春の集いで炭坑節

 「月がぁ〜出た出た…」

 日本人ならお馴染みの盆踊り「炭坑節」。盆踊りと言えば夏の風物詩だが、冬の中国で日々仕事を共にする仲間と一緒に踊った。浴衣を着るとなんだか女らしく、しおらしくなるのは日本人も中国人も一緒のようだ。

 春節前の2月6日、活動先の病院で「春の集い」が行われた。これは毎年この時期に実施され、各部署が歌や踊りを披露し1年の労をねぎらうものである。日本で言う忘年会のようなもの。1ヶ月ほど前から本番に向けて練習を重ねる。今年初参加の私も、日本の踊りか歌を披露してほしいと言われた。踊りも歌も苦手な私。悩んだ末、「炭坑節」を同僚7人と踊ることにした。

 私は他にも中国人ナースが中心となった2つの出し物に参加した。こちらの練習はとってもハード。両方とも毎日のように練習を重ね、指先の動きから目線まで動きを合わせる。「いかに美しく見せるか」が重要だ。しかし、私が中心となって披露をすることになった「炭坑節」の練習では、足の出かたが逆でも、腕の動きが少々違っても問題なし。盆踊りは型にはまらず「楽しく踊るもの」だと思っている私。練習での口癖は「楽しく踊れればそれで良いよ」であった。

 当日は、同僚と共に浴衣を着ることにした。せっかく皆で浴衣を着るので更に楽しく盛り上げることが出来ないか?そんな時、他のボランティアが浴衣でファッションショーをしたことを聞いた。そのアイデアを頂き、見ている人々にも楽しんでもらおうとファッションショーのように出場。「病棟一番の男前。○○医師」などと紹介するごとに観客席から笑いが起こった。

 踊りでは、笑顔の中に照れくささを交えながらに踊っているという感じであった。元々、誰かに見せるためではない盆踊りを大勢の観客に見られたのでは恥ずかしいのも無理はない。更に浴衣を着た私達は注目度抜群で、多くの目が関心をもって見ている。しかし、終わってみれば浴衣を着た私達と一緒に写真をとりたいといってくる人も多く、浴衣を着て踊った彼らは満更でもない表情であった。これだけ人を惹きつける浴衣の力ってすごいなと感じた。

 さて、他の出し物の厳しい練習に、「ただの忘年会なのにこんなに必死に練習をして何が楽しいのだろう?」と理解が出来ずにいた私。しかし練習を重ね、皆の動きがそろってくるにつれ厳しい練習も楽しい練習に変わった。学生時代の部活動ような一体感もあった。

 来年もある「春の集い」。来年はどうやってみんなに楽しんでもらおうかと早くも密かに計画を立てている。

18年度1次隊 湖北省孝感市中医医院 看護師 佐倉未穂