「交流会を忘れるな」

 「私たちの日本語は民族学院の学生の日本語より下手です。私はもっと日本語の勉強を頑張らなければなりません。」「交流会の時、全然話せなくて恥ずかしかったです。」「民族学院の学生の発音はいいです。」・・・2006年11月、青海省西寧市内の青海民族学院と青海大学で日本語交流会を行った直後に学生たちが書いた感想文である。青海大学の多くの学生たちは「交流会は楽しかったが、自分が予想以上に話せなくて反省した。もっと努力しなければならない。」と言う内容の感想文を書いた。他校の同学年の学生と交流し、その日本語能力を知ることで、日頃のんびりしている学生たちは良い刺激を受けたようだ。交流会の後、しばらくは『交流会でのショック』がマイナス側に働くことはないかと心配していたが、ほとんどの学生が前向きに捉えてくれ、交流会をして本当によかったと思う。

 先日、そんな学生たちの一部が補講を申し出てきた。「会話や文法の授業で既に勉強した文型でもまだ十分に話せないので、会話の補講をしてほしい」と言う学生や、「もう一度基礎から日本語の文法を勉強したい」と言う学生など、それぞれ自分たちなりに実力を見直して、当面の課題と目標レベルを設定したようだ。交流会の後、学生たちの勉強に対する姿勢が変わった気がしていたが、こうまではっきり「行動」となって現れるとは思ってもいなかった。正直に言えば、学生たちの変化に驚いている。きっかけはいろいろあったと思うが、学生たちが自発的に現状を見つめなおし、日本語に対して前向きに考え、そして私を頼ってきてくれたことが本当に嬉しい。毎日の授業準備で精一杯の私は、嬉しい悲鳴をあげながら補講の準備をしている。学生たちのやる気を精一杯応援したいと思っている。

 青海省の日本語教育はまだまだ発展途中で、日本語教育の盛んな中国東北部や中国南部に比べると日本語を勉強する学生たちにとってあまり恵まれた環境ではないという話を聞いたことがある。日本語教師も教材も不足している。私自身もこちらで良い日本語教材を手に入れる大変さを実感している。このような状況でも一生懸命勉強している学生を見ると、彼らが日本語を学ぶ環境をいかに整えられるか、一人の日本語教師として自分に何ができるか考えさせられる日々である。今後学生たちが日本語を使う機会が増えれば増えるほど、向上心が強くなればなるほど、冒頭のようないわゆる「ショック」を受けるはずである。そのときは、交流会のとき受けたショックやその後の自分の頑張りを思い出してほしい。自分の日本語能力に自信を失いかけても、前向きに頑張れば結果は付いて来ることを思い出してほしい。微力ではあるが、私も精一杯学生の頑張りに答えていきたい。今の私にできること・・・まずは、学生たちが自信を持って日本語を使えるように、「青海大学で日本語を学んでよかった」と思えるように、日本語能力向上に向けて全力で取り組もうと思っている。

青海大学 日本語教師 伊原香代