廃材を利用することから得た「考え方の面白さや違い」を活かして
私のいる河南省開封市は菊が有名な街。秋の菊祭りの時には、街中の様々な公園、お店、病院、そして私の幼稚園でも菊を様々な形で飾り立てます。市の花に決められていることも3歳の子どもでも知っているほどです。
「よし!菊の花を作ろう!」と思い、日本の菊の歌を翻訳したり、菊の花にお水をあげたり、自分が菊の花になって表現遊びをして、興味を持ったり、遊んだ経験を生かし、いよいよ菊の花作りです。染め紙で花をつくったり、新聞紙を丸めて土にしたり、植木鉢の模様を描いたり・・・植木鉢にはJICA事務所で集めていただいている廃材を用い(牛乳パック、カップ、トイレットペーパーの芯など。私の任地ではまだ身近ではありません)ヨーグルトカップを使いました。殆どの製作を子どもたちが自分たちで行いました。そうしてできた花は子どもたちのお気に入りです。
廃材は様々な形で使えます。捨ててしまえばそれまでですが、考えれば色々活かせるのです!牛乳パックで植木鉢に水をやるじょうろを作り、ケーキの焼き型にも使いました。牛乳パックを切り開いて、丈夫な厚紙代わりにして「跳ねるうさぎ」を作ったり、トイレットペーパーの芯を利用して、クリスマスツリーを一人ずつ作ったり、お雛様をつくったりしました。散らし寿司の入れものは牛乳パックをひしゃげさせ、折り紙を張って、ひし形の容器へ変身!この前は牛乳パックをたくさん使ってスツールを作りました。スツールは今、子どもたちのままごとコーナーで椅子や、テーブルになったり、お鍋に見立てたり、転がしてみたりと自由に子どもたちが使っています。
製作の前に、廃材を背中に隠し、ひょこっと見せると途端に「今日は何作るの?」と眼を輝かせてくれます。「今日はねこれがね、クリスマスツリーに変身するよ!」と出来上がりを見せると子どもたちも大喜び!自分で何かを作ったりすることもだいぶ慣れ、楽しんでつくっています。今は年少(2歳から3歳)班に関わっているので、簡単かつ自分ですべて作れるものです。「これは難しい?」「これはどうかな?」と中国人老師と相談もします。手を動かすことはすべての力につながります。そして子どもたちが楽しんで作り、できた喜びを大切にしています。(普段この幼稚園での毎日は日本の幼稚園と違い、教科書を用いた日本の小学校低学年くらいの内容の授業が主で、季節の製作をしたり、経験したことの製作や絵画を描いたりすることはなく、自由遊びをしたりということはありません)
日本では勿論、毎日の保育に教科書はなく、それぞれの園風を生かし、遊びを主体として保育を担任が考えていく園が多い中(勿論お勉強を主体とした園もあります)、中国の幼稚園では教科書を用いた勉強主体の園が多いようです。これも生活環境の違い(両親が共働き、そして教育の違い)が関係していることや、日本以上に早期教育やレベルに対してシビアだからだと思います。今少しずつ、教育の見直しがあり、保育でも遊びを主体とした保育を大切とする園も増えてきたようです。
今、幼稚園の環境をかえていこうということで季節にあったものを子どもと作り掲示しています。後、日本の季節の行事習慣等や時には中国にある材料で作れるおもちゃや、壁面飾りなど紹介しています。よく様々なクラスで、何々の絵を描いてと頼まれ描くのですがその度に「この絵が描いてある教科書を貸して。」と言われます。「これはぱっと考えて描いたから、本はないよ。」というと「じゃあ、どうしてできるの!」と驚かれます。折り紙や製作ゲームも「その教科書を見せて」と。よくイラストを描くのにカエルならカエルの様々な表情や、様々な形のイラストが描いた本を見て絵をかく先生が多いです。子どもの絵も「ひよこは丸を描いてこうやって描きます」と先生の模倣が多いです。だから「自由に描いていいよ!」というと「どう描くの?」と戸惑う子どもが多いです。
さて、この街にはとてもごみ箱の数が少なく、ごみがとても多かったのですが、分別のゴミ箱ができました。こういう環境に興味を持っていったり、やがてここでも増えていくであろう廃材を捨てちゃうだけでなく、利用して何かを作ったり、リサイクルしていくということをその時に思いだしてくれたら・・・と思います。今、「これはこういう風に使えるのだね!」と子ども達や先生たちも廃材に興味を持ってきているので、今度は子どもに廃材を渡して何かに見立て、中国の先生たちのアイディアを生かしたものを作ってもらいたいなと思っています。果たしてどんなアイディアが出てくるか、何が出来上がるか、楽しみです!
お互い国の違いを尊重し、理解した上で、考え方の違いの「面白さや楽しさ」を生かし、大切にしていきたいです。さ、今度はどんなことをしようかな?と頭を悩ませつつも楽しい日々です。
平成16年度2次隊 幼稚園教諭 松井愛子