『元通りの体に治して欲しい』
私の任地である開封市は小都市ですが、中国人なら誰でも知っている土地です。なぜなら4000年以上の歴史があり、後梁・後唐・北宋など七王朝が都を置いていた土地だからです。現在は観光地の一つとなっています。歴史的建造物の他に一年中出ている夜店の軽食も観光の一つです。夕方には夜店を出す人たちの荷車渋滞が出来るほどです。
この開封市に私はリハビリの一つである作業療法士隊員としてやってきました。現在は脳卒中後遺症の患者さんが8割を占めていますが、骨折などの整形外科疾患の患者さんもいらっしゃいます。
驚いたのは、整形外科疾患で作業療法を受ける人は、酔っ払って喧嘩して、包丁で叩かれて骨折したという人が多いこと。中には包丁で頭を叩かれて片麻痺になってしまった若者もいました。患者さんはリハビリの噂を聞きつけてやってきます。医師からの紹介ではありません。しっかり固定をし終わってからリハビリに来るので、拘縮(関節の運動が制限された状態)ができてしまっている患者さんが多いです。一度できてしまった拘縮は改善にとても時間がかかります。そのためもっと早い時期から拘縮を作らないためのリハビリが必要なのです。医師へのリハビリの理解は今後も課題です。
患者さんは一回の訓練にとてもシビアです。疲れたみたいだから休もうといっても、家族がもっとやらせようとします。一回の治療費(理学療法24元、作業療法17元)は安いものではありません。特に保険がないような農村の方たちにとっては大きな出費だと思います。残念ながら今の医療ではリハビリをしても身体機能が100%元通りになることは難しいです。患者さんやその家族はリハビリをすれば元通りの体になるのではないかと期待を持っています。元に戻らないならリハビリをしないという人もいます。残る障害があってもそれを最小限にすること、また障害があっても豊かな生活を送れるように作業療法があることを、スタッフをはじめ、患者さんやその家族に伝わることに努めています。
環境整備に関しては、家族が必要だと思うものをなんでも工夫して作ってしまいます。例えば荷台付バイクのステップを乗り易いように低い位置に付け替えたり、籐の椅子にキャスターをつけて車いす代わりにしたり、とても柔軟に対応しています。「こんなことができるんだ」と家族から勉強させてもらっています。
一人でも多くの患者さんが自分らしく生活して欲しいです。そのために作業療法が貢献できることをここのスタッフと模索していきたいです。
平成16年度2次隊 河南省開封市第一人民病院 作業療法士 藤澤聖子