ヨサコイHappyプロジェクト
中国の広大な大地に散らばって、一人ひとりがそれぞれの活動に精を出している我々青年海外協力隊が、一堂に会することが出来るのは、年に二回のボランティア総会の時だけです。総会は、協力隊隊員自治会による全体会議、異職種交流、有識者講演、個人面談、そして職種ごとの分科会に事務連絡などがぎっしり詰まった厳しい日程です。そんな中、ひとつ楽しみなのは、夕食を兼ねて行われる懇親会です。この時ばかりは日頃の活動の悩みも、いま乗り越えようと必死な壁もさっぱり忘れて、普段会えない仲間達と大いに盛り上がります。賑やかな宴会やお酒の席が苦手な私も、懇親会で元気に振舞う隊員仲間を見ると、嬉しくなります。
この懇親会のメインディッシュは、料理やお酒ではなくて、何と言っても隊員自らが演出、出演するレクリエーションでしょう。歌あり踊りあり、楽器の演奏、ゲーム、その他なんでも器用にこなしてしまう青年海外協力隊は、実は芸達者の集まりだったんだなぁ、といつも感心してしまいます。そんな私は特に披露できる特技もなく、楽しませて貰うばかりでしたが、次回はちょっとだけ、レクリエーションの舞台に参加させてもらえそうなんです。
さて、この懇親会の舞台に、昨年華々しくデビューした一団がいました。それは18年度1次隊、総勢19名によるダンスチームです。ニコニコと元気よく、さも嬉しそうに踊る彼らのよさこいソーランは、その人数とチームワークの良さで、まさに圧巻。そんな彼らから、前回の総会後にある依頼を受けました。それは私の配属先の学校で、よさこいソーランの衣装の法被(はっぴ)を作って貰えないか、というお話でした。
私は湖北省十堰市の技工学校で、服装科の教師として活動しています。服装科の生徒は現在130名を数え、人気学科のひとつとなっています。しかし増加する生徒数に対応するため、必要な機材を購入した今は、贅沢な教材を購入する余裕はありません。昨年末に行ったファッションショーでは、色付きの生地を買う予算を捻出できずに、生成りの木綿に水性絵の具で色を塗るなどの工夫が必要でした。
18年度1次隊からの依頼は、法被一着に付き材料費込みで100元、ということで学校側とも交渉成立。もちろんこの利益は、生徒の今後の学習のために使われます。これは意義ある臨時収入です。
先日、我が校生徒の日中友好法被製作特別編成班20名による、この法被作りが行われました。私が生地を見せると、生徒の間から歓声が上がりました。彼らは初めて扱うぴかぴかした綺麗な色の生地に感激していました。
しかしこのサテンという生地、実はかなりの曲者なんです。裁断した側からバサバサとほつれ、ミシンを掛ければつるつると滑ってどんどん縫いずれていってしまう。アイロンは利き難く、かといって温度を上げれば焦げてしまう。難易度の高い生地に悪戦苦闘を強いられた生徒たちは、次第に真剣に、そして黙々と作業を進めていきました。その上、今回は縫い代始末に割伏せ縫いと袋縫いという、手の込んだ縫い方を指示してあります。いや、別に私が意地悪してそんな縫い方をさせたのではなく、直線に裁断したサテン生地をロックミシンで始末すると、ミシン目ごと裂けてしまう恐れがあるからです。
ともかく、縫ってはほどき、ほどいては縫う、という生徒が続出。そして生徒どうしで縫い方のコツを教え合ったり、2、3人で協力してアイロンを掛けたり、そして特に優秀な生徒は、あんまり頼りになりそうもない外国人の先生(私)に代わって次の指示を出してくれたりするのでした。
初めての生地、初めての和服、初めてのチーム、初めての縫製と、初めてだらけの工程を格闘すること延べ16時間、やっと全ての法被が完成しました。
誰が見ても素晴らしい出来映え、とは言えませんが、ひとつひとつの作品に生徒の努力の跡が見られる、協力隊員に着てもらうにふさわしい法被になったのではないかと思います。この法被作りを通して、生徒たちは中国の各地に、たくさんの青年海外協力隊がいて活動していることを知りました(そして時々踊っていることも知りました)。次回の懇親会では、18年度1次隊のみんなに、頑張った生徒の気持ちと一緒に踊ってもらえたら嬉しいなぁ、と思っています。
私の活動の最後に、こんなふうな形でレクリエーションの舞台に参加させてもらうことが出来て、本当に光栄です。謝謝大家!
16年度3次隊 湖北省十堰市高級技工学校 婦人子供服 鳥潟桂子