〜みんなの心が一つになった。標高3000メートルの小学校で運動会!〜

 「紅隊、加〜油!黄隊、加〜油!」(紅組がんばれ!黄組がんばれ!)前夜の雨の心配も吸い込んでしまったかのような透きとおった青空の下、標高3000メートルにある「山の小学校」で、第三回文化体育祭が開催されました。

 ここは四川省涼山州の山の奥、中国の貧困地域のひとつであり、彝(イ)族という少数民族の人々が暮らしています。ここに住む人々は山間地を利用して、ジャガイモや韃靼そばなどを作り、それを売ったわずかな収入で生活しています。大自然の中には見渡す限りのジャガイモ畑が広がっています。しかし、近年では森林伐採による環境破壊が進んでおり、ところどころ赤茶けた山肌がさらされています。私たちから見れば過酷だと思われるこの環境の中でも、人々は懸命に生活しています。

 私は、短期隊員としてこの涼山へやって来ました。赴任してまだ3週間、配属先の生活にもやっと慣れたころ、この文化体育祭に初めて参加しました。ここでは涼山州で活動している協力隊員が、毎週一回、この“山の小学校”「皇崗小学校」を訪問し、子供たちに音楽、美術、体育、衛生、緑化教育などを行っています。文化体育祭当日は涼山州の政府関係者をはじめ、日頃からご支援をいただいている中国、日本、双方の関係者が大勢参加してくださいました。また、子供たちの父兄もたくさん集まって、小さなグランドは埋めつくさんばかりの参観者でいっぱいになりました。

 この日のために、子どもたちは日ごろから一生懸命練習してきた競技や歌、踊りなどを披露してくれました。初めは大勢のお客さんの前で少々緊張気味の子供たちでしたが、競技が始まると日ごろの成果を十分に発揮していました。どの競技も一生懸命、周りの声援も耳に入っているのかいないのか、子供たちにとっては真剣勝負です。真剣すぎて途中でこけて泣き出す子や、二人一組なのに一人で突っ走ってしまう子、勢いよすぎて壁に激突してしまう子などもいました。しかし、いろんな競技を通して、努力すること、みんなで協力し合うこと、相手を思いやることなど、身を持って学んだことはたくさんあったのではないかと思います。私もそんな子供たちの一生懸命な姿に感動せずにはいられませんでした。プログラムの最後には、彝(イ)族のフォークダンスを参加者全員で手をつなぎ、輪になって踊りました。その瞬間、国境や民族の壁を越え、大人も子供もみんな、その場に集まったすべての人々の心が一つになったという感覚と大きな幸福感に包まれました。

 私は時々「自分がしていることは本当にそこの人たちのためになっているのだろうか」と悩むことがあります。しかし、活動をとおして悩んでいく中で、自分自身が少しずつ変化していくことに気づかされることがあります。それはまさに、そこにいる周囲の人々に教えられていることでもあるのです。今回の文化体育祭に参加して、更にそのことを実感しました。私たちが悩みながらやってきたことが、それに関わる人々にとっても、少しでも意味のあるものであってほしいと願ってやみません。(2007年6月)

短期隊員  涼山民族中学  日本語教師 中村直子