二代目隊員の活動
「どうか皆さん、自分の事を他人と比べることのないように。あなたはあなたらしく頑張って下さい。2年間の活動に期待しています。」
これは昨年夏、私が任地に赴任する前に、ある方から頂いた言葉です。私は、このページに同じく寄稿されている田原洋平さんの後任として、2005年8月に、ここ吉林市朝鮮族中学に派遣されました。早いもので、あれからもう1年が過ぎようとしています。
さて、赴任当初、私は一つの問題にぶつかりました。それは、生徒からの「先生は何故、○○をしないんですか?」という言葉です。もちろん、これだけでは一体何のことか、さっぱり分からないでしょう。そこで少し説明を加えますと、まず背景にあるのは、私はこの学校における二代目隊員だということです。つまり、生徒のこの発言は、「以前の先生は○○をした。それなのに、何故あなたはやってくれないのか」という意味になるわけです。この学校で日本語を勉強している生徒にとって「日本人」と言えば、きっと「外教」である協力隊員の姿を描くでしょう。ですから、「前の人がこうだったから、きっとこの人もこうだ!」という思い込みがあったのかもしれません。
二代目というのは、どうしても前任者と様々な点で比べられがちです。ましてや、それがこの地に置いては珍しい、数少ない日本人となればなおさらのことです。活動を始めたばかりの頃は、「お前は〜〜と比べて〜〜だ」「〜〜は良く〜〜をしていた」という言葉をよく聞きました。そしてその度に、「自分は、あまり良く思われてないのだろうか?」「このまま活動を続けていいのだろうか?」と焦ったり、自信をなくしたりすることがありました。
しかし、そんな時ふと心に浮かんできたのが冒頭の言葉です。そして、この言葉を思い出した時、私はなんだか胸のつかえがとれたかのように、気分がすっと軽くなりました。
「そうだ、他人と比べたってしょうがない。この2年間は他の誰でもない、私だけに与えられた時間なのだから。その中で、自分に出来ることをやっていこう。」
幸いなことに、この学校には既に多くの日本語教材が揃っており、また先生方の日本語レベルや、日本人に対する理解もかなり高いと思います。これは日本語教師としてここで活動する私にとっては、非常にやりやすい、土台の出来上がった状態と言えます。農業で例えるならば、最初の土づくりが終わって、畑からちらほら芽が見えてきた段階とも言えるのではないでしょうか。そう、二代目隊員にはマイナス点ばかりではなく、こうした二代目ならではのメリットもあるのです。
では、そんな環境の中で、私がやるべきことは何でしょうか?それは、こうした土台を活かして、更にこの学校の日本語教育環境を良いものにすることだと考えています。例えば「絵や写真など今ある教材を、どのように使えばよいか?」「文型や単語を楽しく教えるためには、どのような方法があるのか?」等、出来る限り現地の先生方と一緒に試行錯誤しながら、やっていきたいと思います。
人と人とがつなぎ合って活動する協力隊。その活動は、やる人次第でどこまでも無限の可能性を秘めています。教育というのは、結果がすぐには見えてこないものです。それでも、いつか大きな花が咲く日を夢見て、地道に粘り強く活動を続けていきたいと思います。
平成17年度1次隊 吉林市朝鮮族中学 日本語教師 山本晋也