日本からの贈り物
私がこの湖南省株洲市にある太陽宮幼稚園にやってきて1年と4ヶ月が経とうとしています。太陽宮幼稚園は株洲市の街の中にあり幼稚園の横にはとても大きな湘江という川が流れています。夏になるとそこで獲れる辛いザリガニ料理が川沿いの店を賑わせています。人々は基本的には明るく、いつも大きな声で冗談を言って笑い合っている、そんなラテン的な感じの人が多いまちです。 そんな大人たちに囲まれて育つ子ども達もとっても明るくて元気です。太陽宮幼稚園の子ども達はとても元気に挨拶ができます。時には挨拶+キスをくれる程です。
先日、太陽宮幼稚園に日本から大きなプレゼントが届きました。それは“楽器”です。ピアニカ8台、小太鼓8台、カスタネット、タンバリン、トライアングル、そして幼児教育雑誌、こどもの絵本など。 これは“世界の笑顔のために”というプログラムで日本の方が使わなくなった物などを送って途上国の人たちの為に役立てようとする企画で送られてきた物です。
ここ太陽宮幼稚園では日頃、授業が中心で自由遊びの時間はとても短く、皆さんの描く幼稚園の生活とはきっと少し違います。園長先生に「幼稚園に今一番欲しい物は何ですか?」と尋ねたところ「ドラムセット」と言われて、“それは無理があるな・・・”と考えたのですが、それでわかったのです。日本の幼稚園にあって中国の幼稚園にない物、それは“楽器”でした。
日本の幼稚園だと発表会や鼓笛隊など、みんなで一つの音楽を作る“楽器あそび”があるものです。日頃、個人個人で活動する事が多い中国の子ども達、ドラムセットのような個人で使う楽器ではなく、小さな楽器を使いみんなで合奏する楽しみを体験させてあげたい。そう考えて応募してみました。すると日本全国各地からいろいろな楽器が集まりました。とてもありがたい事です。
このプログラムで楽器を申請してから、太陽宮幼稚園では今まで使っていなかった教室を改装し、“日本式教室”と名付けた音楽教室を作りました。幼稚園の先生達一同その教室の為、壁面の飾りを作り楽器を待っていました。 そして今は子ども達がかわるがわるその教室で楽器に親しんでいます。今後“きらきら星”をみんなで合奏しようとはりきっているクラスもあります。
送られてきた鍵盤ハーモニカには日本の子どもたちが使用した証拠に名前を消した跡があります。新品のものよりも歴史があり、ぬくもりがある素敵な贈り物です。子ども達が「なんて書いてあるの?」と聞くので「日本の友達の名前がかいてあるよ。これもこの友達の大切な宝物だったんだね。」というと「だから私たちも大切につかわなくちゃいけないんだよ。」と1人の子が言ってくれました。日本の人々の心は小さな幼稚園の子どもにも伝わっているようです。
平成16年度3次隊 株洲市婦女児童活動センター 幼稚園教師 石原弓子