アカシアの街で思うこと
北海の真珠と形容される大連に赴任して、一ヶ月半ほど経ちました。この間、新しい生活環境の中で、高考(大学受験)直前の3年生に作文指導、1〜2年生に会話や聴解など、日本語授業を手探りながら進めてきました。現在、配属先の校舎が改修工事中のため、1〜2年生は市内の別の学校の教室を借りています。1年生の日本語クラスは「化学実験室」で行われていますが、私自身の心境もまさに「日本語実験室」。どんな授業をするか必死に考え、生徒の反応はどうだったか振り返りながら、効果的な授業を行うために試行錯誤する日々です。
私の出身地である福岡県北九州市と大連市は、友好都市関係にあります。協力隊参加前に勤めていた職場では、中国各地から北九州を訪問する団体や北九州在住の中国人の方々と接する機会がありました。ちょうど一年前の今頃、前回失敗していたため協力隊受験を躊躇していたのですが、大連市の高校からの要請を見つけ直感的に「ここだ!」と思い応募しました。二次面接時に「これまでの中国の方との交流を通してご自分に合うと思いますか」と聞かれ「はい!」と元気に返事したものの、実際に合格通知を手にした時は武者震いがしたのをよく覚えています。
それまでに私が接した中国人は13億人中のほんの数十人なので、思い込みといえばそれまでです。しかし、その後2ヶ月半過ごした福島県の二本松訓練所でも、3週間過ごした北京の現地訓練でも、素晴らしい中国人の先生方と出会えました。また、中国を愛する日本人の先生方にも出会えました。「よき師との出会いは人生を豊かにする」と実感すると共に、中国への関心も深まりました。「経験豊かな老師たちには及ばなくても、これから出会う生徒たちにも私を通じて日本への関心を深めてほしい」そんな思いを抱き赴任しました。
配属先は進学校なので日本語は受験科目の一つとして位置付けられますが、それに止まらず「私はKAT-TUN(日本の人気アイドル)が大好きです」「先生!中国でもテレビでドラえもんを見られますよ」と、休み時間に一生懸命話かけてくる生徒たちもいます。教室の内外で、日本語を教え日本の文化や習慣を紹介し、時に生徒の将来の夢などにも耳を傾け、彼らとの距離を少しずつ縮めています。
日中相互理解のために、さまざまな方法、段階があっていいと思います。ドラえもんに憧れる科学者、日本の芸能人好きな政治家、そんな生徒たちの未来を想像しながら、大きな中国で小さな私ができることを広げていきたいです。そして、素顔の中国人学生たちの様子や中国で私が日々体験し感じることを、日本や世界各地にいる家族、友人、隊員仲間たちに伝えることも、楽しみであり大事な使命だと考えています。
大連一年生の私を歓迎してくれるかのように咲いていたアカシア。白く可憐な花も散り、大連は初夏です。学校は、もうすぐ夏休み。初心忘るべからずで、9月に新一年生を迎えようと思います。
大連市第一中学 日本語教師 17年3次隊 森田 淳子