学生主体のエイズ予防啓発活動!〜エイズ・ピア・エデュケーション〜

 私は2005年9月より、四川省涼山州西昌市にある涼山州紅十字会(赤十字会)で公衆衛生活動を行っています。ここ涼山州紅十字会に派遣となった青年海外協力隊員は私で3代目になり、スタッフの方たちの理解と協力の下、毎日元気に活動しています。

 涼山州には17市県がありますがその多くが国家級の貧困県に指定されています。“貧困”には様々な要因がありますが、ここではエイズも貧困と大きく関係している問題の一つです。

 中国衛生部は2005年、国内におけるHIV感染者及びAIDS患者数が65万人(エイズ発症者は約7.5万人)であると発表しました。2006年3月1日には艾滋病(エイズ)防治条例 が施行され、現在国内全体でエイズ予防・治療に取り組んでいます。ここ涼山州では貧困を背景とした麻薬常用者間での注射器の使い回しがHIV感染原因の大半であり、年代比率では働き手となる青壮年が全体の8割を占めています。当紅十字会では2003年に“香港・オーストラリア救世軍”支援の下“心語”中心(HIV/AIDS諮問センター)を設立、エイズ予防対策活動を行っており私もこのプロジェクトに携わりスタッフと共に活動を展開しています。現在“心語”中心では、電話での相談受付(自動音声サービスも含む)や世界エイズデー等の大型宣伝活動の実施、ボランテア芸術団と協力し地区エイズ予防宣伝活動の実施、そして地元大学でのピア・エデュケーションを行っています。

 ところで、みなさんは(エイズ)ピア・エデュケーションという言葉を聞いたことがありますか?ピア(peer)とは仲間という意味で、若者が同年代の若者に対して行うエイズに関する普及啓発活動のことをいいます。2004年より始めたこの活動ですが、当時からの参加学生も含め、現在計33名のピア・エデュケーターが小グループに分けてエイズ啓発活動を行っています。彼らは全てボランテア志願者で、ピア・エデュケーターになるための専門トレーニングを受けています。養成訓練では、HIV/AIDSについての基本的知識は勿論のこと、コンドームの使用方法、また仲間などに薬物を勧められた際の拒絶方法や啓発活動の際の教授方法など様々なことを学びます。普段は講義を受ける側の学生が、彼らが中心となり活動を行うことはそれだけでも大変なことだと思いますが、失敗や反省を繰り返しながら仲間同士で励ましあい、彼らなりの言葉や表現で、HIV/AIDSに対する理解と予防に努力しています。ピア・エデュケーションに参加した多くの一般学生から、“エイズは単に怖いイメージしか持っていなかったけれど正確な情報や知識を得たことで予防できる病気だと知った。”“今後エイズで苦しんでいる人達に偏見ではなく関心をもって接していきたい”などの声が聞かれています。私たちは、彼らの目線でこの活動を行っていくことにより、単に知識を広めるだけでなく今後HIVに感染している人も感染していない人も、共に安心して生きていける社会づくりのきっかけに彼らがなってくれたらと願っています。

 また涼山州には同じようにピア・エデュケーションを行っている機関や、いくつかのNGO団体がエイズ予防・治療対策活動を展開しています。今後このような機関と協力し合うことも、更に効果的な活動をおこなっていくためには重要な課題ではないかと思っています。

 現在この活動評価を行い今後へどうつなげていくか、ピア・エデュケーションの実施拠点が他校へ移った場合に彼らのケアをどのように行っていくか等の問題もありますが、今後もスタッフと協力し合い、学生に元気をもらいながら、皆で一歩一歩進んでいきたいと思います。

四川省涼山州紅十字会 公衆衛生  増田宮子