ぐりとぐらのホットケーキ作り*
=はじまり、はじまり!=
 

「僕らの名前はぐりとぐら、この世でいちばんすきなのはお料理する事食べる事、ぐりぐらぐりぐら、らんらんらん!」 

中国で青年海外協力隊の幼稚園教諭隊員としてボランティア活動している私の手元に、母からかわいい絵本が届きました。名前は「ぐりとぐら」。 

さっそく翻訳して,クラスの子供達に紹介しました。

「ぐりとぐら?」「ぐりとぐらってかしこいねえ」「ぐりは青いお洋服着てるほうでしょ?」「ぐりとぐらはケーキが作れるなんて、すごいね!」 

こども達の反応もとてもよくてわたしもびっくり!絵本は国境を軽く超えてしまうほどの力があるんだなあと,わたしもびっくりしました。 

 次の日から、お昼ご飯の時間になると,「僕らの名前はぐりとぐら、この世で一番すきなのは,お料理する事食べる事、らんらんらん……」とかわいい歌声が聞こえてくるようになりました。 

毎日昼食前に時間があるので、その時間を絵本の紹介の時間にあてていました。ぐりとぐらは一番人気で,子供達に「お話読んで!明神先生!」と言われるたび,何回も読んでいました。 

そんなある日子供達が、「明神先生、ぼくらもケーキつくりたい!」「黄色い、おおきなケ-キつくりたい!」「ケーキがたべたいよお!」と言い始めました。私はちょっとあせりました。だって中国にはホットケーキミックスないもんなあ。「けれど、みんなケーキのつくり方知らないでしょ?」と私もとりあえず反論。 

 ところが子供達はかしこかった……。

「明神先生、ぐりとぐらの絵本みて分かってるよ!つくり方はねえ、まぜまぜしたらできるよ!」

「でも材料はどうするの?」

「卵と牛乳とバターと砂糖と小麦粉があったらできるって、ぐりとぐらがいってたでしょー先生!」 

  完全に子供達に負けです!こうなったらやるしかない!「よし!じゃあ、来週ぐりとぐらに来てもらってケーキ作りを習おう!」「やったーやったーわーい!」 

  私もそういったものの中国の材料で,美味しいホットケーキをつくったことはなく、ちょっと不安でした。でも、不安なら、不安を打ち消すべく実験を重ねたら問題なし!と思い、さっそく実験にとりかかりました。 

ところがフライパンだと、子供達にホットケーキが焼けている様子を見せてあげる事ができないと気づきました。まずはホットプレートのようなものがあるかどうか。地元のスーパーで探しました。 

 そしたらあったんです。その名も「電火鍋」(中国式鍋料理に使う鍋)。ホットプレートにそっくり!これを買おうと思い。次の日同僚達に相談すると……。 

「みんしぇん(私の中国名)、その鍋でケーキつくろうって、作れるわけないじゃない!それは火鍋用なんだからね!」と、10人聞けば10人同じ答え。だんだん弱気になってくる私。でもどこからどうみても日本で使っていたホットプレートと一緒!というわけで、えいやっと勢いで買ってしまいました。 

買ってしまったら、もう後戻りはできないので、前に進むのみです!こんどはホットケーキ作りの小麦粉や砂糖などの配合実験です。 

そこでにまたまた問題が……。中国の田舎の方ではバターを売っていません。困った……と思っていたそのとき、たまたま入ったコーヒーやさんのケーキの味にピンときました。ここのケーキは日本で食べてたときと同じ味がする。もしやバターがこの店にはあるのでは?! 

 初対面の老板(マスター)に聞くのはちょっとどころか、かなり気が引けたのですがここは頑張るしかない。案外バターが手に入るかもしれない……と思い、聞いてみました。すると、やさしい老板は(あるよ、エ? 保育園の授業で使うの? じゃあ、安く売ってあげるよ)と言ってくれました。よかったぁ、バターも無事手に入りました! 

 しかし問題の配合が……。毎日夜仕事が終わったあとは、実験を重ねました。今日は砂糖を多くしよう、明日はバターを多くしよう、次の日は小麦粉を多くしてみようなどなど。色々試してみました。 

 あらかじめお菓子の本を見て、目安は自分なりにつくっておいたのですが、やはり中国の小麦粉や砂糖は、日本の物とは違いました。小麦粉については中国も日本と同様3週類あると言う事を同僚から教えてもらって、中力粉が一番出来が良いことにも気が付きました。砂糖もざらざらの粒状のではなく(中国ではこれか氷砂糖をよく家庭で使います)、ブドウ糖と言う、粉砂糖状のものが一番いいことにも気が付きました。 

 でも、これらの知識を得ることができたのは、同僚に尋ねたとき、彼らが親切に教えてくれたというプロセス抜きには語れません。今回も同僚から教えてもらった事はたくさんありました! 

 そして、開封で一番おいしいパンやさんで、イチゴジャムも買って準備OK!

 (ホットケーキにはメープルシロップですが、ないのでジャムに変更!) 

 子供達が待ちに待ったケーキ作りの当日、やってきました、ぐりとぐら!

ぐりは中国人の王先生、ぐらは私。実は私は当初からぐりは絶対王先生にしてもらおうと決めていました。わかい王先生は,すごくまじめで,まじめな分プレッシャーも人一倍感じてしまう先生です。日ごろ子供達と話すというより、怒り口調が多かった先生なのですが、可愛い先生と言う事は、日頃の会話で分かっていました。そんなかわいい王先生に楽しく、笑いながらする授業を味わってもらいたい。。。とかねてから思っていました。 (王先生は左側の青い帽子)

 当日は子供達も本物のぐりとぐらが来て大喜び!もちろん、そんな子供達を見て王先生も大喜び!子供達の楽しそうな笑顔や、歌声や、頑張ってかき混ぜる姿と、王先生のたのしそうな笑顔がいっぱいだった1日になりました。もちろんホットケーキも大成功!とってもおいしいケーキができました。 

 おもしろかったのはまるで絵本の世界と一緒だったことです。絵本の中で、ホットケーキの美味しい匂いにつられて、森の中の動物たちが集まってくるシーンがあるのですが、おなじように、幼稚園のほかのクラスの先生達も匂いにつられて味見しに来ていました。

気が付いたら大勢でホットケーキを口にほおばっていたのでした。(笑) 

 一緒にみていた副園長先生は「こんどはわたしもぐりになりたいー!」と言っていました。すると他の先生も「私も私も!!」 

 というわけで、いまは巡回の各クラスでケーキを作っています。どのクラスの子供達もいまではぐりとぐらの歌を歌っています。(笑) 

 私が帰国したあとも、子供達や先生の心に、(楽しかったねえ、ケーキ作り)という思いが残り、色々な活動に広がっていくと嬉しいなあ!

 

     ぐりとぐらの物語は、これからもまだまだ発展させていく予定です! クッキー作りとか、色々な事に挑戦していきたいと思っています^―^!

 明神弓子・河南省開封市・幼稚園教諭