オルドスの自然と向かい合って・・・

 「この荒れた土地でどうやって草や、木や、人が、生きてゆけるのだろう。」

 私がはじめてこの内蒙古オルドスの植林地に行くときに感じた事です。その光景は何もない荒野が広がり、もう四月だというのに枯れているのかどうかわからない草木が所々生えているだけでした。小さなオルドスの街を出発してからすぐに視界が広がり荒野となりました。しばらくして舗装された道路もなくなり、私たちを乗せたバスは砂利道を走ることさらに一時間。激しく体を揺らされ、何度も座席から落ちながらもようやく植林地に着きました。そこは以前、植林をした木々があるものの、すぐ向こう側には完全な沙漠が広がっています。以前私は飛行機の上から中国の広大な大地をはじめて見たとき、そのスケールの大きさや美しさに感動すら覚えたものですが、実際にその地に立ってみると、そこには厳しい自然の姿がありました。

 私は今年の一月から青年海外協力隊として寧夏回族自治区にグラフィックデザインという分野で大学生に技術向上の活動を行っていますが、以前から中国の沙漠緑化に興味があり、機会があったらやってみたいと思っていました。日々の暮らしに慣れてきた四月に植林活動の機会に恵まれ参加する事に。発起人である坂本さんは以前私と同じ協力隊員でもありJICAの元調整員。JICA事務所からメールが届き、坂本さんが植林活動の参加者を募集しているというので参加しました。坂本さんはこのオルドスに見せられてから、なんとか地元の人たちのためにできなかと、村と提携して植林活動を行っているそうです。

 私たちの植林活動は変わりやすい天候の中行われました。初日どんよりとした雲が広がるなか、時折冷たい雨が降ったかと思えば、昼過ぎには強い日差しが差し込むといった変わりよう。4月という気候は木の根が根付きやすい時期で、滅多に雨が降らないこの土地で、雨の中植林ができるのは幸いといえますが、如何せん自然の厳しさを感じずにはいられませんでした。植林活動を行う上で最大の問題が風です。せっかく育った苗や土壌が強い風で飛ばされてしまうからです。風対策として無数の枝を砂地に何列も差し込み、その間に楊柴という羊の餌となる芝を植える作業をしました。驚いた事に30センチくらい掘ると砂地から湿った土が見えてくるのです。そこに苗を植えるのですが、もっと深く掘るのかと思っていた。初めて植林活動をしましたが、ケースによってやり方が違いますが、ここではこれで育つそうです。沙柳という木も植えましたが同じ要領で行いました。作業が終わりかけてからまた雲行きが怪しくなり急に雨が降り出しました。しかも雹まじりです。翌日になると朝から強い風で、途中まで植林地に向かったのですが風は収まる気配がありません。それどころか道が吹きつけた砂で埋もれてしまい車が前に進めないという。私たちは仕方なく引き返しました。坂本さんもここに来てこんなにひどい砂嵐は初めてだと言ってました。そのうえ雪までパラついてき、この悪条件の中、本当に緑が育つのかと思いました。しかし地道に続けるほかありません。たった二日間の活動で一日潰してしまい、大した事ができませんでしたが、改めて緑のない自然の厳しさを思い知らされました。緑が増えれば、もう少し穏やかな気候になるのでしょうが、それまでは長く辛い植林活動を続けなければならないでしょう。今、自分の職場に戻った私も地道に少しでも多くの人に緑化活動や環境保全の意識を持ってもらおうと、学生たちに環境保全のポスターやカタログを作らせて多くの人に訴えていきたいと考えています。そしてもう一度自分が植えた木々を確かめにオルドスに行きたいと思います。

18年度2次隊 西北第二民族学院 デザイン 小河原房男