中国中等日本語教育研修会

  中国の課程教材研究所と日本の国際交流基金の共催で、7月18日から22日の5日間、北京の月壇中学で「全国中等日本語研修会」が行われた。全国各地の中等教育機関で教える中国人日本語教師と日本語教育関係者約100名が集まった。現在、中国の初・中等の日本語学習者は約8万人、中国全体の学習者数の約20%を占める。中等教育の日本語学習の目的は主に受験(高校・大学入試)である。同じアジアにあり、漢字圏である中国人にとって日本語は英語に比べ点を取り易いと言われていた。しかし、最近の入試は以前に比べだんだん難しくなってきたようだ。また、英語を選択したほうが将来性があるなどの理由で日本語学習者が減少していく傾向にある。

 今回の研修会では新しい教科書の出版に伴って、構成や内容についての講義や教科書を用いての模擬授業、実践授業などを行った。その後、ワークショップ形式での話し合いや授業の振り返りなどの時間もあり、研修生にとっては非常に内容の詰まった5日間であった。研修生の熱心さ、積極的な姿勢には同じ日本語教師として私自身たくさんのことを学んだ。研修生の中には若い先生もいれば何十年も教師経験をもつベテラン先生も大勢いる中で「よい教え方はどうすればいいのか」ということだけでなく、「新しい教師の姿」について考え、“教育”の根本的なところからもう一度見直すというきっかけにもなった。また、全国に及ぶ教師間のネットワークができれば、とかく主観的になりやすい日頃の授業や評価について、他人と意見交換することによって、プラスになる面はたくさんあるだろう。

 研修生の模擬授業では実際にパワーポイントや、OHPなどを使って視覚的にもインパクトを与えた素晴らしい授業や、絵カードやゲームなどを取り入れた活動的で楽しい授業など、生徒の興味を引くように様々な工夫を凝らした授業が行われた。従来の教師主導で機械的な練習が多く、正確さを重視した授業から、より学習者主体でコミュニケーション能力の向上と流暢さを重視した授業に変わってきたと思う。学校によってはパソコンや機材が使えないところや技術が足りないなどの意見もあり、実際その問題は大きいと思われる。もちろん、これからは教師もいろいろな技術を見につけなければならず、努力すべきだと思うが、パソコンや機材を使わずに授業ができるということは一番基本的なことでもあり、大切なことであると思った。

 毎回、研修会の最後の時間にはいろいろな活動が行われた。私もこの時間に講師として参加し“折り紙”をした。他には“タイ語”“絵を使ったゲーム”“歌”“踊り”“空手”などがあった。この活動の時間では研修生もみんなリラックスした表情で、本当に楽しそうに時には真剣に取り組んでいて、研修会の時とは全く違った雰囲気だった。何事にも熱心にやってくださる先生方の姿を見ていてとても嬉しく思ったし、学ぶべきところは多いと思った。

 日本と中国が協力してこのように有意義な研修会が行える環境は、他の外国語教育では少ないのではないだろうか。中国で今後日本語教育をさらに普及させ、向上させていける可能性は大きいと思った。しかしながら、日本語離れしていく現状にあるのは、学習者にとっての目的や将来性の問題にあると思う。もっと日本語が役に立つ場所、将来日本語を有効に使える場所が増えてほしい。日本と中国が協力し合い、そのような環境を作っていかなければならない。

瀋陽市朝鮮族第一中学

中村 直子