中国の国産有人飛行船、低空観光の新たな人気者に

人民網日本語版 2024年04月25日09:22

中国航空工業集団有限公司が独自に開発した「祥雲」AS700有人飛行船がこのほど、初めて本拠地から離れ、飛行を行った。「すべてが計画どおりに順調に進んだ」。同飛行船から降りたばかりの林宏一機長は取材に対し、「飛行船から外を見ると、飛行機からよりも景色がはっきり見えた。飛行船内は広々とし、一般的な小型機よりずっと快適だった」と手袋を外しながら空での印象を詳しく語った。科技日報が伝えた。

この丸々としたフォルムの有人飛行船は、湖北荊門漳河空港から離陸し、1時間46分の飛行を経て荊州沙市汎用空港に順調に着陸。短い休憩を取った後に荊門に戻り、荊門〜荊州間の往復を順調に実現した。

飛行船は船体が重いほど気嚢の体積を大きくする必要があり、飛行コストが高くなる。AS700プロジェクト研究開発チームは構造設計最適化や軽量材料選択などからスタートし、数年の研究開発を経て、一体化成形ポッド構造及び超軽量トラス型尾翼構造の最適化設計を行った上、大量の複合材料データバンクの中から軽量高分子気嚢材料を選び、飛行船の構造重量を大幅に減らした。また気嚢材料の製造コストは輸入品の約70%で、有人飛行船の直接的なコストを効果的に削減した。

有人飛行船の安全性は常に最重要事項だ。AS700の気嚢は、高強度で漏れにくく、低温と劣化に強い非金属多層複合材料を採用し、メイン構造の安全性を保証した。AS700はさらにヘリウムガスの緊急放出とバラスト水の緊急投下の機能を持つ。飛行船が完全に動力を失うか、操縦システムが故障した場合でも、飛行船をゆっくり着陸させることができる。さらにAS700は推力ベクトル制御技術を採用。推力偏向を-120度から+90度に切り替えられる。さらには緊急時における飛行船の昇降の補助制御が可能で、安全性が大幅に向上した。

AS700有人飛行船プロジェクトの周雷チーフデザイナーは、「AS700という安全性が高く、環境にやさしく、便利で快適な飛行船の市場投入後、より多くの中国人が空から自国の山河を近距離で観光できるようになることを願っている。AS700は一部の観光地の開発と観光客の誘致に対して推進的役割を果たし、『低空経済(低空域飛行活動による経済形態)』の飛躍を後押しすることになるだろう」と述べた。(編集YF)

「人民網日本語版」2024年4月25日

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