涼山州の発展を目指して

 2007年11月に、四川省涼山彝族自治州西昌市にある、涼山民族中学内組織の涼山信頼農園に赴任致しました。涼山州は、標高3,000メートル級の山々に囲まれ、すばらしい自然環境ですが、それゆえに、経済的発展が比較的遅れており、様々な援助を受け入れている地域です。私の活動は、村落開発普及員として、地域が、援助を受ける側から、自立できるように促すというものです。

 所属している信頼農園の活動目的は、貧困地域の環境を保護しながら、住民自らの経済活動を通して自立すべく、所得の向上を行い、その効果である就学率の向上を狙い、地域の永続的な発展を目指すものです。

 主な活動内容としては、貧困地域に、高付加価値の農産物を作付けし、現金収入を増やすことです。具体的には、西昌市から北にある、喜徳県連合村にて、2000年から米の高付加価値品種である日本産こしひかりの作付けを行い、一般的な品種より高く買い上げることによって、地域の農家の所得向上を行い、同地域の小学校就学対象児童の全員が通学できるようになったとの成果を上げました。2008年度は、他地域にも耕作面積を広げ、さらに多くの世帯の所得の向上、就学率の向上を図って行きたいと考えています。

 今後は、山間部の貧困地域で、これまでに農薬、除草剤、化学肥料を使ったことのない、無農薬、無汚染の土壌を生かした、有機農法による高原野菜栽培や、有機畜産を行い、あくまで、環境を生かした有機での高付加価値品種生産にこだわり、更なる地元農民の所得向上に繋げて行きたいと考えております。同活動で、最も重要なことは、安定的な販売先の確保ですが、現在、私が取り組んでおりますのは、四川省の省都である成都、その隣の重慶を中心とした販路の開拓です。ゆくゆくは北京、上海などへの出荷を考えています。

 また、農園のその他の活動として、貧困地域出身者の雇用促進対策として、日本語職業訓練クラスを設立し、3期目となる2007年度は、州農業学校と共同で、主に実用日本語やパソコン事務技能などを習得することによって、日系企業への就職を目指し、教師の雇用費用、学費や教科書代を負担しております。昨期は、上海などの沿岸地域、成都などにほぼ全員就職することが出来ました。私は、日本での社会人経験を生かし、今後、ビジネス日本語や企業内マナーなどの授業を受け持つ予定です。

 涼山州の将来の発展を考えたとき、人材育成が第一と考え、同農園の収益の一部を涼山民族中学の貧困学生へ資金援助を行っております。同様に、幅広い地域に学校教育を定着させていくため、貧困地域の資金不足の小学校の教育環境改善への資金援助をおこなっております。将来的には、同農園の事業収益を拡大することによって、更に多くの貧困地域の小学校に対する支援活動に広げていきたいと考えています。現在、貧困のために学校に行けない子供たちに対しての支援策として、2008年9月には、貧困地域の子供たちを集め、独自に、信頼農園小学校を設立する構想をもっています。その構想を実現させるため、信頼農園の職員が一丸となって、準備をしているところです。

 私自身の同農園における活動への取り組みによって、涼山の貧困地域の所得向上、就学率の向上、更には、地域の発展に貢献できればと考えております。(2007年12月)

19年度2次隊 涼山信頼農園 村落開発普及員 土屋賢治