来てください!
16年度3次隊 ハルピン工程大学 日本語教師 林 直子