「草原合宿に参加して」
私が四川省の涼山州西昌市に来て3ヶ月の今年8月、シニア海外ボランティアとして、内モンゴル師範大学で声楽の指導をしていらっしゃる中嶋さん主催の音楽合宿に参加させて頂ける機会がありました。内モンゴル自治区のフフホト市からバスで2時間くらいの所にある包头市内にある草原で、一週間、中嶋さんと内モンゴル師範大学の学生さん、そして内モンゴルのフフホト市にいる音楽隊員の田原さんと共に過ごしました。
田原さんは週に数回ほど中島さんの授業のお手伝いをしているので、だいたいのことを知っていましたが、私は学生さんたちとは初対面でした。
フフホト市内を午前中に出発、バスに乗ってみんなで合宿場所に向かいました。前日に学生さんと中嶋さんと田原さんたちで食料などの買出しをしてくださっていて、大量の荷物と私たちはシラムレンの草原を目指します。その途中でスイカを40個くらい、きゅうり・トマトはダンボール一箱ずつ、カレーライスを作るために必要な野菜などを買い込みました。バスの中は本当に荷物と私たちでいっぱいいっぱい。草原の周りには、食事ができるところはおろか、物が買えるところもないそうなので、一週間分を買い込んだというわけです。
さて、ようやく草原に着き、私たちの宿泊場所となるパオに大量の荷物を運びます。学生たちは何回も往復してとっても重い荷物を運んでいました。どこからかやってきた牛がスイカを狙っているので、油断禁物、常に牛からスイカを守る係りが必要でした。周りは草原、地平線がきれいに見渡せる景色が最高の場所です。
毎日朝6時からジョギングをするので、その前に起床。草原の朝と晩はとっても寒いです。みんな厚着をして走り始めますが、除々に太陽も出てきて、体も温もるため、最後にはみんな半袖になります。朝早いので、朝露で草が濡れています。虫もたくさんいます。そんな自然たっぷりの草原で、毎日走ったり、ストレッチをしたり、気持ちのよい朝を迎えました。
その他に、リズム練習として、大縄を使ってリズムを取ったり、ケンケンパのような感じでリズムを取ったり、体全体でリズムをつかむ練習をしました。学生達はどちらかというとリズム感が優れているとは言いがたく、苦手としていたので、重点的にリズムの特訓を行ないました。日中、太陽が出ている草原は日差しが強く、とても暑くなるので、今度はみんな汗だらだらになりながら特訓をしました。そんな学生たちの姿をみていると、私も頑張らなくては、と活力をもらっていた気がします。
この他、一週間の合宿の間に一人一曲イタリア歌曲を完成させるという目標があり、まずはイタリア語の発音から練習し、音取り、と除々に曲を作りあげていきます。イタリア語の発音は難しいですが、特に舌を巻くような発音はなかなかできません。でも、何名かの学生は巻き舌の発音がきれいにできていて、感心しました。合宿最終日の夜、火が灯る中で各自が一週間の練習の成果を発表しました。夜の草原は寒く、また緊張していたりしていましたが、一人ひとり自分なりの成果を発表できていたのではないか、と思います。
また、この合宿中に日本から学校の先生達が視察しにいらっしゃいました。それにあたり、歌と踊りを披露しようということになり、さらに日本語の歌を暗譜で歌うことになりました。中国人の彼らには簡単なことではありません。しかしあきらめることなく、一生懸命覚えて、何度も何度も練習しました。そして、披露するときには、全員が譜面を見ずに、笑顔で日本語の歌を歌うことができました。短い間でしたが、集中して物事をやり遂げることができたということで、「やればできるんだ」という自信が持てたとことだと思います。
この合宿で感じたことは、学生さん達が、とても熱心で、まじめで、明るいということ。常に周りに気を配り、みんなが疲れていて雰囲気が重くなっていても、誰かが冗談を言ってその場を明るくしてくれました。毎日夜遅く、また朝早くて、睡眠時間は多くはなかったけれど、暇を見つけては歌の練習をしたりしていました。こういった前向きな姿勢で学んでいる彼らは、きっとどんどん成長していくと、強く感じました。
今回、同じ中国内で同じ音楽活動をしている中嶋さんや田原さんと一緒に過ごし、色々新しい発見をすることができ、とても貴重な勉強の経験をさせていただきました。今、私がいるのは、四川省。内モンゴルとは少し離れていますが、またいつか彼らの成長した姿をみてみたいと思います。
平成16年度3次隊 四川省涼山民族中学 音楽 松浦志保